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ドリフターズが強敵・コント55号&巨人戦中継と戦う作戦「ジャズ喫茶」スタイルとは 【ぼくたちの好きな土8戦争(3)】
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ドリフターズが強敵・コント55号&巨人戦中継と戦う作戦「ジャズ喫茶」スタイルとは 【ぼくたちの好きな土8戦争(3)】

2016-01-01 18:30

    「この一時間番組を毎週生放送でやって欲しいんだ。それもスタジオじゃ面白くない。公会堂かどこか借りて公開生放送だ」
    居作昌果は、『8時だョ!全員集合』の構想をいかりや長介にそう語り、さらに続けた。
    「実は公開生放送にすること以外、まだ全然中身は固まっていないんだ。とりあえず、ドリフの持ちネタでもたせてくれないか」


    これにはいかりやも閉口して、思わず本音をぶつけた。
    「何血迷ったこと言ってんだよ。毎週1時間の生放送なんて御大層なこと、できっこねえよ」
    ドリフターズはこれまでもゴールデンタイムに『進め!ドリフターズ』や『突撃!ドリフターズ』(ともにTBS)などを公開番組として作ってきたが、これは30分番組。1時間の、それも生放送の経験はもちろんない。しかも放送枠は「土8」だ。もちろん、最大のライバルになるのは『コント55号の世界は笑う!』だが、それ以外にも日本テレビでは、巨人戦のナイター中継があった。ゴールデンタイムに1時間番組を持つ、というのは、テレビタレントとしては、こんなに誇らしいことはない。だが、そんな強敵を前に1時間の公開生放送はあまりにもハードルが高かった。

    だが、逆に居作は、だからこそ公開生放送しか勝てる道はないと考えていた。
    「誰が観たって、今のドリフターズがコント55号にかなうわけがない。そうだろ? 局の人間すら、完敗するぞと言っているくらいだ。そこをどうにかするかはさあ、毎週生放送でテンションあげていくしかないんだよ」
    説得を続ける居作の言葉を聞きながら、いかりやは次第に、「リハーサルをみっちりやったうえでの公開生放送」というスタイルに惹かれ始めていた。

    なぜならそれは「ジャズ喫茶」と同じスタイルだったからだ。もともと、ザ・ドリフターズはジャズ喫茶で修業を積んだバンドだ。「ジャズ喫茶をフランチャイズにしていたことがのちのちの財産になった」といかりやは語っている。ジャズ喫茶に来るファン、特にドリフターズ目当てに来る客は、いわゆる"好きもの"が多く、毎回のように訪れるので、ドリフターズもそれに応えるように毎回毎回必ず新ネタを用意していた。

    常連客からは「これは、あそこを練ればよくなるね」などと声がかかるようになったという。だからドリフターズ側も「これからやるネタはまだウケないかもしれないけど、それを怖がったら人間進歩がないんで、やります」「この未完成の、過程にあるものを見るのが頭のいい人には面白いんだ」などと平気で公言し、ネタを試すようになった。そこで笑いのパターンがいくつも生まれたのだ。

    綿密なリハーサルをやって客前で演じる。それはこのジャズ喫茶も同じだった。『全員集合』の構想はその延長線上とも言えた。「ジャズ喫茶では考えられないような予算をとり、大がかりなセットも組めるなら、目の前の客を笑いに引き込む自信はある」。いかりやは決心を固めたのだ。

    (参考文献)『だめだこりゃ』いかりや長介:著

    https://youtu.be/WN0a-QBWCLQ


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