Filed under: 映画, 男気

『ヒート』、『コラテラル』の巨匠マイケル・マン監督5年ぶりの最新作となる映画『ブラックハット』が話題だが、そんなマン監督が長年にわたってキープしているトレーニングがあるという。



それは、「興味のある題材を見つけたら、徹底的にリサーチする」という男らしい信念。まさに、"男の美学"=マイケル・マンと思わせる逸話だ。
マン監督は、自分の目で物事を確かめることを大切にしており、そこにこそ最高の物語が眠っていると信じているのだそう。「物語を決めて、それを環境に当てはめていく方法はダメなんだ。環境をアプリのように使っている感じがする。本当にその環境へ潜って、そこにはどんな人がいて、どう考え、歩き、話し、どんな服を着ているか考えるべきなんだ。徹底的なリサーチをすれば、キャラクターが立ち上がって、向こうからやってくるんだよ」。

現実の生活を切り取った物語により深いリアルさと説得力を与えるには、役者達にもキャラクターが生まれ育った場所や出会った人々の情報が必要となる。そこで、マン監督作品で必ず行われるのが、役者にキャラクターの背景を辿らせるというトレーニング。ダニエル・デイ=ルイス(『ラスト・オブ・モヒカン』)や、ロバート・デ・ニーロ(『ヒート』)、トム・クルーズ(『コラテラル』)らも経験したこの手法は、マン独自の映画製作過程として確立している。

『ブラックハット』の主人公ハサウェイ(クリス・ヘムズワース)は、有罪判決を受けた天才プログラマーであり、ペンシルベニア州カナーン刑務所に服役中。シカゴの製鋼工の息子であり、聡明さと強靭な肉体を併せ持つという設定だ。監督はこの主人公に人間味と深みを与えるべく、ハサウェイの出身地や彼が生きている中で出会いそうな人々をヘムズワースに紹介した。

ヘムズワースはそのプロセスを次のように振り返る。「撮影が始まる2ヵ月半前、マイケルが『アメリカに戻ってこい、製鋼所と君の生まれ育ったところを見に行くんだ』と言ってきた。僕はオーストラリアにいたけど、アメリカに戻った。そこで彼は言ったんだ。『ここが君の父親が働いていた場所だ。こういう人たちのなかで君は生まれ育ち、パートで手伝ったこともあったかもしれない』ってね。マイケルは自分の求めるものを正確に把握している。今までで一番準備をしたけど、それ以上に大きな実りがあった。これまでの準備の仕方、そしてこれからの準備の仕方を考えるきっかけになったよ」。



マン監督は、「本物の人間になる必要がある。個人の歴史を知っていれば、役者はそれに共鳴して、先に進むことができる。背景を知っていれば映画でいま起こっていることに反映できるかもしれない。その役の映画に出てこない父親が病に倒れた時にどう感じたのかを考えること。そういうものが背後の物語だ」と語る。そんな監督の最新作を、ぜひ劇場で目撃してみてはいかがだろうか。

https://youtu.be/hXMYlQ2L_3U


『ブラックハット』は5月8日(金)TOHOシネマズ みゆき座 他全国ロードショー

(C)Universal Pictures

■参照リンク
『ブラックハット』公式サイト
http://blackhat-movie.jp/

Permalink

 | Email this | Comments

RSS情報:http://news.aol.jp/2015/04/24/blackhat/