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僅か3週間の撮影 11段階の喜怒哀楽で撮影に臨んだ山田孝之と「凶悪」を体現した2人の毒キャラ
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僅か3週間の撮影 11段階の喜怒哀楽で撮影に臨んだ山田孝之と「凶悪」を体現した2人の毒キャラ

2013-09-19 12:00
    Filed under: 国内, カルチャー, 映画, アフター5, トピックス
    【連載】
    僅か3週間の撮影
    11段階の喜怒哀楽で撮影に臨んだ山田孝之と"凶悪"を体現した2人の毒キャラ(第二回)


    『凶悪』イメージキャストは、記者の藤井に山田孝之、死刑囚の須藤にピエール瀧、先生と呼ばれる木村にリリー・フランキーが第一候補だった。脚本を読んだ3人のキャストは、出演を快諾。一年二ヶ月に渡る脚本作り、白石の葛藤は演技者たちの心を動かしたのだ。『凶悪』スペシャル第二弾は、白石監督が語る3人のキャストについて。

    参考:『凶悪』スペシャル連載第一回

    白石和彌監督
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    難役に挑んだ山田孝之、演技者としての存在感。

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    本編で象徴的に何度も描写されるのが、山田孝之演じる記者とピエール瀧扮する死刑囚の面会場面だ。手紙を受け取り半信半疑で刑務所を訪れた記者は、やがて告発の信憑性を確信し、面会の頻度は高まっていく。
    山田は、喜怒哀楽を11段階のレベルに分け、面会シーンの撮影に臨んだ。

    「あまりにも計算され過ぎていて、2日間の現場ではそれが分かりづらかった。演技のグラデーションみたいに前の場面と次の場面の違いがとても微妙で、変化が見えなった。大丈夫かなとその時は思っていたのですが」と告白する白石は、編集の段階で山田孝之の凄さを思い知らされたと言う。共演者であるピエール瀧の強烈な演技を光らせているのも山田だ。「ピエールさんの演技はあくまで自然体。劇中でやっている事が強烈だから、凄いと思われがちなのですが、それは職業俳優として優れた山田さんの存在があるからこそ成立している。彼がいなければ、ただの毒キャラクター映画になっていた」と敬意を払い、「山田孝之は間違いなくこれからの日本映画界、いろんな作品を支える不可欠な俳優だ」と断言する。

    告発する死刑囚、須藤。寛容と不寛容の間。

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    兄貴肌のヤクザ須藤は、傍らにいる人々にはいつも優しい。舎弟、獄中で知りあった輩、自分になつく人間たちを、まさに身体で守るような人物だ。同時に、裏切りや嘘、仁義に反したことは許さない。裏切られたことに気づいた瞬間に豹変し、容赦なく相手を叩きのめす。この須藤というキャラクターについて、「すごく純粋で、感情に嘘がない人物。非道い行いをしたから事件になり、収監されていますが、僕は嫌いになれなかった。自分とそんなに変わらないのではとすら思いました。倫理観から外れた部分は多々ありますが、子供をかわいがったり、仲間と楽しそうにしたり...。」と、愛すべき友だちを思い出すかのように語る。

    「この物語は須藤が『先生を殺したい』というその一言に尽きるんです。それに記者が手を貸す。ところが須藤本人は途中からその舞台から降りて、藤井だけが取り残される」ことになる。面会室で須藤の態度が変わる時、『凶悪』は新たな登場人物と共に別の貌を見せることになる。

    救世主か、それとも地獄への使徒か、先生と呼ばれた男。

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    先生と呼ばれた男は、現実社会で消えそうな人間を探し出す。消えてくれるだけで金になる、保険金が掛けられた人物なら尚更。借金を抱え、絶望的な明日しか見えない家族にとって、男は救世主だったのかも知れない。
    先生こと木村を演じたリリー・フランキーについて、「この人、いい大人のフリしてるけど、本当は凶悪なんじゃないかな」って一番思わされた。「とても頭の良い人なんですが、何を考えているのか見えない。先生の役をやれる方は沢山いると思いますが、この雰囲気を作れて、あくまでも自然体で、何をやっても底が見えない感じ」なのはリリーさんだけと、キャラクターに対する驚きを隠さない。

    そんな白石にも後悔はある。
    「先生は実際に人を助けたという事実。人を助けたから先生と呼ばれている。『凶悪』では人を殺している姿しか描けませんでしたが、実際には救世主でもあったはず。リリーさんだから、それを何となく感じさせることができたとは思っていますが...」と結んだ。

    次回をお楽しみに!

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    映画『凶悪』は、9月21日(土)より、新宿ピカデリーほか、全国ロードショー
    写真:(C)2013「凶悪」製作委員会

    【参照リンク】
    ・『凶悪』公式サイト
    http://www.kyouaku.com/

    ■関連リンク
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