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日米合作映画『サケボム』の毒舌YouTuberが大暴走! 日本人が笑えない皮肉満載
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日米合作映画『サケボム』の毒舌YouTuberが大暴走! 日本人が笑えない皮肉満載

2014-05-29 17:00
    Filed under: カルチャー, 映画, 深夜

    濱田岳主演の日米合作映画『サケボム』(ピクチャーズデプト)に登場する、"毒舌YouTuber"のセバスチャンが話題になっている。


    5月24日から公開されている同映画は、主にアメリカで撮影され、主演の濱田は全編英語のセリフに挑戦。共演者は、韓国系アメリカ人でスタンダップコメディアンのユージン・キムなど。ストーリーは、日本の酒蔵で働く純朴な青年ナオト(濱田)が、突然別れを告げていなくなってしまった元カノを探しに単身渡米。アメリカに住む日系アメリカ人のいとこで、あらゆることに毒を吐きまくるYouTuberのセバスチャン(ユージン)に協力を頼み、元カノが住む田舎町まで旅をするロードムービー。


    △初エッチした元カノを追ってアメリカへやってきた純朴青年(濱田岳)

    ネット上には、

    「いい映画でした、岳ちゃん良かった」
    「酔っ払う岳さん、泣きそうで目がうるうるしてる岳さん、そして英語を話す岳さん...等々いろんな濱田岳が見られたので大満足」

    という濱田岳ファンの感想もあるが、目立つのは"セバスチャン"に対するコメント。

    「コンプレックス満載のセバスチャンの口達者ぶりに閉口」
    「いとこのキャラクターがたっていて、どちらが主人公なのかわからなくなった」
    「ひねくれ者のいとこを演じたユージン・キムさんの自虐ネタが凄い。日本人としては笑うに笑えないギャグの連発だった」

    など、キレのある毒舌が受けている様子。試写会でも彼を評価する声が多かったという。


    △マシンガントークで毒を吐きまくる「おしゃべりアジア野郎」

    セバスチャンは日系アメリカ人で、常日頃からアジア人コンプレックスを感じながらアメリカで暮らしている。そしてその憤りを「おしゃべりアジア野郎」という自身のネット番組で発散するのだ。

    その内容は、

    「日本人はシャイで物静か? 静かにしているんじゃなくて英語が話せないだけ」
    「軟弱で性欲ゼロ? 日本が技術先進国なのはHD画質でエロビデオを見るため」

    といった偏見についてだったり、

    「アジア人は顔が似ているけど、間違われると超むかつく。中国人じゃねえっつーの!」

    など人種問題スレスレの過激なセリフも飛び出す。また、女友達にも

    「アジアの女は何で白人が好きなのさ?」
    「劣等感の塊でアイデンティティに悩んでる。だから白人に擦り寄るんだ」

    と絡みまくる。さらにはネット社会に対して

    「最近の大学生はみんなネット漬けで芸術性ゼロ! 人生経験も乏しくて社会貢献する知性もない」

    などと怒りをあらわに。「ネコ動画の拡散に意味なんかない」というパンチラインは痛快だ。


    △「おしゃべりアジア野郎」のフォロワーだというブサカワ女子

    『サケボム』は「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)映画祭」でワールドプレミア上映され、「ロサンゼルス・アジアン・パシフィック映画祭2013」で最優秀脚本賞、「サンディエゴ・アジアン映画祭2013」で最優秀作品賞を受賞。その後、全米の各都市で劇場公開され、今回の日本公開は"逆輸入"の形となった。

    監督は、広島県出身でロスを拠点に活動している若手映画監督サキノジュンヤさん。2006年に発表した短編映画『ORIZURU』が世界各地の映画祭で賞を取り注目を集めた。『サケボム』は初の長編映画で、マイノリティーとしてアメリカの映画業界にいる自身の経験も生きているようだ。


    △セバスチャン役のユージン・キムはスタンダップコメディアン

    サキノさんは高校2年のときに映画監督を目指し、高校卒業後、バイトでお金を貯めてアメリカへ渡ったという。映画制作の短大に通いながら、映画会社のインターンとして働き、在学中にドリーム・ワークスの制作チームに加わるなど確実にステップアップ。

    「日本人や留学生とつるんでいると芽が出ないと思って、あえて距離を置いていました。また、映画を学んだからって映画の職に就けることは少ないと聞いていたので、在学中からさまざまなコネを意識しました」

    と、チャンスを掴む秘訣を話す。しかし順風満帆なはずはなく、

    「PA(プロダクション・アシスタント)という、いわゆる雑用係は信じられないくらい安い給料だけど、他で働きながら映画の夢を追うとだいたいが流されてしまう。あまりにも厳しい世界なんです。とにかく映画業界に残っていることが大事」

    と苦労も明かした。


    △ホームパーティーのシーンは多数。さすがアメリカ映画!

    『サケボム』のエグゼクティブ・プロデューサーでピクチャーズデプトの汐巻裕子さんは、

    「日本人監督の作品は、海外からの評価が本当に厳しい。今だに"好きな日本人監督"といえば出てくる名前は黒澤明か小津安二郎。その一方で、多くの若手監督が『海外に出たい』と言うけど、なんで行きたいのか聞くと理由が漠然としている。明確なフォーカスと覚悟が無いように感じてしまう」

    と、日本の映画界を分析する。汐巻さんが「この現状をなんとか打破して海外市場へのアプローチを示したい、同時に日本の市場も視野に入れ、逆輸入できるようにしよう」、と企画したのが『サケボム』。「サキノジュンヤくらいのタフな監督が、世界で通用する日本人監督のロールモデルになるのでは?」と期待を寄せる。

    『サケボム』は風刺が効いたロードムービーとしても、タフに現実と向き合う大切さを教えてくれる作品としてもぜひおすすめしたい。新宿シネマカリテ(~6月13日まで)ほか、全国順次ロードショー。

    【参照リンク】
    ・『サケボム』公式サイト
    http://sake-bomb.com/ 

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