貧しい一家を支える女学生と体の不自由な父との心あたたまるCMが、ネット上で感動の嵐を呼んでいる。
https://youtu.be/3qsWniCW72s
スー・ファンはしっかり者の長女で、体が不自由な父と幼い弟と妹と暮らしている。学校の勉強も人一倍がんばり、試験の成績も優秀。学校が終わってからは、叔母の店でタルト作りのアルバイトに精を出し、家計を支えている。そんな彼女は、まさに"一家の希望"だ。
ナレーションの声=父は「私の亡くなった妻が言っていた。スー・ファンは他の子どもたちと違う、と。あの子はいつも家族のことをいちばんに考えている」と語る。
学校の試験結果発表の日、スーは先生から「よく頑張ったわね」と成績表を手渡される。その晩、食卓で父に成績を聞かれた彼女は「あまり良くなかったの...」と父に告げた。いつも必死に勉強していた姿を見ていた父は当然、「なぜなんだ、一体どうしたんだ?」と詰め寄る。
そんな父に「だから、卒業したら進学せずに働こうと思うんだ」と告げるスー。家族想いの彼女は「働けば家計だって助けることができるから」と理由を説明するが、父は「学業も修めなくて、誰が雇ってくれるというんだ! 私のように役立たずになってもいいのか!?」と激昂してしまう。父の落胆ぶりと怒りに何も言い返せなくなってしまうスーだったが、さらに父は幼い弟と妹に「お姉ちゃんみたいな出来損ないになるんじゃないぞ!」とまで言い放った。なんとも後味の悪いまま1日は終わり、その後も父のスーへの失望の気持ちは消えず、家族の空気は寒々としてしまう。
そんなある日、父はスーの机の上に学校の成績表があるのを見つけた。あの子の成績が悪くなるなんておかしい...と感じていた父は成績表をこっそり見てしまうのだが、スーの成績は悪いどころかほとんどが"A"という、あまりに優秀な成績だった。
そこでようやく、父は全てを悟る。スーは家族のために嘘をついていたのだ。そこへ帰って来たスーに「私が役立たずなばかりに、すまない...」と泣きながら何度も謝る父。彼女も泣きながら「心配しないで、きっと物事は良くなっていくから」と慰め、親子は抱き合うのだった...。
「どんな子どもでも、その未来が犠牲になるようなことはあってはならない」...この映像作品は、シンガポールの保険会社が主催する教育基金の広告。経済的な事情のためにポテンシャルを発揮することができない子どもたちのための基金である。スー・ファンのように、自らの意思で学業を諦めようとしたのだとしても、若者の可能性が閉ざされてしまうのは悲しいことだ。このCMは、全ての子どもがその可能性を全うできるようにと訴えているのである。