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かねてより都市伝説マニアの諸兄を中心に、その存在が噂されている「東京の地下迷路」。それらの多くは、かつて計画されたものの、その完成が確認できなかったものや、世人の「実在したらおもしろい」という素朴な空想が生み出した眉唾話が大半で、有名なところでは、地下鉄の連絡線(通常は点検や納車の際など、車両の移動に用いられる)や、皇居から八王子方面に"秘密の避難経路"が設けられているという話、さらには有楽町線の線路が市ヶ谷の防衛庁から戦車を移動させられるよう、広めに施工されているといった話など、それこそ、"東京の地下"については、枚挙の暇がないほどだ。


そんな中で、我々一般人でも見ることができるものと言えば、せいぜい新橋の"幻のホーム"くらいのものであるが、実は、場合によっては「見れるかもしれない」地下通路も存在されている。それは、国会周辺の地下に張り巡らされているという地下通路だ。

ある説によると、国会議事堂や首相官邸を中心とした永田町の主要施設の地下には、主に、有事の際の緊急退避用通路として、いくつもの通路が存在しているという。過去には安保闘争時代に議会が紛糾し、主要な大物政治家が閉会後の難を逃れる目的で使用したこともあったというが、21世紀に入って久しい今も、その全貌は未だ明らかとなっていない。

「私もすべて把握しているわけではないですが、少なくとも、議員会館の地下には、議事堂方面へと繋がる通路がありますね。ただ、私のような者はその通路を使えない雰囲気なので、雨の日でもあえて外の道路沿いに移動しますよ」(ベテラン政策秘書・Sさん)

永田町で20年近く秘書として働くというSさんによると、一般人でも、代議士への陳情の際などに、議員会館には入ることができるため、「"隙あらば"通路の入り口くらいには辿りつけるかもしれない」とのこと。もっとも、その扉の奥を見て、無事に戻ってこれるかどうかは、また別の問題なのだが....。

(文・猪俣進次郎)

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