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前回、八王子の道了堂にロケハンにいった話を書きました。
今日はいよいよ本番です。そんな最恐の地でなにをやらかすかというと、心霊にラップで呼びかけ、コール&レスポンスの要領でなんらかを映像に収められないかな、ということらしいです。偏差値低めのミッションですが、クルーたちには是非ともイカしたリリックをかまして貰いたい。なのに、行きの車中で"ペッティングボーイ"という親に言えないようなあだ名をつけられた、T木君が激おこです。




さて道了堂に到着です。人数が多いためか前回より心強い感じがします。
同鑓水内をのぼり、クルーたちだけ階段を登らせます。
階段を登り切ったところが堂守の老婆の惨殺現場です。
そこでクルーたちには景気よくラップをかましてもらおうというのですから、なんとも罰当り。

階段の下では、私と編集長と映像担当が終わるのを待ちます。
「こっちのが人数少なくね?」
「あらやだ。こわい」
と、ミッションが終わるのを待っておりました。すると、クルーたちの方から
「ぅぎゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃ!!!」
と、いかつい叫び声が聞こえてきました。
「なんだなんだ? 大方狸かなんかに驚いたんだろ」
「肝小さいっすね」
と口々に言っていると、クルーたちが階段を降りてきました。

もっとビビッているかと思いきや、ミッションが遂行できたことでテンションハイになってるリーダー。
「なんかさ、Tさん、すごい叫び声あげてなかった?」
「は?あげてませんけど」
「階段の下から女の叫び声が聞こえたからてっきりTさんだと思ったんですけど」
女性は私だけですが、ぼやいた覚えはあっても叫んだ覚えはありません。

じゃぁもうミッションも恙なく終了! もうこんなところには用はありません。私たちはまた大人数でもと来た道を下ります。同鑓水内を足並みを揃え下っていると、しんがりにいた私と映像担当がただならぬ気配を感じました。
階段のあたりからかなり大人数の何者かが私たちを追いかけて来ます。
あっという間に追いついたその"気配"は背中をグイグイ押してきます。
押された私は前の人を押す形になり、私たちは小走りで来た道を下りました。
押された瞬間脳内に響いた「デテイケ」「デテイケ」「デテイケ」......
もう二度と来ないので許してください! と心のなかで叫びつつ必死で車まで逃げました。

車内で録画したラップの映像を確認した際、あの叫び声はしっかりと記録されていました。
階段の上からも下からも聞こえたあの声は、老婆の思念だったように思います。出て行って欲しくて。そっとしておいて欲しくて......。

後日、その映像の編集の担当者から一斉メールが届きました。
「僕をさがさないでください―――」
彼が道了堂に埋まっていないことを祈るばかりです。

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