ピラミッド型の会社組織はウンザリだけど、さりとてフリーランスは収入が安定しないので不安......。そんな貴方におすすめしたいのが、『ルパン三世』で描かれるルパン一家のような働き方です。
ルパン一家をプロジェクトチームに例えるなら、天才的な盗みの計画を立てるルパンは超敏腕プランナー。拳銃と剣の神業的名手である次元大介と石川五ェ門はスーパープログラマーとスーパーデザイナー。お色気と甘言で人をたらしこむ峰不二子は、さしずめ超優秀営業女子でしょう。で、結論から言うと、ルパン一家は「プロジェクトごとに離合集散を繰り返すフリーランサー集団」として、かなり先進的な働き方を体現しています。
彼らは「一家」としてくくられてはいますが、会社組織ではありません。構成メンバー間に上下関係や雇用・非雇用関係は存在しないのです。「お宝を盗む」という共通の目的と条件に同意したフリーランサーたちが、フラットに、拘束力のないゆるさでつながったユニットのようなもの。だからプロジェクトによっては、あるメンバーが条件を承諾できず不参加、ということが時々あります。「俺は今回降りるぜ」という次元のセリフ、聞いたことありませんか?
また、ルパン一家以外の案件をメンバー個人が受注することに、他のメンバーは干渉しません。そればかりか、ルパン一家と利益相反する案件を受注するメンバー――不二子――すらいますが、現実世界ではべつだん特殊なことではありません。出版業界で言うなら、Aというサッカー雜誌に原稿を書いたフリーライターが、Bという別のサッカー雜誌にも記事を書くのと同じことです。
ではなぜ、各人は完全な一匹狼として働かないのでしょうか? それは、ひとりで仕事をするより、皆で仕事をした方が、大型の案件を受注できるからです。ルパンひとりでは盗めないお宝も、4人なら盗める。大型案件をコンスタントに受注できれば、フリーランサーが喉から手が出るほど欲しい「収入の安定」を獲得できるのです。
ただし、せっかく大型案件を受注しても、不二子ちゃんの枕営業的なふるまいによって、売り上げを根こそぎ横領されるルパンの例もありますので、男ばかりのユニットにひとりだけシャレオツな女子を迎え入れる場合には、十分ご注意を。横領とは言わないまでも、プロジェクトリーダーを骨抜きにしてギャランティ分配比率を上げるくらい、彼女にとっては造作もないことです。で、そういう女子に限って、金持ちのパトロンが途切れない不二子よろしく、50代の売れっ子カメラマンあたりと不倫してますから、普通に。
(稲田豊史)
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