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アイドルのバラエティ進出の先駆者だった『アイドリング!!!』が解散、9年の歴史を振り返る
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アイドルのバラエティ進出の先駆者だった『アイドリング!!!』が解散、9年の歴史を振り返る

2015-10-25 12:30

    最初で最後の日本武道館コンサートを行ったアイドリング!!!の冠番組『アイドリング!!! 10年目の明日ング!!!』(フジテレビONE)が今月いっぱいで終了。メンバー19人は全員卒業=事実上の解散となる。


    アイドリング!!!は現在のアイドルグループブームの初期を、AKB48と共に盛り上げた立役者だった。結成は2006年10月。フジテレビの帯番組発のアイドルとして、歴史的ブームを起こしたおニャン子クラブ、永作博美(元ribbon)や三浦理恵子(元CoCo)を輩出した乙女塾、熊切あさ美が在籍していたチェキッ娘の系譜を継ぐ。

    前年結成のAKB48が秋葉原の専用劇場を拠点に"会いに行けるアイドル"という新しいコンセプトを打ち出したのと対照的な、伝統的なメディア発信型。ただ、当時はモーニング娘。人気も下火になりアイドルシーンが低調で、番組は視聴者層が限られていたCSでの放送だった。

    アイドリング!!!が新しかったのは、バラエティ路線への取り組みだ。番組とグループの初代プロデューサー門澤清太氏は、もともと『人志松本のすべらない話』などを手掛けていたバラエティ畑の出身。『アイドリング!!!』でメンバーはいわゆる"アイドル"扱いをされず、相撲やプロレス技など体を張った企画に挑戦したり、罰ゲームとして顔面に強風を当てられてひどい変顔をさらしたり、ゲテもの食いをしたり。

    メンバーたちは「私たちは笑われるアイドル」と自虐発言し、「職業:アイドル。」という曲には"ゲームに負けてパイまみれ 笑い取れずマネージャーが説教"といった歌詞も。アイドル番組らしからぬ現場で、どんな企画もやり切ってバラエティ力を上げてきた。初期に『HEY!HEY!HEY!』(フジテレビ系)でAKB48と共演したときは、アイドリング!!!のほうがトークと面白さで完全にウケを持っていった。

    だが、AKB48も『AKB0じ59ふん!』から現在も続く『AKBINGO!』(日本テレビ系)などテレビで冠バラエティを持ち、アイドリング!!!と同じような体を張る企画にも挑んでいく。そのなかで、中堅メンバーだった指原莉乃がバンジージャンプを2回に渡って飛べず、ヘタレキャラから頭角を表したりも。

    後続のアイドルグループもこうした企画を厭わなくなった。今ではアイドルがボケたり"ヨゴレ"を担うのも普通。アイドリング!!!の得意分野が必ずしも突出したものでなくなる。2009年1月にはAKB48との合体ユニット「AKBアイドリング!!!」で話題を呼び、この時点ではAKB48と拮抗していたものの、その後は差が開く一方。

    国民的グループとなったAKB48と比べるのは酷としても、アイドリング!!!はスタートが早かった分、アイドルブームが起こった頃には後からデビューしたももいろクローバーZなどより新鮮さに欠けた面があり、人気は伸び悩む。ブレイクし切れないまま、9年の歴史に幕を閉じることになった。

    とはいえ、21世紀のアイドルがバラエティ力を上げる道を開いたのがアイドリング!!!だったことも事実。その功績は小さくない。卒業生では菊地亜美がバラエティタレントとして独り立ちして活躍している。

    あと、『アイドリング!!!』でずっとMCを務めてきたのはバカリズム(升野英和)。スタート当初はピン芸人になって程なく、初のテレビレギュラー。ほぼ素人だったアイドリング!!!メンバーたちのトークをうまく回して、番組を盛り上げてきた。その後、『R‐1ぐらんぷり』などで評価され、今や押しも押されぬ売れっ子。9年続いた『アイドリング!!!』から最もブレイクしたのはバカリズムだったとも言える。

    文・斉藤貴志



    ■参照リンク
    『アイドリング!!!』公式サイト
    https://idoling.fujitv.co.jp/
    RSSブログ情報:http://news.aol.jp/2015/10/24/idoling/
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