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『アベンジャーズ』『マイティ・ソー』のクリス・ヘムズワースが主演、『ヒート』『コラテラル』のマイケル・マン監督が描く最新作『ブラックハット』が、ネット社会の盲点と危険性をリアルに描いていると注目されている。


5年ぶりの新作となるマイケル・マンが今回描くのは現代の闇、そうネット社会だ。本作は、ネットワークが進化し、どこにいても世界中が標的可能となった現代が舞台。世界中で多発するネットワーク不法侵入による凶悪事件の解決に向け、要求も声明もない"追跡不能"の犯人に迫る極上のサスペンス・エンターテインメントになっている。

「私たちはデータと相互接続という目に見えない骨組みのなかで暮らしている。私たちのすること、触るものはすべて、ウェブという網の目の一部だ。それはまるで、隣にとても危険な人が住んでいるのに、それに気付かずドアと窓を全部開けっ放しにして暮らしているようなものだ」と語るマン監督は、ある事件がきっかけとなりサイバー犯罪について調査を始め、その脆弱性に驚いたと言う。
その事件とは、数年前、複雑に設計されているだけでなく、兵器化までされている"コード"が、発見された時にはすでに核施設であるイランのウラン濃縮工場に不正侵入していたという事件。このマルウェア(破壊工作ソフト/コード)は、「スタックスネット」と呼ばれ、施設内外でまったく検知されなかっただけではなく、このコードで周波数変換装置が攻撃されたことにより、約8400台の遠心分離機の全てが稼働不能に陥るという事態にまで発展した。


今回監督は、映画を作るに当たり3人のエキスパート、マイケル・パニコ(サイバー犯罪監修)、ケビン・ポールセン(ハッキング・コンサルタント)、クリストファー・マッキンレー(ハッキング・コンサルタント)に協力を仰いだ。

サイバー犯罪監修に携わったマイケル・パニコは、「今、あらゆる装置がインターネットに繋がって来ているでしょ。そうやって、何もかもをオンラインにする世の中へと急速に向かってる。それって賢いことなのかな。まず、攻撃対象として考えた場合にやたらと広範囲な標的ができあがるよね。そして当然ながら、セキュリティなんていうものは、イノベーションができたあとから付いてくる。じゃあ、そのセキュリティを編み出すまでの期間はどうなるのか。それがこの映画では大きく取り上げられている問題なんだ」と語る。

元ハッカーのケビン・ポールセンは、かつて収監されていた囚人達が、ハッキングという犯罪に興味を持ちはじめた様を目の当たりにしてきた経験を持ち、「囚人たちは『コンピュータを使って防犯カメラをシャットダウンできるか?コードを書けば何でも侵入できるのか?』と聞いてきたよ。自分が刑務所に入った時よりも、出た時の方が良い犯罪者になっていた気がするね」と語る。

そして、ハッキング・コンサルタントとして参加し、アノニマスの数々の活動に関与する運動家クリストファー・マッキンレーは、「製作のきっかけとなったのが、イランの核施設に対するスタックスネットのウィルス攻撃だから、実在の出来事にちゃんと即してる。このきっかけから映画の完成に至るまで、物語も、セットも、セリフも、画面に現れるコードまでもが、ディテールにとことんこだわって作られているよ」と語る。

USBを差し込むだけでデータを破壊し、情報を盗み出し、核施設まで攻撃できる現代。3人の専門家の意見を聞くだけでも、とにかく怖すぎるマイケル・マンが描いた現代の闇『ブラックハット』に注目したい。

https://youtu.be/hXMYlQ2L_3U


5月8日(金)よりTOHOシネマズみゆき座他全国公開
(C)Universal Pictures

■参照リンク
『ブラックハット』公式サイト
http://blackhat-movie.jp/

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