仕事ができて、メンバーのモチベーションをあげることに長けており、プロジェクトを成功に導ける人物。部下の冷めた態度にもめげず、どんな相談にも親身になって自分のことよりもチームを優先する。ビジネスの現場で求められる理想のリーダー像とは、そんなところかもしれない。でも実際のところあなたのそうした行動、「寒い」と思われていないだろうか?
日本は戦国時代、幕末、高度成長期などなど、時代ごとにお手本とすべき優秀なリーダーを輩出してきた。今でもリーダー向けの様々な自己啓発本も立て続けに出版され、理想のリーダーしいては経営者のあるべき姿が語られてきた。しかし、時代の流れとともに部下の意識も変わるもの。いつまでも戦国武将さながら「俺の戦術についてこい!」理論では、部下から冷ややかな眼差しを向けられ、ココロの距離が遠くなること必至。理想のリーダー像は、時代とともに変革を求められてるものなのだ。
書籍『今、なぜ部下はあなたに心を開かないのか? これからの時代のリーダー論』の著者である山川博史氏は同書のなかで、これからのリーダーに求められる役割は「みんなを同じ方向に目を向けさせ、ひとつのプロジェクトを達成すること」と語っている。
これまでのリーダーは、部下たちを引っ張っていくため、自分がメンバーの模範となるよう努力してきただろう。それにより、「僕たち私たちもリーダーのように頑張ろう!」ではなく、「リーダーは、僕らとは違う」「リーダーは、仕事ができるから任せておけばいい」という悲しい結末になってしまうのだ。
例えば、同書で紹介される事例のなかに「思い立ったら凶日」というものがある。フト思いついたアイデアを、思いついたままに部下に伝え、実行するように命じる。そのようなときに部下は大抵「はあ、わかりました・・・」という薄い反応をするものだ。こちらについては、山川氏は「チームは生き物だから、あなたの方を向いているときだけじゃない。気にするべきポイントは、タイミングだ」とバッサリ。ごもっともな話だが、上司というのは大抵「なんでこのタイミングでそれいうの?」とミステリアスな行動をとることしばしばである。それは、あなたがすごい!はやく伝えたい!というワガママな行動を押しつけているにすぎないのだ。
タイミングのほかにも、部下とのコミュニケーションにおいてリーダーが大切にするべき配慮のひとつに「場所」をあげている。さらにいうと、「部下と大切なコミュニケーションを取る際に、リーダーが選ぶ場所は『スタバ』一択」という、いささか極端にも思える「スタバに行こう理論」が展開される。たとえば仕事やチームメンバーに対する悩みなど、緊張感を持った話は、スタバの持つ軟らかい雰囲気が最適なのだとか。
ちなみに、ストレスが掛かる話し合いに最適な場所ランキングとして紹介されているのは次の通り。
海辺
広い公園の芝の上
山頂
満点の星空の下
スターバックス
サウナ
夜景の綺麗なレストラン
大型客船の甲板
ホテルのロビー
神社の境内
「これからのリーダーは、部下の立ち位置まで降りて、一緒に仕事をして問題の原因を解明し、一緒に解決する筋道を示すことが求められている」と山川氏はいう。そんな手間の掛かること・・・と思わずに、これからの時代に求められるリーダー像を体現してみてはいかがでしょう。
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