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日本人が諸外国に比べて流行りものが大好きな人種であることは、目まぐるしく変化する服、アート、音楽、メディア等を見れば一目瞭然。


もちろん食も"流行"の例外に漏れず、食をテーマとした『孤独のグルメ』、連続テレビ小説『ごちそうさん』とマンガに小説、ドラマは次々とヒット。時代背景や年代に合わせて変化しながらも、常に人々の感心を集めるという点で立派なポップカルチャーのひとつと言えます。

最近注目されている食で言えば、独自の味を誇る専門店の唐揚げ、店頭に長蛇の列をなすパンケーキ、健康志向の強い主婦に絶大な指示を得ている塩麹。少し前なら食べるラー油などなど。どうやら一時的に特定の食材にスポットライトが当たる傾向にあるのが日本の食ブームの特徴のよう。本書『ファッションフード、あります。 はやりの食べ物クロニクル1970-2010』は、そんな日本における食の流行を、江戸時代から現在まで時系列でまとめた、いわば近代日本食文化の歴史書。とりわけ70年代に最先端を行くファッション雑誌『アンアン』、『ノンノ』が創刊されて以降、ハンバーガーやピザ、パスタ、スイーツ類などの欧米諸国の食文化が取り入れられ、そのオシャレな見た目とかつてない味で世の女性たちはすっかり虜に。こうして狂熱的に激変する日本の食文化により、ますます飽食の時代が加速されました。

著者自身が料理雑誌の編集者という食を発信する側だからこそ、はやりすたりの激しい食文化を客観的に、ところどころ面白く、また皮肉にとらえている空気が伝わってきます。ファッションのような感覚で消費される食を「ファッションフード」という絶妙なネーミングをよく付けたものです。

現代人は美味しいものを満腹になるまで食べることだけでは飽き足らず、いかに面白く、おしゃれなものを食べるかもひとつのステータスとなっています。もちろんそれが悪いわけではないですが、生きるために食べるという本来の意味が曖昧になり、「オシャレ」「面白い」というワードに取って代わられることに対し、どこか悲観的な気分に浸ってしまことが本書の狙いなのかもしれません。また、ファッションとしての食文化が日本の食を占めている傍らに起こる、食品の偽装問題、毒物混入事件、約40%と低い食料自給率とあらゆる食の問題も、目新しいものを求めすぎる我々にも原因があるのもかもしれません。

【書籍データ】
・『ファッションフード、あります。 はやりの食べ物クロニクル1970-2010』畑中三応子著 紀伊國屋書店


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