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アンジュルム『大器晩成』の仕事ぶりがヤバいと話題 音楽制作のプロが教える4つの至言
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アンジュルム『大器晩成』の仕事ぶりがヤバいと話題 音楽制作のプロが教える4つの至言

2015-02-06 22:30
    Filed under: 芸能, カルチャー, 音楽, 深夜, 連載

    2月4日にリリースされたアンジュルム『大器晩成/乙女の逆襲』。スマイレージに新たな3人を加えてのエモさ溢れる1曲目であり、フジテレビ『めちゃ×2イケてるッ!』のエンディング曲に選ばれたこともあって売上も順調のようだ。そんな中、YouTubeにアップされた『大器晩成』のレコーディング風景が話題となっている。音楽制作のプロたちの大人の仕事ぶりがハンパじゃないということで、プロアマ問わず音楽を作ろうと思う人なら必見の内容となっているのだ。


    今回アンジュルム『大器晩成』のレコーディング風景が公開されたのは、アップフロントチャンネルによるオリジナル番組『MUSIC+(ミュージックプラス)』内にて。『大器晩成』は4回に分けてレコーディング風景を追いかけている。その模様をレポートする前に、まずは『大器晩成』のミュージックビデオがこれだ。

    アンジュルム『大器晩成』 (ANGERME[A Late Bloomer]) (Promotion edit(New Ver.))
    【動画】https://www.youtube.com/watch?v=KCQT4STlXz0


    アンジュルムのメンバーによるパフォーマンスも抜群に素晴らしいが、楽曲としての力強さをお分かりいただけたかと思う。それではこの曲が実際どのようにして作られていったのか? 全4回のレコーディング風景の中から、プロが語った4つの至言を紹介していきたい。音楽制作を趣味にしている人、あるいはこれから音楽を仕事にしようとしている人は見ておいて損はないはずだ。

    (1)「ドラムの音色で曲の"時代"が決まる」

    アンジュルム「大器晩成」レコーディング#01(ドラム編)
    【動画】http://youtu.be/YfyYLHSyEEk?


    レコーディングでまず取りかかるのは楽曲の方向性を決めるドラム。今回の『大器晩成』は70年代ディスコ的な曲調をねらっているため、ドラムによってその時代性を感じさせるのがキモらしい。リズムだけではなく音の質も重要なため、ドラム自体のチューニングやマイクの変更、さらには反響を抑えていた壁の毛布をはがすなど、非常に細かい調整によって求める音を探し出す。そんな気の遠くなるような作業を経て、楽曲の骨子が形作られていくのだ。

    (2)「打ち込みだけだと予定調和なものにしかならない」

    アンジュルム「大器晩成」レコーディング#02(ギター・ベース・パーカッション編)
    http://youtu.be/Tzmue3mReQs?


    アイドル楽曲だからと言ってピコピコさせていれば良いわけではない。特にハロー!プロジェクトの楽曲は原則として生歌原理主義を貫いているので、後ろで流れる音もまた生きていることが必要とされる。ギター、ベース、パーカッション、それぞれのプロがバチバチな職業意識を発揮し、全員の力によって楽曲の底力を上げていく様は圧巻の一言。人間がやるからこそのエネルギーが曲に吹き込まれていく。

    (3)「1サビ終わりの感想、1回聴かせてもらっていいですか?」

    アンジュルム「大器晩成」レコーディング#03(コーラス編)
    http://youtu.be/fV7F584OUWo?


    「コーラス編」ということで勿論アンジュルムのメンバーも何度も声を録り直すのだが、上記の言葉は作詞・作曲をつとめる中島卓偉の言葉。既に楽曲は完成しつつあるが、この段階でも思いついたアイデアは曲に反映され、新たなコーラスが加わることになる。現場に作り手というか最終決定者がいるからこそ、この試みは可能になる。最後までしぶとく粘るプロの矜持が素晴らしい。

    (4)「竹内、ちょっと『ち』じゃない?」

    アンジュルム「大器晩成」レコーディング#04(トラックダウン編)
    http://youtu.be/6QK7bdoDs78?


    数多くのプロフェッショナルの手によって作られたそれぞれのパートが最終的にミックスされる行程だが、ここにもまた、さらに良いものにしようとこだわるプロフェッショナルがいる。上記の発言は歌詞にある「♪死んだあとに〜」の最初の「し」が「ち」に聴こえるという指摘。こうして全員の歌声を確認しながら、音量やエフェクトを調整して楽曲としての全体的な調和がなされる。普通に聴いていると気付きにくいが、1サビでメンバーの和田彩花によるウィスパーボイスを隠し味として加えるというこだわりっぷりも、恐れ入りましたと言うほかない。

    このようにして、数多くのプロフェッショナルが頭と手を使い汗をかいて、ようやくひとつの楽曲が完成する。ここには自分のやるべき仕事に対して真正面から向き合い、決してなめていない仕事人がいる。アイドルが歌えばそれはアイドル楽曲になる。だからと言ってプロの仕事をしてはいけないということはない。与えられたその場所で、求められる以上の仕事をするという、それがプロのやり方である。

    今回『大器晩成』の両A面となる『乙女の逆襲』の編曲を手掛けるCMJKはTwitterで「アイドル仕事って想像以上に縛りが無くて自由度が高いんだな。大変だけどやってておもしろいし勉強になるし1曲やるたびに自分が一皮剥けた気がします」とツイートしている。そう、アイドル楽曲という仕事には、アイドル楽曲という仕事にしかない可能性に溢れている。その可能性が見事に開花したのが、アンジュルムの『大器晩成/乙女の逆襲』だと言えるだろう。初回限定版にはDVDも収録されているため、レコーディング風景の様子と比べながら繰り返し曲を聴いてみると、また新たな楽しみと発見があるのではないだろうか。

    <結論>
    そしてこの『MUSIC+(ミュージックプラス)』におけるレコーディング風景の模様は、楽曲のクリエイター、あるいはそれぞれの楽器のパフォーマーやアレンジャーといった「名前が前面に出る裏方」だけではなく、レコーディングエンジニアやレーベルマネージャーなど「あまり名前を見ない裏方」の顔と名前が出ているのが素敵なところだ。楽曲に携わる誰もがプロフェッショナルであり、そして何よりも、誰もがみな"音楽が大好き"というのが映像から伝わってくる。プロフェッショナルの仕事をしながら、誰もが笑顔で楽しんでいる。これは音楽というジャンルだけではなく、どんな仕事にも通じる大切なことではないだろうか

    文・相沢直

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