全米初登場1位を記録、本年度アカデミー賞・脚本賞にノミネートされた映画『ナイトクローラー』が遂に8月22日より公開となる。
「ナイトクローラー」とは、事件・事故現場に駆け付けて被害者にカメラを向け、それをテレビ局に売りさばく報道スクープ専門の映像パパラッチだ。これはロサンゼルスで実際にある職業で、主演のジェイク・ギレンホールは、ナイトクローラーとなり、視聴率がとれる刺激的な映像を手に入れるために、不法侵入や、絶好のアングルのために証拠品を動かしたり、犯人情報の隠ぺいまでするなど行動をエスカレートさせていく・・・。
本作は、テレビ業界の裏側を舞台にした作品でもあることから、公開前に開催されたマスコミ試写にはテレビ局のプロデューサーやディレクター、アナウンサーやキャスターに至るまで大勢押しかけたとのこと。
そこで、ルイスが劇中で見せる様々な言動をもとに、全国各地のテレビ制作関係者に無記名ガチアンケートを敢行!これは映画の中だけの話ではないという衝撃的な回答が多数寄せられたのでここで紹介しよう。
まず、【①視聴者が喜ぶ映像のため、やる・やらないに関わらず、ニュース映像につい演出を加えたくなる気持ちに、共感しますか?】という質問について。
「共感する」と答えたのはなんと44%にも及んだ。その理由は、「画を派手にしたい」「面白さを強調したい」といったものから、「事実はストレートに伝えるべき」「個人の人生や国益を損ねかねないので共感できない」と毅然とした回答まで。
続けて、【②あなたが知っている中で「それは捏造では?」という一線を越えた同僚・同業者はいますか?】という質問について。
「いる」と答えたのは22%!これを多いと捉えるか少ないと捉えるのかは難しいところ。具体例としては、「喋る職業で必要以上に過剰な表現をしている人がいた」「犯人の所持品を少しだけ動かした人がいる」といった事例まで挙がったのだ。
そして、【③正直、悲惨・衝撃的な画が撮れると「やった!」と思う?】という質問について。
こちらは、「思う」がなんと50%にも及ぶ結果に。「どういう時にそう感じたか?」との質問には、「ひき逃げされた女性の遺体が転がっていた時」「野々村議員の悲惨な泣き顔が撮れた時」「遺族のインタビューが自局だけで撮れた時」など、誰もが知る身近なニュースに関するコメントも飛び出した。
このような視聴率至上主義のテレビ業界の裏側だけではなく、それを非難しながらもより刺激的で、よりセンセーショナルなものを求める現代社会の闇にも鋭く切り込んだ本作。
この"覗き趣味的な文化"について、監督のダン・ギルロイは「僕らは何かが死んでいたり苦しんでいる場面に対して、自然な興味があるんだと思う。自然な欲求として見てしまうんだ。ロサンゼルスでは5マイル続く交通渋滞に遭うことがある。『なにが渋滞の原因なんだよ?』と思っていると、悲惨な衝突事故が起きていて、渋滞が起きているのは、皆が止まってそれを見ているからだと気がつく。『自分は見たくない』と思っていても、十中八九はチラっと横目で見てしまう。生まれつき備わった傾向なんだろうね」と語る。
昨今、日本でもスマホが普及し、ネットだけでなくテレビでも一般視聴者がスマホで撮影した事故・事件現場の映像や画像が多用され、その善し悪しについても議論が交わされているが、テレビ業界の裏側を通じてそのメディアリテラシーの重要性を再認識できる本作。日頃流れているニュースの見方が変わるかもしれない衝撃作、是非スクリーンで見てほしい。
※今回のアンケートは、東京、大阪、名古屋、福岡、北海道の20~60代のテレビ制作の仕事に就く52名が回答したもの
https://youtu.be/SuwFGMGt1go
『ナイトクローラー』は8月22(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテほか全国順次公開
(C)2013 BOLD FILMS PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS
■参照リンク
『ナイトクローラー』公式サイト
http://nightcrawler.gaga.ne.jp/
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