今年8月、スペイン・ボルハ市の教会で、善意から貴重な壁画を「修復」したセシリア・ヒメネスさん(81)が帰ってきた。
100年以上前に19世紀の地元画家、エリアス・ガルシア・マルティネスによって描かれた「Ecce Homo(この人物を見よ)」というフレスコ壁画を誰も見ていないところで修復しようと試み、「恐ろしく下手!」と言われ、世界中にそれが知れ渡ってしまったセシリアさん。
修復後の壁画は「Beast Jesus(野獣キリスト)」または「Ecce Mono (この猿を見よ)」などと呼ばれ、流行りネタになり、Tシャツやおみやげグッズにまでなる始末。一時はあまりの騒ぎでセシリアさんは寝込んでしまった、という噂もあった。
しかし、ずっと滅入っているほど彼女は弱くなかった。キリスト画を「改善したのよ!」と言い張った強気な彼女の芸術的評価も、最近になって改善しているらしい。彼女がめげずに描いた風景画がオークションサイトで競売にかけられ、それをめぐって壮絶な入札合戦が繰り広げられたのである。
セシリアさんが生まれ育ったボルハの近くの建物いくつかを描いたこの作品は、スペインのオークションサイト<eBay.es>で一週間前の11日、300ユーロ(約3万3,000円)の開始価格で競売にかけられた。そして驚いたことに...。24時間以内に29もの活発な入札があり、その時点で値は2倍以上の610ユーロ(約6万8,000円)に!そして1週間後、現地時間の18日にオークションが終了した時には、なんと1,080ユーロ(約12万円)、開始価格の3倍以上で落札という結果になった。
アーティストの競争が激しいヨーロッパで1,000ユーロとは、プロの絵でもなかなか売れる額ではない。
<スキャンダル当時、「みんな知ってましたよ!」と言い張ったセシリアさん>
今回の絵はセシリアさんがCaritasというローマカトリック系慈善団体に寄付したもので、オークションに出したのもその団体だとか。ゆえに収益はすべてCaritasに行き、慈善事業に使われる予定だそう。何を外野に言われても、セシリアさんの教会(と芸術)に対する献身的な愛は消えなかったと言えるだろう。
今年生まれた、「最悪にして(人を楽しませた、という点では)最高傑作」キリスト修復画のさまざまなパロディー版はこちらで見られる。
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記事元:HuffPost UK Culture、eBay.es
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