公開直後から人々の間で爆発的に広がり、各ネットメディアで取り上げられた、台湾の会社に勤めるアメリカ人女性の「私、辞めますから」ビデオ。しかし、会社の経営陣も黙ってはいなかった!
まずは今回の騒動の元となったビデオから。
日本にも進出した台湾の<ネクスト・メディア・アニメーション>(以下NMA)で働いていた米国人女性、マリナ・シフリンさん(25歳)。だが上司は動画の出来と再生回数ばかりを気にし、動画のクオリティを一番に考える女性と対立。
「2年間、すべてを犠牲にして馬車馬のように働いてきたのに...」と憤った彼女は会社を去ることを決意し、お別れのビデオを制作・アップした。
【動画バトル ラウンド1】こんな会社、辞めてやる! ある米国人女性の最後通告
BGMはカニエ・ウェストの曲「Gone(ズラかった)」
映像を見た人々からは「すごい!」「僕もやってみたい!」と、おおむね好評なコメントが。しかも再生回数は9月28日の公開からたった2~3日で800万超えを達成。この数はもしかしたら、彼女がこれまで携わってきたどの作品より多いかもしれない。
しかし、それから3日後の10月1日に<NMA>のお偉いさんやスタッフが"反撃"を開始! 同じくカニエの「Gone」を使い、シフリンさんのビデオのキャプションをパロって、
「今は勤務時間中で、まだ仕事中。我々は"ダンススキルを決め手に社員を雇う"素晴らしい会社で働いています」
「ランチはデスクで食べますよ。なぜかって? レストランが近くにないからです。だけどわが社には屋上プールやサウナがあるから、それで手を打ちましょう~」
などとダンスと共に展開している。しかも最後には「(マリナさんが辞めてポストが空いたので)新たにスタッフを募集中ですよ~」との文字が。
【動画バトル ラウンド2】NMA側の言い分
ボス&スタッフ総出で踊りまくる! しかし視聴者の反応は否定的なものがほとんど。
また、マリナさんを雇ったNMAのコマーシャル・ディレクター、マーク・サイモン氏は<Gawker>に対し「マリナがなぜ、会社に激怒しているのかわからない」と会社側の言い分を明らかに。
これによると、マリナさんは会社を辞める前にサイモン氏に電話をしていたという。氏はそこで、辞める旨を彼女の直属の上司に話すようアドバイスしたものの、上司が実際に目にしたのは問題のビデオだった...ということらしい。
サイモン氏はまた、マリナさんに対し悪い感情はなく、むしろ気に入っていたとも告白。彼女自身も<NMA>は素晴らしい会社だと話していたし、(ビデオによって)誰かを傷つけようとは思っていなかったはずだ、と擁護した。氏はその上で、「(マリナさんの)ビデオを見ると、まるで<NMA>が労働者を搾取するような会社だと誤解されるかもしれないが、そうではない。彼女の年収は4万2,000ドル(約410万円)で、労働時間は週40時間、週5日勤務だった」と話している。また別のメディアによると、当時の彼女は夜8時から朝5時までの夜勤担当。特別手当もあったのだろう、その年収は台湾の労働者平均の3倍近くだという。
仕事上での意識の相違を挙げるマリナさんと、労働環境は悪くなかったと説明する上層部。多くの企業でありがちな"価値観の相違"が、なんとも可笑しな対立に発展・炎上してしまったものだ...。
【参照リンク】
・An Interpretive Dance For My Boss Set To Kanye West's Gone - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=Ew_tdY0V4Zo
・An Interpretive Dance From Next Media Animation Set To Kanye West's Gone - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=1ukGrwL4ky4
・Next Media Animation Responds to the Quit Heard 'Round the World
http://gawker.com/next-media-animation-responds-to-the-quit-heard-round-1434926654
・Taiwanese Animation Company Responds to Viral "I Quit" Video | Tech Biz | The Diplomat
http://thediplomat.com/tech-biz/2013/10/02/taiwanese-animation-company-responds-to-viral-i-quit-video/
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