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どうも、『マッハスピード豪速球「ガン太」』の『どんなときも。』です!

『天職』・・とてもいい響きですね。「自分の職業は『天職』だ!!!」何て言えてる人はさぞかし充実した仕事が出来ているのでしょう。まあでもそんな事は測るすべが無い事です。誠心誠意全うすればそれは全て『天職』になるのではないでしょうか・・・。


今回はボクの知り合いの中でも唯一彼は天職についていると言える男の話です。

初めに言っておきますが下らない話です。

ボクは高校生の時『応援団部』なる部活に所属していました。応援団部でボクは小暮君(仮名)という奴と友達になります。小暮君は体が大きく太っていてイジられ気質の子です。そんな小暮とボクの日々は大体毎日パターンが一緒で、とにかくボクは朝から部活の終わりまで小暮の言動や振る舞いをイジッたり馬鹿にしたりイタズラをしまくります。

最初はツッコんだりおどけたりしている小暮ですが、あまりにもしつこいボクに最終的には怒ってしまい、ボクは慌てて真剣に謝り、渋々許してもらうという毎日を繰り返していました。今思うと何の生産性の無いアホな毎日です。

今でこそボクは青ひげで腹には肉も付き、だらしない体で胸毛も生えて、良く見ればウッスらハゲてもいますし、イジり返す所がたっぷりありますが、高校生当時のボクは無駄な肉はなく、ムダ毛もなく、無駄に運動神経も良く、はっきり言って少しカッコよかったので

小暮からするとイジり返すところが無い状況です。たまに何かボクがヘマをした時にやり返そうとする時はありましたが、ボクは割と口が上手かったのですぐさま逆転されてしまい、小暮からすると迷惑で悔しい日々を過ごしていました・・・
そんな日々を一年とちょっと過ごした高校二年生の夏のある日この関係が逆転する事件が起こりました。

ボクが応援団の朝練習に向かう途中の駅で、ウンコを漏らしてしまったのです!

ちょっとではありません、半端のない量です。駅の公衆便所でパンツを捨て拭いたりして、何とか応急処置は施したものの、ニオイからシミからそれはもう誤魔化せるレベルではありませんでした。

高校生のボクは学生が一番してはいけない事"ウンコを漏らす"と言う失態をどう納めるべきか・・これは下手すると残りの高校生活ウンコ漏らしというレッテルで台無しになるぞ・・と色々考えましたが、変に隠していて、"こいつウンコ臭くねえ?"とバレるよりもここは応援団の先輩、後輩に素直に"ウンコ漏らした!!"と明るく言った方が被害は少ないと考えました。

ウンコ処理で若干遅刻気味だった為部室前には応援団部全員揃っています・・
先輩が来ているのに遅刻何て許される事ではございません、ボクは猛ダッシュで部室まで走って行きました。そして、先輩がボクに気が付きお怒りの言葉を発するその前に、すかさず後ろを向きズボンに大きく出来たシミを見せつけ「すいません!!ウンコを漏らしてしまい遅刻してしまいました!!!」と大きな声で言いました。

するとその場は爆笑の渦に包まれ、後輩も先輩も笑い転げ一切馬鹿にされる事無く、むしろ皆体調やパンツの替えなどの心配をしてくれる程の反応で無事ピンチを乗り越えたかのように思えたのですが・・
たった一人だけ物凄い反応をした男がいたのです。そうです小暮です・・

小暮はみんなの心配モードを引き裂き物凄い笑顔でボクの前にやってきました。

「いいいやああ!!ウンコ漏らしだー!!!ガン太がウンコを漏らしたぞー!!!いいぇええええいい!!ウンコもーらし!ウンコもーらし!ぎゃあああやあああ!!」

相当今まで悔しさや溜まっていたモノがあったのでしょう、その盛り上がり方は異常でした。こうして、一度は逃れたかと思われたウンコ漏らしの称号は小暮によって引き戻され、次の日から小暮は学校中にボクの失態を言いふらし廊下ですれ違うたびに「ウンコもーらし!!ウンコもーらし!」と言う単純だが一番効く嫌がらせをするようになり、完全に立場は逆転してしまい、ボクは肩身の狭い思いをすることになりました。

それから2か月ほど経ったとき、野球部が甲子園出場を決め、応援団も大阪の甲子園球場に行くことになりました。

深夜にバスでの移動だったのですが、2か月たっているのにも関わらず"ウンコ漏らし"の熱がまだ冷めていない小暮は『応援団部』だけならまだしも、バス定員の関係上ピチピチギャルの『チアリーディング部』も乗っているそのバスで、ポテトチップスをボリボリコーラで胃に流し込みながらボクのウンコ漏らしの話題で大騒ぎ、女の子にも笑われボクはとても人の事を応援している場合じゃなく、応援して欲しい状況でした。

深夜になり、バスは暗くなり消灯の時間です。みんな寝静まった頃バスはサービスエリアに停まり「今からしばらくサービスエリアに寄らなくなるから、トイレは今のうちだぞ」と言う先生からのアナウンスで起こされました。皆返事するわけでもなく、トイレに行く人は行くし、眠い人は何となく聞き流しもう一度眠りにつく中ボソッと小暮が「こんな時間にトイレ行くやつなんている訳ねえだろ・・起こすなよ・・」と言いました。

眠いながらにも"何という横暴な態度なのだ・・ウンコ漏らしトークがウケた為凄い調子に乗ってるな・・"と思いもう一度眠りにつきました。それから約一時間後・・・

「イタィ・・うー、、ぁーィタィ、、」

シーンとした真っ暗なバスの中に微かに響き渡る何者かの声でボクは目覚めました。それは小暮の声でした・・・「ィタィ・・ぁー、ぅー、イタイ、痛い。」最初は何だか分からなかったのですが、確実に"痛い"と言っています。隣に座っていた先輩が異変に気が付きヒソヒソと話かけます。

「どうした?小暮!?」

すると小暮は気まずそうに答えました。「・・お腹が痛いんです・・」

ボクは心の中でガッツポーズをしました。先ほどのサービスエリアでの横暴な態度、2カ月に渡ってのボクに対する"ウンコ漏らし攻め"『チアリーディング部』が乗っているバス、眠る前のポテトチップスとコーラの暴飲暴食が原因であろうこの状況、こんな最高にフリが効いている状況で腹壊しやがったぜ!ここで小暮がウンコを漏らせば完全にボクはまた逆転が出来るのです!!!

頼む!漏らしてくれ小暮!!!

先生も異変に気が付き、バスの電気はつけられ、次々に目覚めていきます!もちろんチアリーディング部もです!皆が注目している。舞台は整った!!小暮の陣痛のような「いたーい、いたーい、痛――い!!」と言う痛がり方でバス内はパニックです!イケ!!漏らせ!!!

「もうちょっとでパーキングだ、頑張れ!」と先生が言った次の瞬間!
「あッ!・・」と小暮は短く叫びました。
一同「・・・・」
「ちょっチョットだけ出ちゃった・・」

小暮はさっきまでの陣痛が嘘のような穏やかな顔になってました。政権が再び変わった瞬間でした。

その後小暮はサービスエリアで先生に付き添われ、パンツなどをはき替えたりお尻を掃除したり、サービスエリアにとってもお世話になったのです。この後の彼の学生生活がどうなったかはご想像に任せます。現在、小暮(仮名)は何の因果か某有名サービスエリアに就職して働いてます。正に『天職』彼は誠心誠意働いている事でしょう。

==著者プロフィール==
マッハスピード豪速球・ガン太
1984年生まれ。人間の本質をとらえたコントを得意とす るお笑いコンビのネタ作り担当。オフィス北野・フライデーナイトライブで才能を見出され、2012年1月オフィス北野所属となる。テレビ東京「ゴッドタン」の若手芸人対象アンケート『華は無いけど実力はある芸人』で3位と周りの若手芸人からも一目おかれる存在。日本喜劇人協会主催『第一回コント新人大賞』準優勝。また、水道橋博士の運転手だったことでも有名。

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