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オークランド・アスレチックスのゼネラルマネージャー、ビリー・ビーンといえば、無駄なものを省き低予算でチームを強くする名人として度々話題になる。統計学的見地から野球を分析するセイバーメトリクスを世界中に広めた他、スポーツに客観的な分析を持ち込んだ意味では他のスポーツ競技への影響も大きい。



関東では9日26時10分より、そのビリー・ビーンGMを描いた映画『マネーボール』がフジテレビ系列で地上波初放送されたが、絶好のタイミングでビリーが今オフシーズン主力選手を追い出す大鉈を振るい、話題となっている。

今オフ、主力のジョシュ・ドナルドソンをブルージェイズに放出、若手選手3人を獲得したり、同じく貢献度の高いブランドン・モスをインディアンズのマイナー選手、ジョー・ウェンドルと交換するなど、巷では「血迷っている」「完全に再建モード」といった声もあるが、アスレチックスが脂の乗った主力選手を高く売り、若い有望株を手に入れるトレードは恒例行事なのだ。ネット上では「今回のトレードは株の取引というより商品先物取引のようだ」と皮肉めいたコメントもあるが、ドライにいい選手を「高いうちに売るという」考え方はウォール街の考え方に近いのかもしれない。

とはいえ20年以上前に席巻した「マネーボール」の手法もすでに各球団が導入しているため形骸化したと言われており、今のアスレチックスはさらに緻密な戦術を導入している。
例えばプラトーンシステムという昔からある手法の進化系、相手のピッチャーでオーダーも出場選手も大きく替えていく。実際リーグを代表するピッチャーの一人、ダルビッシュは完全に読まれているというくらいアスレチックスを苦手としているのは有名な話だ。

それだけでなくこのチームは、新旧の野球のノウハウをデータを織り交ぜた進化系で体現しており、今オフの「乱心トレード」にも何か意味があるように感じずにはいられない。

『マネーボール』でも非情なコストカッターぶりが描かれているビリーだが、今オフはカンサスシティでやや落ち目と言われていた、ビリー・バトラーを3年3000万ドル(約36億円)で獲得するような補強もしていたりと、周りの読みとは違う動き方もしている。いずれにしてもこの賛否を呼ぶトレードが吉と出るか凶とでるか?来シーズンが楽しみだ。

■参照リンク
『マネーボール』公式サイト
http://bd-dvd.sonypictures.jp/moneyball/

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