高度経済成長期の豊かさを背景に1970年代以降、ペット関連事業が社会に広く浸透。以降、ペットショップは個人店からチェーン展開、大型ショッピングモールの出店と勢力を拡大してきた。さらにはペットを家族の一員として捉え、ペット美容やペット医療など関連サービスが多様化。今やペット産業の市場は1兆円を超える規模まで成長した。
一方で、地方の過疎化や都心の住宅事情による犬の飼育頭数減速をはじめ、幼齢期の犬猫販売や年間16 万頭にも及ぶ犬猫の殺処分など、様々な問題を抱えているのもまた事実だ。業界内では市場縮小も懸念されているという。
そんな状況を打開しようとペットショップ大手のコジマを飛び出し、今年7月にITベンチャー「ペットスマイル」を起業したのが室岡明彦氏だ。コジマで情報システムを7年、28歳で経営企画室を立ち上げ、年間MVPを獲得。31歳の時に執行役員に抜擢され、営業企画部を組織。ポイントカードのシステムやエリアマーケティングに携わり、コジマのデータベースの基幹部分を構築した経歴を持つ。
「ペットブームと言われて来たが、今初めての踊り場を迎えています。しかし、業界内では未だに具体的な打開策を打ち出せていません。だったら僕が挑戦してみようじゃないかと思ったんです」(室岡氏)
時代とともに拡大してきたペット産業だが、ペットの供給側であるブリーダーやペットショップから動物病院やしつけ教室などのアフターサービスとの連携がうまくできておらず、ユーザーにとって不便さがあった。ペットスマイルでは次のようなビジョンを示している。
「ペットのご提供からアフターサービスまで全てを1社で展開している企業は少なく、多くのブリーダーやペットショップはご提供だけで終わり、アフターサービス専門の事業者は新規の獲得に苦心している。そこで、我々は事業者間をネット上でつなげることで応援することができないかと考えました。IT技術を軸にペット産業全体を良くし、業界を一つのチームとして、一気通貫のサービスを構築していきたい」(室岡氏)
室岡氏はこれを実現するべく「ペット産業2025プロジェクト」を掲げ、様々なサービスを1つのサイトに集約。7月22日、一気通貫の総合サイト「PetPonta.jp」としてオープンさせた。今後は同プロジェクトに賛同する企業数を増やしていく予定だ。
「2025年までに業界の様々な問題を解決しながら、ワンちゃん、ネコちゃんと暮らす世帯率を現在の倍の40%まで伸ばしたい。ペットと暮らすことがペットと人との幸せにつながるということを当たり前にすることで、世の中に貢献しながら、日本をペットの先進国にしたい」(室岡氏)
すでに同サイトは、SNSアプリ「PetSmile」の会員11万人を有しており、さらにお客様と事業者をつなげ、予防接種の予定など様々な情報を知らせてくれるペット総合情報管理システム「LRM(ライフ・リレーションシップ・マネージメント)」のリリースを今年度中に控える。
ペット産業に新たなモデルを作ろうとするペットスマイル。ペットと人、事業者をひとつにつなぐことで真に人とペットが共存できる日が、近い将来やってきそうだ。
【参照リンク】
・ペットスマイルのポータルサイト「PetPonta.jp」
http://petponta.jp
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