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握手会をやらないアイドルグループ「さくら学院」が続々とスターを輩出できるワケ
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握手会をやらないアイドルグループ「さくら学院」が続々とスターを輩出できるワケ

2015-12-04 21:30

    『エンジェル・ハート』(日本テレビ系)でヒロインの香瑩(シャンイン)を好演中の三吉彩花が、11月23日放送の『しゃべくり007』に出演。元暗殺者の役づくりについて語り、トレーニング方法を披露した。


    彼女の経歴紹介のなかで、かつて所属していたアイドルグループ・さくら学院についても自ら語った。J:COMのCM「ど根性編」「どシンプル編」や映画『通学電車』などに出演の松井愛莉、アイドルとメタルを融合して世界的人気を呼ぶBABYMETALの3人もメンバーだったことにも触れて。

    有望な卒業生を輩出するさくら学院は、最近ではメンバーの岡崎百々子が博多華丸の娘とわかり話題になったが、この12月8日でデビュー5周年。数あるアイドルグループのなかでも、特殊なスタンスで活動している。

    5年前はAKB48の大ブレイクを受け、大手プロダクションが相次ぎアイドルグループ界に参入していた頃。柴咲コウ、北川景子らが所属するスターダストプロモーションが手掛けたももいろクローバーがメジャーデビュー。エイベックスも初のアイドルオーディションを大々的に開催し、SUPER☆GiRLSが生まれた。

    さくら学院も、サザンオールスターズ、福山雅治を始め上野樹里、吉高由里子ら多くの人気タレントを擁するアミューズの所属。ただ、他のアイドルグループと異なる方針として"成長期限定ユニット"を謳った。メンバーは小・中学生のみで、中3の3月を持ってグループからも卒業するのが決まり。そして、"学校生活とクラブ活動"がテーマとされた。

    当初は単に他のグループと差別化するコンセプトに思えた。直に言えばロリータ好きをターゲットにしたのではと。だが、"学校生活"に沿ってライブ以外に「公開授業」というイベントを実施。メンバーが生徒となり、講師を招いてダンスや音楽からアート、科学、俳句など幅広く学び、その成果を歌にしたり。

    "クラブ活動"でもバトン部、料理部などがグループ内で生まれ、三吉と松井の長身コンビは新聞部だった。BABYMETALも元はさくら学院内の重音部から、活動が広がったユニット。

    そして他のアイドルと決定的に違うのは、握手会をやらないこと。AKB48の躍進を支えたメンバーと直接触れ合える握手会は、もはや"特色"でなくアイドルの"前提"だが、さくら学院ではファンは"父兄"と呼ばれ、活動を見守る立場。握手会を要望する声も少なくないが、父兄が生徒と握手するのはおかしいと。小・中学生のアイドルが父親ほどの年齢のファンと握手会をこなすのは負担が大きい場合もあるが、その点、さくら学院は健全に守られている。

    CD売上げは特典となる握手会をやると全然違う。それもあり、さくら学院はブレイクに至ってない。しかし、グループ卒業の途端に人気が落ちるアイドルが多いなか、さくら学院からは三吉、松井、BABYMETALと卒業後に活躍中だ。

    彼女たちも中学卒業と同時にさくら学院から抜けた当時は、もったいなくも思えた。高校生ならアイドルとしては旬。だが、そこでスパッと区切りをつけたことでアイドルのイメージを付けず、退路も断って女優やモデルに移行できた。さくら学院はアイドルのトップを獲るのが目標でなく、卒業後に羽ばたく準備としての活動。まさに社会に出る前に勉強する学校と同じ機能になっている。

    事務所としても、アイドルとして10代で燃え尽きるより、末永く活躍できるタレントが何人かでも生まれたほうが、長い目で見ればメリットは大きい。超大手のアミューズだから、できることかもしれないが。

    今年5月、三吉はさくら学院の転入式(新メンバー紹介イベント)を観に行き、楽屋で後輩たちを訪ねた写真をインスタグラムに上げていた。小・中学生メンバーと一緒に写ると、もはや保護者のようだったが、本人も"母校"に愛着が強い様子。この後輩たちから三吉らを継ぐスターが生まれ、また次に......というサイクルが出来上がったとき、さくら学院の試みは成功となる。

    文・斉藤貴志

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