新作『アウトロー』(原題:Jack Reacher)の日本公開を間近に控え、PRのため来日中のトム・クルーズ(50)。昨日の<Part I>では評論家デイヴィッド・ジャーメイン(David Germain)や映画関係者から見る現在のトム評にふれたが、続いて、『アウトロー』とトムのこれからに関する分析をご紹介する。
<Part II:新作『アウトロー』とトム・クルーズのこれから>
トム・クルーズが『アウトロー』で演じるのは、謎めいた元軍人のエリート捜査官"ジャック・リーチャー"(Jack Reacher)。今作は、英国の作家リー・チャイルドによるベストセラー『Jack Reacher』シリーズの中から『One Shot』を映画化したもので、トムがこれまで出演してきた標準的なアクション映画よりも冷酷で非情な暴力を描いており、コネチカット州で起きた小学校銃撃事件の後ということで収益が減る可能性もある。
トムの演じる主人公ジャックはかなり無慈悲な一匹狼で、映画自体も、スナイパーが無差別に標的を定めて手当たり次第に殺人を犯す、血なまぐさい場面から始まる。
興行収益を調査する<Hollywood.com>のアナリスト、ポール・ダーガラベディアン(Paul Dergarabedian)氏はこう言う。「疑いなく、こういう(アクション)タイプの映画は今どれも、神経にさわるでしょうね。」「どんなものでも暴力を描いた映像は、今売るのがちょっと難しくなっている。」
それでも長い目で見ると、トムの将来の見通しは安定していると言っていいだろう。過去に私生活が冷笑の的になった時も、トムは仕事面ではほとんど傷ついていない。ケイティ・ホームズとの交際が一番盛り上がっていた時、彼はオプラ・ウィンフリーのトーク番組のセットにあったソファーの上で子供のように愛を宣言して跳ね回り、ファンを当惑させ、人によっては(ニコールや子供のことを配慮し)激怒させた。
それにもかかわらず、人々は彼の映画を見に行った。2005年、「ソファー事件」の1か月後、『宇宙戦争』はトムの最大のヒット作の1つになった。だが次の年、突然公の場でサイエントロジーの教えを説き始めひんしゅくを買ったことが影響したのか、『M:i:III』は『ミッション:インポッシブル』シリーズの前2作と比べるとガクッと収益が落ちている。
その後5年間、「大ヒット」と言えるような主演作がない日々が続いたが、『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』ではひねった名脇役を演じてファンを喜ばせ、『ワルキューレ』では片目に眼帯を付けたドイツ人大佐の役で、興行収益面でも演技面でも予想外の高評価を得た。
その頃、トムにとって長い間ホームグラウンドだったパラマウント映画が、彼の奇妙な行動にうんざりして関係を断った。当時トムは実質的に消えかけていたユナイテッド・アーティスツ映画(United Artists Entertainment LLC/ UA)を復活させようと、2007年にロバート・レッドフォード監督で『大いなる陰謀』(Lions for Lambs)を制作するが、結果は散々たるものだった。
ここに来て、トムとパラマウント映画は、前にあった関係が非常にいいものであったことに気付いた。トムはパラマウントの古巣に戻り、それが『トロピック・サンダー』出演に繋がり、昨年の『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』に結びつき、トムをまた「超大作映画」カテゴリーの主役級に復活させた。結果、『ゴースト・プロトコル』は、『ミッション:インポッシブル』のシリーズ最高傑作だと一般的に評価されている。
トムの私生活をどう見なすにしろ、彼はショービジネス界で最も働き者の男優のひとりと言われ、その勤労倫理は他に類を見ない。
2014年に公開予定の最新作『All You Need Is Kill』で共演するエミリー・ブラントは、一緒に撮影中のトムのことを「ものすごく集中する人です」と言っている。
「トムはオープンで優しく、一緒にいて楽しい人。それにプロ以外の何者でもありません。」とエミリーは7月のコミコン・インターナショナルで語っている。トムと共に何か月もの準備を経て、いよいよ本格的な撮影にかかろうという時だった。「彼と一緒に仕事ができて、本当に楽しかったわ」
パラマウント映画は、実があるアクション作品で評判もまずまずの『アウトロー』で、本格的にトム・クルーズとのパートナーシップを復活させた。ファンの反応が良ければ、"ジャック・リーチャー"はシリーズ化し、現在検討されている『ミッション:インポッシブル』の5作目と共に、トムとパラマウントの新たな看板シリーズになるかも知れない。
「トム・クルーズがこうしたアクション映画に出続けられるのは、彼が、僕が今まで出会ったどんな50才よりも若いからこそですよ」と語ったのは、前出の<Fandango.com>広報責任者、デイヴ・カーガー(Dave Karger)氏。
「俳優としてのトムのことで必ず聞くのは、彼が全てを注ぎ込む男だということ。『ロック・オブ・エイジズ』や『トロピック・サンダー』から、『アウトロー』のようなアクション中心の作品まで、彼だから出来る。彼がパフォーマンスに注ぎ込むエネルギーは超人的です。それが彼の勤労モラルである限り、これからも長い間、彼の時代は続くでしょうね。」
全く予期していなかった離婚を宣告された時も、1日も仕事を休まなかったというトム。"ジャック・リーチャー"のこれからも、彼が将来どんな作品を選んでいくのかも楽しみだ。
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