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5月11日に放送された『ボクらの時代』(フジテレビ)はウーマンラッシュアワー村本、南海キャンディーズ山里、キングコング西野が「愛と憎しみの動機芸人」として鼎談した。3人は吉本興業の養成所・大阪NSCの22期生。その中で、キングコングは瞬く間に売れていった。在学中にもかかわらず、NHK上方漫才コンテスト最優秀賞を受賞。これはいまだに他に例がない快挙だった。そして、卒業後程なくして始まった『はねるのトびら』(フジテレビ)にレギュラー出演。ものすごいスピードでスター街道に乗って行った。


「もう今年はキングコングが出たからええやん」

山里の著書『天才になりたい』によると 、NSCの講師がそんな言葉を漏らしたほどキングコングは別格だった。NSCではキングコングがNHK上方漫才コンテストを受賞したシーンを見ながら感想を言うという屈辱的な授業まであったという。「バカが笑ってるのよ」と山里は振り返る。お笑いでトップを目指しているにも関わらず同期がはるか先を行っている現実を見せつけられ、山里は笑えるはずがなかった。
山里がそんなキングコングへの妬み嫉みを武器に屈辱から這い上がっていく"ストーリー"はよく知られたものだ。
だが、村本からしてみれば、山里もまたエリートの1人だ。別格のキングコングを除けば、山里が当時組んでいたコンビはトップの一組だったのだ。

「笑ってたでしょ、バカどもが。その中の1人よ、俺」
村本はキングコングの活躍を素直に笑って見ていた1人だった。「『あいつら、どこにいっただろう?』ってここにおんねん」

村本はNSCでは落ちこぼれの存在だったのだ。現在プロとして生き残っている芸人はたとえ"遅咲き"と言われるような人でも、養成所レベルではエリートか、どこかで目立った存在であることがほとんどだ。しかし、村本はそうではなかった。確かに、NSC時代に村本の名前がなにかで挙がることはなかったと二人も述懐する。

NSCの卒業公演は実力・成績に応じて持ち時間が決まる。西野はMCを任されネタ時間は3分与えられた。山里は2分だ。普通、最低の持ち時間は1分だったという。しかし、そのさらに下に「授業料を払っている」という理由だけで30秒だけ与えられる人がいた。1人はギャンブル中毒、1人が酒浸り、そしてもうひとりが村本だったというのだ。
NSC時代、これ程どん底だった芸人が売れた、というのは史上例を見ないのではないだろうか。

ウーマンラッシュアワーの代表的なネタの誕生にも同期のキングコングが絡んでいる。大阪のある番組で共演したときだ。終了直前にキングコングが村本へ意地悪なイジり方で笑いをとった。そのとき、村本はうまく返すことができなかったという。それが悔しくて同じ状況になったときの返し方を考えた。
「目先のボケのために平気で共演者をくさす、最低な芸人を紹介します、キングコングです!」
それが自分たちのネタに昇華され、NSCの落ちこぼれだった村本が『THE MANZAI』優勝を果たすのだ。

「これが復讐の力か」

史上例がないスピード出世を果たしたキングコングを横目に見ながら、史上例がない奇跡を起こした村本。
芸人にはなんだって起こり得るし、なんだって起こせるのだ。

文=てれびのスキマ(http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/)

【参照リンク】
・『ワイドナショー』公式サイト
http://www.fujitv.co.jp/b_hp/widna-show/ 

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