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過去を振り返るのではなく、未来へ向かう物語『東北ライブハウス大作戦~繋ぐ~』
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過去を振り返るのではなく、未来へ向かう物語『東北ライブハウス大作戦~繋ぐ~』

2015-08-07 19:00
    Filed under: 国内, カルチャー, 音楽, 全社必見


    未曾有の被害をもたらした東日本大震災。大きな地震が起き、津波が襲った被災地ですぐに復興支援に立ち上がったバンドマンがいたことを覚えている方も多いだろう。BRAHMANがいち早く被災地に入り、東京で集めた支援物資を届け、SLANGのKOは地元の札幌からかけつけ被災地を奔走するなど、全国のバンドマンが復興支援をしている様子をTwitterで知り、自らもボランティア活動に掻き立てられたような方もいたはず。そんな中、『東北ライブハウス大作戦』という言葉を耳にするようになったのはいつからだったろうか。

    ところで『東北ライブハウス大作戦』とはいったい何なのか? ライブハウスを根城にするバンドマンたちの被災地支援のこと? チャリティーグッズを販売して、売上の一部を募金すること? ガキ大将が考えつきそうな(失礼!)そのプロジェクト名を知る人は多くても、もしかしたらその実態をしっかりと説明できる人はかなり少ないかもしれない。という意味で7月に刊行された『東北ライブハウス大作戦〜繋ぐ〜』(石井恵梨子著)が果たす役割は実に大きい。

    この『東北ライブハウス大作戦〜繋ぐ〜』は著者の音楽ライター石井恵梨子氏がバンドマンや関係者への取材を通して、「被災地にライブハウスを作る!」というこのプロジェクトの核となる部分を描いている。関係者自身の言葉と著者のレポートが交わりながら時系列に進んでいくことで読み手は震災から今までの経緯をライブ感を伴いながら知ることができる一冊だ。

    『東北ライブハウス大作戦』にはさまざまな主要人物がいるが、その中でも特にこのプロジェクトの発起人であり作戦本部長の西片明人氏が新宿ロフトのハコPAを経て、1994年から2000年の活動休止までHi-Standardの第4のメンバーとして活躍したことをこの本で初めて知る人も多いと思う。発起人であり、最重要人物である西片氏自身のキャリアが鮮烈に描かれていることからもわかるように、このプロジェクトがライブハウスを取り巻く人たちのとびきり熱い思いを推進力にしていることを読み解くことができるはす。

    また、もちろん登場するバンドマンたちの声からもこのプロジェクトの実態を垣間見ることができる。ライブハウス経営と復興支援についてリアルに語ったSLANGのKO、共に「東北ライブハウス大作戦アコースティックツアー」をまわったことを振り返る細美武士(the HIATUS/MONOEYES)とホリエアツシ(ストレイテナー)の対談、Hi-StandardとAIRJAMの復活を赤裸々に語ったKen YokoyamaとTOSHI-LOW(BRAHMAN)の対談などサイドストーリーも必読だ。

    津波被害を受けた宮古、大船渡、石巻にそれぞれ建ったライブハウスの物語は過去を振り返るようなものではなく、現在進行形で今も息吹いている。そして、それはそのまま未だに復興支援が必要な被災地の状況を映し出す鏡のようでもある。人間力に満ち溢れた『東北ライブハウス大作戦』を通して、思いは実現できるという未来へ"繋ぐ"メッセージをこの本から感じることができるはずだ。何より、熱いストーリーに気合が入ることは間違いない。

    https://youtu.be/ojGaSxO96yY


    https://youtu.be/SmMdUWqPN_4


    【参照リンク】
    ・東北ライブハウス大作戦公式サイト
    http://www.livehouse-daisakusen.com/

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