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道重さゆみの卒業 彼女がモーニング娘。史上最も偉大なリーダーである3つの理由
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道重さゆみの卒業 彼女がモーニング娘。史上最も偉大なリーダーである3つの理由

2014-05-09 22:30
    Filed under: 芸能, カルチャー, 音楽, 深夜, かわいい, 連載

    2014年4月29日。日本中を震撼させる一つのニュースが列島を駆け巡った。道重さゆみ、今年の秋ツアーをもって、モーニング娘。'14ならびにハロー!プロジェクトを卒業。オリコンシングルチャートで5作連続1位というこのタイミングでの卒業発表、かつ年末の紅白歌合戦を待たずしての卒業はあまりにも想定外であり、日本国民に大きな驚きと衝撃を与えたのは記憶に新しいところだ。


    道重さゆみ。モーニング娘。8代目リーダー。在籍日数は4100日を超える歴代最長であり、つんく♂プロデューサーも「超全盛期もアイドリング期も両方を経験した貴重な存在」と語るほど。モーニング娘。の現在までのV字回復の立役者であり、ファンのあいだからも「史上最も偉大なリーダー」と呼ばれる希有なアイドルである。

    だが、ファン以外には、道重さゆみの偉大さは伝わっていないだろう。そこで今回は、彼女がモーニング娘。史上最も偉大なリーダーである、3つの理由を挙げたい。本来は1億個ぐらいはその理由があるのだが、スペースの都合もあるため、3つに留めておくことをご容赦いただきたい。


    1 道重さゆみは自らの決意と意志によって可愛さを手に入れた

    道重さゆみは、劣等生であった。加入当時、歌は駄目、ダンスも不得意、とりたてて個性もない女の子。長年に渡って彼女はそんな自分を変えようと、成長しようと苦しみ続けるのだが、そんな中でひとつの突破口として選んだのがバラエティ番組への個人としての進出であった。道重さゆみは、世間にモーニング娘。を届けるのが自分の役割だと信じて、茨の道を歩むことを決めた。そこで選んだのが「わたしは可愛いと言い続けるアイドル」というキャラクターであった。

    そのキャラクターは、革命ではあったが、革命であるがゆえにそれが浸透するまでには時間がかかった。そんなアイドルはこれまでいなかったから、共演者としても対処法が分からない。しかし道重さゆみはそのキャラクターを貫き通し、「わたしは可愛い」と言い続けることによって、世間からの認知を手にした。現在のモーニング娘。は知らないが道重さゆみは知っている、という層は今でも多い。彼女は世間という戦場で、確かに結果を残したのだった。

    実はここまではよく言われる話なのだが、道重さゆみが選んだキャラクターは一つの大きな副産物を産んだ。「わたしは可愛い」という道重さゆみ自身の言葉が、道重さゆみの存在を規定したのだ。つまり「わたしは可愛い」という言葉がある程度の説得力を持つためには、「道重さゆみは可愛い」という事実がなくてはならない。ある意味で、それは言霊なのだ。ゆえに道重さゆみは、「わたしは可愛い」という事実を造り上げるために、可愛いとは何か?と徹底的に考えたはずだ。そして実際に、どんどん可愛くなっていった。彼女は最初から可愛かったわけではなく、自らの言葉によって、その決意と意志によって、可愛くなったのだった。

    彼女の驚くべき進化は、明らかに後進に影響を与えることになる。つまり、人は変われるということ。徹底的に考えれば、あり得ないほどに成長できるということ。道重さゆみはそのことを自らの生き様で証明したのだ。だからこそ道重さゆみは、少なくとも今後100年ぐらいは、モーニング娘。という歴史の中で語り継がれるべき存在なのである。


    2 道重さゆみは好きなものを好きだと言うことを許した

    特に同期である田中れいなが卒業してからの現在のモーニング娘。'14は、メンバー同士が非常に仲良しである。そして、誰々が好き、とメンバー同士で言い合うことも多い。今年の正月特番で放送されたドッキリ番組で、移動のバスから床に就くまで、彼女たちは延々キャッキャ言い合っている。ここまでおおっぴらにお互いのことを好きだと言い合える関係性は、おそらくモーニング娘。史上でもこれが初めてのことだろう。

    道重さゆみはリーダーになっても、自分が上だという姿勢をメンバーに見せなかった。たとえばダンスで難しいパートがあったら、平気でダンスの得意な後輩にアドバイスをもらう。余計なプライドを捨てて、年下のメンバーからも学ぶところは学び、また彼女たちに対して「好き」とか「可愛い」ということを平気で言った。そしてまたメンバーたちも、道重さゆみに、あるいはメンバー同士で、「好き」と言い合う姿を可視化することになったのだった。

    これがファンに与えた影響は大きい。特に中年というかおっさんからすると、中学生のメンバーに対して「好き」や「可愛い」という意見を表明するのはどこか恥ずかしいというか、勇気がいる。だが道重さゆみやメンバーがお互いに「好き」とか「可愛い」と言い合っているから、じゃあ自分も言っていいんだと、つまり道重さゆみはファンに「好き」や「可愛い」と言うことを赦したのだ。現在のモーニング娘。のファンは、推しを熱狂的に愛している。その熱い片思いを許可したのが、道重さゆみリーダーなのである。


    3 道重さゆみは常に可愛いアイドルである

    当たり前のような話だが、決して当たり前ではない。ほんの一握りの天才ならそれが出来るかもしれないが、道重さゆみは一人のただの人間なのだ。常に可愛いアイドルでいること、「常在戦場」ならぬ「常在アイドル」を貫き通すためには、不断の努力が必要とされる。彼女は生まれ故郷の山口県で行われたコンサートで秋ツアーでの卒業を発表するとき、目に涙を湛えたが、決してその涙をこぼすことはなかった。なぜか。泣いてしまうと、アイドルとして可愛い笑顔を見せることが出来ないからだ。それほどまでに道重さゆみの、アイドルとしてのプロ意識は高い。

    コンサートなど、ファンを前にした場所だけではなく、プライベートでも道重さゆみは常に可愛いアイドルであり続けている。かつて某雑誌の記事で「ファンから写真撮影を求められたときにどう断っているか」という質問を投げかけられた際の道重さゆみの回答はこうだ。「普段プライベートは母親と一緒に行動しているので、まず母親に『写真は事務所から撮らないように言われてるんです』と言ってもらってから、後から自分が出て行って『ごめんなさい! でも、握手なら大丈夫なので、握手でも良いですか?』と言って握手をする」と。

    尋常じゃない。これ以上の神対応はおそらく存在しないだろう。いかに道重さゆみが、考えに考えを重ねて、常に可愛いアイドルでいようとしているかの一つの証拠である。だからこそ、彼女はモーニング娘。という歴史あるグループの中でも、最も偉大なリーダーと称されるのだ。道重さゆみは、決して天才ではない。努力によって、最強のアイドルとなったのだ。そして彼女のそういった姿勢は、秋ツアーで卒業して以降も、永遠に、大いなる遺産として、モーニング娘。に残り続けることだろう。


    <結論>
    道重さゆみという稀代のアイドルがモーニング娘。'14を卒業するまであと半年。その半年間で道重さゆみリーダーは、また道重さゆみリーダーを敬愛するメンバーたちは、大きな成長と驚きをファンに与えてくれるだろう。今からでも遅くはない。「今のモーニング娘。」を見てほしい。ほかではちょっと見られない感動が、そこにあることを保証します。

    (相沢直)

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