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7月23日、山下達郎の名盤『Big Wave』が、1984年の発売から30周年を記念し、2014年最新リマスター版『Big Wave(30th Anniversary Edition)』として再発された。来る真夏を彩るのに最適であるこのアルバムは、初回発売時に生まれていなかった若い世代にとっても必聴だ。


1984年のサーフィン映画『Big Wave』のサウンドトラックとして発売された同アルバムには、いくつかの大きな特徴がある。まずは、全曲英語詞であることだ。それまでは英語での歌唱における発音に不安を持っていたという山下は、同アルバムを制作するにあたって盟友のシンガーソングライター、アラン・オデイ(同アルバムでは英語作詞も担当)による指導を受け、英語歌唱に自信が持てるまで特訓。それにより、同アルバムは洋楽ファンにとっても違和感のない内容になっている。

次に挙げる特徴が、アルバムの7曲目からは、『Girls On The Beach』、『Please Let Me Wonder 』、『Darlin』など、ビーチボーイズのカバー曲がずらっと並んでいることだ。なぜ7曲目から連続かといえば、その理由は、同アルバムがLP(レコード)時代に制作されたことにある。山下はサーフィン映画のサントラを作るにあたり、自身にとってアイドルであったビーチボーイズのカバー曲を複数入れることを考え、それをすべて"B面"に入れたのだ。

CDで聴けば全曲を連続して聴くことになるが、レコードの場合はA面を聴き終えたら裏返し、また新たな気持ちでB面をプレーヤーにセットする。そんな当時の音楽鑑賞の形式に則って同アルバムは制作されているのだ。ちなみにこのアルバムは、山下がLP時代の最後に作った作品。山下の挑戦と遊び心が詰まった"B面"も必聴だ。

そしてもうひとつの特徴が、「一人多重録音」。これはその文字が意味する通り、山下ひとりで主旋律からコーラスまで全てを歌っているということである。山下は、1980年に発売したカバーアルバム『ON THE STREET CORNER』で既にこの「一人多重録音」にアカペラで挑戦していたが、『Big Wave』でも引き続きこれを実践。

山下の見事なコーラスに心地よさを感じること請け合いだが、これに影響されたと言われているのがサザンオールスターズの桑田佳祐である。サザンが1990年に発売したアルバム『Southern All Stars』の4曲目には、『忘れられたBig Wave』という夏の名曲が収められており、あまり広く知られていないが、この曲は桑田ひとりの声を重ねて録音されたもの。タイトルに"BIG WAVE"と入っていることからも察せられる通り、同曲は山下の上に挙げた作品群へのオマージュであると言われている。

このような様々な特徴が楽しめることもさることながら、なによりも魅力的なのはやはり、アルバム全体が表現している夏だろう。どこで聴いても、ひとりで聴いても、強制的でなく自然と夏を感じることのできるアルバム『Big Wave』。今回の再発を機に、永久保存して毎年夏の訪れとともに聴く1枚に加えてみてはいかがだろうか。

(文/宇佐美連三)

【参照リンク】
・山下達郎スペシャルサイト
http://wmg.jp/tatsuro/ 

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