ラッパーのサイプレス上野と、ダンス&ボーカル・グループ:東京女子流の中江友梨が、ヒップホップ・ユニット「サ上と中江」を結成し、ミニ・アルバム「ビールとジュース」を5月20日にリリース!
34歳の男性中堅ラッパーと、17歳の女性アーティストという意外すぎる組み合わせの二人。この二組のタッグは、「共に青春をする」というコンセプトで放送されていたMTVのバラエティ「サ上と中江の青春日記」からスタート。そしてその番組の中で、ラップ・ユニットとして作品をリリースするという流れが生まれ、「サ上と中江」が結成された。
ラッパーとフィメール・ポップ・アーティストとのタッグといえば、"DA.YO.NE"でセンセーションを起こしたEAST END×YURIが思い浮かべられるが、サ上と中江のデビュー・シングルのタイトルが"SO.RE.NA"だったのは、その先達へのオマージュだったことは想像に難くない。その"SO.RE.NA"は、ポケベル世代のサ上と、LINE世代の中江のジェネレーション・ギャップを題材にしながら、根本には「そういった年齢的なギャップは本当は関係なく、今を生きれば誰でも青春が出来る」というテーマに貫かれてた一曲。
この曲をはじめ、このミニ・アルバムの重要なポイントは、ラッパー:サ上は当然ながら、中江友梨も自らリリックを書いたことだろう。そして、そこからは「大人はずるい/子供はダメでなんで大人はいいの?」と、17歳らしい心情を表現した"WE GOTTA GO"や、東京女子流を中心にしたキャリアの中で発見したであろう、自身のアートフォームや自己表現についての思いをタフに描いた"売命行為"など、心情の奥底を明らかにするような中江のラップが生まれた。それは、大人が丁寧にコーディネイトした女子流のアプローチと異なり(だが、それはポップ・ミュージックには重要)、彼女自身の「リアルな思い」が形となり、その瑞々しさが本当に興味深く、そのリアルさはまさしくヒップホップならでは。それに呼応するように、サ上のラップもフレッシュに表現され、お互いに「新たな表現」を目指すような構成が、このアルバムの肝だろう。
そういった部分に加えて、お互いを褒め殺すという珍しいラップ・バトルを繰り広げる"HGB"や、デートの風景を描き、女子流ファン/中江ファンは涙無くしては聴けない(?)"TOO SHY BOY"、スチャダラパーのSHINCOがリミックスを手がけた"SO.RE.NA (SWG REMIX)"など、カラフルに彩られた全7曲。
また、この二人の対談が特別掲載された「サイプレス上野とロベルト吉野のアイドル ライヴ オン ダイレクト」が6月10日に白夜書房より刊行。こちらも要注目だ。
男女ユニットによるポップさと、ラップ・ユニットならではのタフさが共存したサ上と中江は、今年のヒップホップ・シーンにおいて重要作になる事は間違いない。聴き逃し厳禁なニューカマー・ユニットだ!
https://youtu.be/Kcg-Z0tXNPI
1st mini Album『ビールとジュース』
発売日:2015年5月20日(水)より発売中
価格:[CD]2,200円(tax out) [CD+DVD]4,000(tax out) avex trax
・Disc-1(CD)
1. よっしゃっしゃっすREMIX
2. SO.RE.NA
3. 売命行為
4. HGB
5. Too Shy Boy
6. WE GOTTA GO
7. SO.RE.NA(SWG REMIX)
・Disc-2(DVD)
SO.RE.NA -Music Video-
サイプレス上野と中江友梨の青春日記
テキスト/高木"JET"晋一郎
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