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中川

はぁ~。なんか負けちまったよ。もう生きててもしょうがねぇや、と思っちゃったよ。

編集スタッフA
えっ、ど、どうしたんですか? まぁ、中川さんみたいな頭がおかしい酔っ払いがいなくなると世間は少し良くなるとは思うのですが、理由を聞かせてくださいよ。

中川
あのさ、オレ、TBSラジオの『ライムスター歌丸のウィークエンドシャッフル』から

「ビューティフル・社畜・ライフ・コンサルタント」

という立派な肩書をもらってるじゃん。

A
(なに、それ、初めて聞いた)えっ、えぇ......。立派な肩書ですね。

中川
しかもさぁ、社畜向けニュースサイトの「THE HARDWORKERS」でも記事書いたりして、全面的に社畜の味方を気取ってきたじゃん。それで

「我こそは社畜界の上級者である!」

みたいに振る舞ってきたんだよね。

A
あぁ、そうですよね。前も

「オレはライター界の『庄や』を目指す!」

なんて言ってましたもんね。


中川
そうなんだよ。上の命令に対しては何でも「喜んで!」なんて言うのが「ライター界の『庄や』」にかけた思いなんだけどさぁ、世の中には上の命令がないのに、「喜んで!」と業務に邁進するスーパー社畜がいるんだよ。

A
その方々に負けた、ということですね。

中川

そうだよ。完敗だよ。今日からどうやって生きていけばいいんだよ。





というわけで、


いきなりもってして社畜として私からの敗北宣言なのであります。

いやはや、私はこれまで自分のことを立派な社畜だと思っていたのですが、何をやろうが勝てない方々というのがこの世にはいるワケであります。


それはビールメーカーの社員の皆様でございます。

日本のビール大手4社といえば、キリン、アサヒ、サントリー、サッポロですが、これら企業の皆様が仕切ってくれた宴会を、今さら振り返ってみますね。
なんといいますか、彼らが一つの宴会にかける思いの強さといいますか、強引に「なんとしてもウチのビールを飲ませるぞ、オラ!」という「あっぱれ!」なる社畜魂には感銘を受けざるを得ません。

それでは、各社の社員による見事なまでの社畜道を見ていきましょうか。



【キリンビール・Gの「お前はキリンセンサーがあるのか!」】

私の大学のサークルの同級生にGってヤツがいるのですが、同窓会といいますか、みんなで会おうよ、みたいなことになると必ずGが幹事をするのですね。それは、先輩がいようが後輩がいようが、何があろうともGが幹事をする。大学卒業してから18年、恐らく10回ぐらいはGが幹事を務めた宴会に参加していますが、毎度キリンビールを出す店しか選びません。

かつてのお膝元・渋谷/原宿であったら当たり前なのですが、大手町だろうが神楽坂だろうが荻窪だろうがどこであっても、キリンビールを出す店を持前の嗅覚なのか同社社員向けの秘密のデータベースで調べているのかは分からないのですが、予約をさっさとしてしまうのです。一度、結婚式に参加した後、「ちょっと一杯やっていかない......」となった時、荻窪駅南口の商店街の喫茶店に行きました。いや、普通の街の喫茶店なんですよ!


それなのに、出てきたのはキリンラガーの大瓶!

この時ばかりはGのキリンセンサーに脱帽しましたよね。いや、別に看板に「キリンビール」なんて書いていないんですよ。「ここ入ろう」と自然に入っていくのです。

Gに関して見習うべきは、


その「永遠の小僧」的な姿勢であります。

普通、サークルの飲み会といえば、若いヤツが自ら進んで幹事を買って出るものですが、Gは42歳になった今でも自身の生活を成り立たせてくれるキリンビールという会社に忠誠を尽くし、徹底的に幹事をするのです。今の時代の一番若いOBなんてGよりも19歳も若かったりするんですよ。それなのに、「そろそろ集まらない」なんて話になると「じゃあ、オレが幹事をする」となって必ずキリンビールの店を選ぶのですよ。

Gに「お前はキリンの店をなんでこんなに知ってるんだ?」と聞いたら

「だって会社の飲み会って全部キリンの店でやるから、自然と覚えてしまったんだよ。別に難しいことじゃないさ」

なんて言うのですね。


なお、同業他社の社員と飲む時は、「すべての銘柄が揃っている店を選ぶ」とこれまたアッパレな社畜っぷりなのでした。

【アサヒビール・Kの「生綿で締め上げるかのようなアサヒ飲め飲めプレッシャー」】

私は普段からサッポロ黒ラベル愛を言い続けているのですが、そんな私に対して怪しいアプローチをしてきたのが大学同級生のアサヒビール社員・Kです。Kとは大学の同窓会で会いました。私が通った大学は1学年1000人しかいないため、こじんまりとしており「お前ら集まれ」なんてやったらホイホイとみんな来てしまうんですね。

卒業から15年経った2012年、約130人が集ったその同窓会で声をかけてきたのがKでした。

K:キ、キミィ、オッ、オレ、キッ、キミのこと、ネットで見たことあるぞ!

私:オッ、オマエ、オッ、ソッ、そうか!

K:キッ、キミ、サッ、サッポロビールがスッ、好きなんだって?

私:ソッ、そうだよ! オレはサッポロビールが好きだ。

K:オレ、アサヒで働いているんだけど、今度オレの家に来いよ。来月、家で大規模タコ焼きパーティやるんで、その練習のためにオッ、お前を実験台にしたいのと、アサヒのビールがいかにウマいかを教えてやる。

この申し出は有難かったので「オッ、お前の家イッ、行く」と初対面ながら約束をし、後日Kの自宅に行きました。妻と娘の3人家族で、日経新聞がいかに示唆に富んだ紙面作りをしているのかや、公認会計士の資格を取ろうとしていることなどを語られたのでした。そして、出てきたビールがすごいんですよ。

スーパードライが次々と出てくるのかと思いきや、「アサヒスーパードライ ドライブラック」「アサヒ黒生」「アサヒプレミアム生ビール熟撰」「アサヒスタウト」「オリオンドラフト」など、ありとあらゆる種類を取りそろえる。

いちいち「黒生、これはだね、スーパードライとハーフ&ハーフにしたくなるかもしれないけど、6:4ぐらいの方が個人的にはおいしいと思うよ」なんて、おいしい飲み方をいちいち言うのでした。こうして自社ラインナップを次々と出された結果、私も大酒なものですからすっかり飲み干してしまい、ビールが足りなくなったのですね。
散々ご馳走になっていたので、「オレがビール買ってくるよ」と財布を持って立ち上がったら、酒屋を指定されました。

K:2軒あるけど、国道沿いではなく、住宅街の酒屋で買ってきてくれ。

私:なんで?

K:住宅街の酒屋の方が、アサヒの商品ラインナップが豊富なんだよ。お前、さっき「黒生」気に入ったろ?そっちでは買うことができるんだよね。

このように、


家飲みであっても頑なにアサヒを飲ませ続けるKのこの見事な社畜っぷりに私も大いに感銘を受けたのでありました。

店にはサッポロはあったものの、Kからのにこやかな真綿で首を締めるかのような優しいプレッシャーを感じ、当然アサヒ商品だけ買う結果となったのでした。おいしかったけどね。

【サントリー・T氏の爽やか「僕も行ったことないんですけどね~」攻撃】

さぁ、お次はサントリー。長年仕事でお世話になっているのが超絶イケメン広報担当のT氏です。T氏には何度も取材のアレンジをしてもらったり、記事づくりでは散々お世話になってきました。

そんなT氏とは時々会食をするのですが、選ぶ店は当然サントリーの店。イケメンだし、それなりにエラい方なので良い食事を出すお店、プレミアムモルツの美味しい注ぎ方をする店を毎度選んでくれるのですが、その時の言い方がこれまたイケメンなんですよね。

T:僕も行ったことないんですが、行ったことのある同僚によるとけっこうおいしいらしいので、中川さんを是非、お連れしたいんですよね。

「サントリーのビール置いてるからそこ行くぞ、オラ!」と言うのではなく、あくまでも「すごく食事がおいしい店があると舌の肥えた同僚から聞いたので多分いいお店だと思いますよ」と控えめに誘ってくれるのでした。

T氏が選んでくれる店なワケですから、どれも良店でありまして、特に4月の上旬に行ったのが、新商品・サントリーの高級ビール「マスターズドリーム」の生ビールを飲むことができる東京駅からすぐの「MASTER'S DREAM HOUSE」は良い店でした。
生ハム盛り合わせや、ビアチップス(ポテトフライのことね、ハーブソルトかけました)、ジャコのペペロンチーノなんかが絶品でございました。マスターズドリームも一度飲みたかったので大MANZOKU。5杯も飲んでしまいました。




3人に共通するのが、自社商品へのプライドであります。

自信をもって門外漢に勧めるこの社畜道120%の幹事道、是非とも皆さま見習ってみてはいかがでしょうか。出世すること間違いなしでございます。

さて、気になるのが、私の愛するサッポロビールが登場していない点ですね。


実は私、サッポロビールの方と飲みに行ったことがありませんので、もし飲みに連れてくださる方がいらっしゃいましたら何卒お願いします!
私はこんなにサッポロ黒ラベルを愛しております。


【ビール会社勤務社畜のスーパー極意】

極意1
自社製品を飲ませるため、ひいては自社の売り上げ増加のために、幹事を自ら積極的に引き受けろ!

極意2
ただし、ライバル会社の社員との宴会で幹事を任せられたのであれば、その会社の社員も立てる店選びを!

極意3
「家飲み」の幹事をする時は、自社製品の豊富なラインナップを見せつけるかのように、可能な限り多種取り揃えよ!

極意4
社員だからこそ知る「美味しい飲み方」を素人さんに伝授してやれ! これでお得な気分になれるぞ!

極意5
自社製品を買わせるために、店まで指定しちゃおう!

極意6
あくまでも「食事が美味しい」ということを前面に出し、押しつけがましくない誘い方をしろ!

極意7
社畜たるもの、自社製品に多大なるプライドを持て!


文・中川淳一郎(ビューティフル・社畜・ライフ・コンサルタント)

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