Filed under: TV, カルチャー, かわいい

視聴率的には数作を除き総崩れ状態の夏の連ドラ。といっても今期に限らず、ここ数年ドラマの低落傾向は続いている。内容以前に、スマホ時代でテレビ離れが加速し、特に腰を落ち着けて観るドラマには逆風になっているようだ。
そんななか、深夜でチャレンジに気を吐くのが『となりの関くんとるみちゃんの事象』(MBS・TBS)。



正味25分ほどの中に『となりの関くん』と『るみちゃんの事象』の2本立てで、この学園ショートドラマがおかしな味わいを醸し出している。テレビで4コママンガを観ているような感覚だ。

共にマンガ原作(4コマではない)。『となりの関くん』は教室の隅の席で授業中に机の上で何かして遊んでいる関くん(渡辺佑太朗)と、それを隣りの席で見ている横井さん(清水富美加)の話。清水は朝ドラ『まれ』の一子役などで人気上昇中のバラエティ系女優だ。
関くんが机の上でやる遊びはドミノ、一人将棋、棒倒し、ミニラジコンなどだが、どれも手が込んでいる。大量の消しゴムを使ったドミノでは、シーソー、連続S字、立体交差を作って、小さなロープウェイで後ろの荷物棚の上まで行き、最後は打ち上げ花火(の絵)が出たり。それを真面目な横井さんがハラハラしながら見入ってしまう・・・というだけのストーリーだ。関くんはひと言もしゃべらず、横井さんもほぼ心の声のみ。清水の顔芸が面白い。そんなことをしていたら先生に見つかるだろう・・・なんてことは言いっこナシで。

『るみちゃんの事象』は10数分をさらに4本立てに分割。チョビヒゲを付けて登校してきて「ドジっ子になりたい」と嘆いたりする摩訶不思議な女子高生・るみちゃん(トミタ栞)が周囲を振り回すコメディ。バイトの面接で履歴書と称して"馬っぽい亀の絵"を出したり、勤務は「週ゼロでお願いします」と言い放ったりで、特にオチはない。「舎弟だから」とカッパを電話で呼び出したりもして、投げっぱなしのドラマだが妙に笑える。トミタ栞は歌が本職のアーティストで、ドラマは初出演。『sakusaku』(tvk)のMCなどでエキセントリックな天然キャラが知られ、るみちゃん役には「役作りの必要がない」とも言われている。

テンポ良くシュールなギャグを入れ込んでくるのが4コママンガ的で、深夜にユルッと観るのにちょうどいい。とはいえ、ネットでは評価に賛否両論ある。「実写でやるのはキツイ」「意味不明」といった否定派から、「なんじゃこりゃ?の世界がいい」「深夜にワロタwww」といった賛成派まで割れている。ハマる人は深くハマるようではあるが。

いずれにせよ、賛否が真っ二つになる実験的ドラマを、深夜とはいえキー局が放送した姿勢は評価すべきだろう。それをゴールデンタイムでも・・・という意味ではないが、閉塞状況のドラマシーンに風穴を開ける試みはもっとあっていい。

文・斉藤貴志

https://youtu.be/D5VRH25EI94


■参照リンク
『となりの関くんとるみちゃんの事象』公式サイト
http://www.drama-sekirumi.com/

Permalink

 | Email this | Comments

RSS情報:http://news.aol.jp/2015/09/04/sekirumi/