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ハードワーカーの帝王・CA藤田晋社長(元麻雀最強位)に突撃取材! 「ニコ生の麻雀番組だと牌が見づらいからAmebaFRESH!を作った」
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ハードワーカーの帝王・CA藤田晋社長(元麻雀最強位)に突撃取材! 「ニコ生の麻雀番組だと牌が見づらいからAmebaFRESH!を作った」

2016-01-22 21:31

    1月21日、サイバーエージェントは映像配信プラットフォーム「AmebaFRESH!」の始動を発表した。PCとスマホで無料で生放送を視聴できるこのサービス、サービス開始時点で、約200チャンネル、1000番組が用意されている。芸能人が登場する番組もあれば、サーフィンやバスケットボール、アイスホッケー等のスポーツ試合中継に加え、犬が登場するものや、麻雀中継なども行われる。テレビ局やラジオ局、出版社と組んだコンテンツもオンエアされていくという。

    何やら楽しげな雰囲気がプンプン漂ってくるが、となれば、労働者を応援する当サイトとしては、生みの親というか、寝る間も惜しんでサービスをローンチさせた親玉に会わなくてはいけないではないか。2014年末、「社畜・オブ・ザ・イヤー」なる賞を勝手に我々が贈った過去を持つサイバーエージェント社長にして、「麻雀最強戦2014」覇者でもある藤田晋氏にAmebaFRESH!について色々聞いてきたぞ!


    中川:ふ、藤田しゃっ、社長! こ、このたびはサッ、サービスローンチおっ、おめでとうございます!

    藤田:あの・・・、浅草キッドさんが書くところの寺門ジモンさんみたいな喋り方やめてくださいよ。

    中川:しゃっ、社畜界のてっ、帝王とあっ、会えて、きっ、今日は、かっ、感激しております!


    藤田:(めんどくさいヤツが来たな、という表情を浮かべ苦笑い)はい、今日はよろしくお願いしますね。

    中川:AmebaFRESH!って基本的には「ネットでテレビを観る」ってイメージでいいんですよね? つまり、様々な番組が同時に進行していて、チャンネルを変えたら別の番組をやっている、という。それでいて、地上波ほど制約をうけない形で制作者が自由に番組を作っている、という感じですか?

    藤田:そうです。その考えでOKです。もともと、AmebaFRESH!はニコニコ生放送で麻雀番組を観まくったことが作ろうと思ったきっかけなんですよ。

    中川:やはり、麻雀最強を維持するには、日々の研鑚が必要だということですね。なるほど、有段者の手を研究するのに、麻雀の中継は確かに役に立ちますよね。持ち牌を覗けるわけですから、こりゃ、麻雀ファンにはたまらん番組ですわぃ。

    藤田:ただ困ったことに、スマホだと牌が見えにくかった。そして、コメントが流れてくることこそニコ生の特徴ではあるのですが、画面にコメントが重なると対局が見えづらくて・・・これが苦手な人もいるんじゃないかと思いましてね。いや、コメントを表示させなければいいって話ではあるのですが、それだとニコ生の良さを出せないじゃないですか。そういったことをきっかけに、サイバーエージェントでも映像配信を行うプラットフォームを作ろうと思いました。だから、我々は、ニコ生ユーザーとは異なるユーザーを対象にしてます。


    中川:確かにニコ生はネット慣れしたオタクコミュニティになってる感覚はここ数年ありましたね。

    藤田:それはありますよね。麻雀がきっかけで僕も見始めるようになりました。

    中川:以前は見ていなかった?

    藤田: そうですね。最初はなかなかきっかけもなくて。ただ、コア層しか見てなかった「動画」というジャンルをユーザーに抵抗なく広げて行ったのはスゴいなと思いますね。政治家とかだって、ニコ生に出て討論会とかしてるのもスゴい。

    中川:ニコ生って「888888888888888888」(拍手)みたいなコミュニティ限定用語みたいなのがバーッと流れてきますよね。あれって盛り上がっている感じはすぐに分かるのですが、今回対象としているユーザーにとってはどう感じられると思いますか?

    藤田:多分、ニコ生に慣れていない人にとって、まだ敷居は高いと思います。

    中川:小林幸子が昨年末、巨大衣装を着て紅白に出て、ステージ上のスクリーンにニコ生のコメントと連動させたりもしましたよね。大体、小林幸子だって元々はマネージャーと決別トラブルがあって、そこからテレビから干され、いやぁ、SMAP騒動の原点みたいなことしてるじゃねぇか、お前、なんて思うのですよ。それでいて活路をニコ生に求めた、という背景があり、ニコ生ユーザーへの多大なる感謝が今回の「NHKでニコ生コメント露出!」という画期的自体につながったんでしょうね!

    藤田:(説明がなげーよ、という顔をする)あー、あれは象徴的ですね。でもコンテンツ提供側で嫌がる人もまだ多そうですよね。 麻雀で言うと、麻雀プロに対しても、ケチョンケチョンにけなすコメントが流れたりするんです。出演者の中には、そういうのを観るのも嫌な人とかいるんじゃないですかね?

    中川:昨年末、ろくでなし子さんという方が野間易通さんという方と飲み会をするってことになったのですが、その様子を配信するって話になったんですよ。すると野間さんは「ニコ生はダメ」という条件を出してきた。他の配信方法であればOKとおっしゃったんですよ。やっぱりネットのコミュニティって各々の空気感があり、野間さんにとってニコ生という場の空気感はご自身にとっては違和感がある場所だったのでしょうね......。AmebaFRESH!のコメントは、ニコ生とどう違うんですか?

    藤田:コメントはあるんですけど、動画の邪魔にならないようにしています。そもそもスマホで見るのをメインで考えて作りました。PCでもUstreamみたいに、横に出るだけです。ニコ生よりもUstream、Twitchに近いですね。スマホだとコメントで文字を打とうと思わないんじゃないですかね。


    中川:あー、確かに。「バルス祭」とかありますが、あれはあくまでもテレビモニターを観ながらスマホを手に持って「バルス!」とか「バルサン!」とか書いているわけですが、スマホ自体がモニターになった場合、文字を打とうという意識は働きませんね。ところで、画質はどうでしょうか?

    藤田:画質はかなり良いです。自信もって言えます。

    中川:YouTubeが出てきた時は「その粗さがアングラっぽくてむしろ良い」って言っているユーザーが案外いましたが?

    藤田:いやあ、今はやっぱりスマホが画質の良いオーディオプレイヤーのようになっていると思います。小さいテレビ、みたいな。例えばニコ生で麻雀を見てるとスマホだと牌がよく見えないんですよ......。(とため息をつく)いちユーザーとしてツライな、と。




    中川:そこまでして藤田さんはなんで麻雀番組を観てるんですか!

    藤田普通に腕を高めようとしてますね。

    中川:なんという勉強熱心。高画質で麻雀を観たいがために、サービスを作ってしまうとは。いやぁ、人間、何事も趣味に没頭するのはいいことですなぁ!

    藤田:実際に生放送とかメチャクチャ見てます。食事の途中にチラ見とかもしちゃうんですよね。

    中川:ガハハハハ。今回、アーカイブ化はされるものの、生放送的なものが多く多チャンネル化した理由ってどこにあるのですか?

    藤田:麻雀を見てるとよく分かるのですが、録画で結果が分かっちゃっているとつまんないんですよ。やっぱ、映像を観る時って予定調和じゃないのが大事だと思うんです。それが生放送を中心に据えている理由です。

    中川:チャンネルはどういうのがあるんですか? 麻雀みたいに超コアなジャンルを獲って行く感じですか? オレ、テレビ東京の土曜夕方にやってる釣り番組が秀逸だと思っているんですよ。視聴率はそれほどなさそうだけど、とにかくコアな釣りファンが見ているから広告効果も高そうですし。

    藤田:そうですね。ローンチ時に200チャンネル用意して、年内には1000チャンネル立ち上げようと思っています。麻雀だけでも大きく3つありますし。

    中川:はじめは個人配信者は受け入れないんですか?

    藤田:基本的にはプラットフォームなので、個人の方にも使ってもらいたいのですが、はじめは知名度があったりモノが良いのを弊社で審査して出します。それは、配信の質を担保するという意味です。

    中川:確かにね! そういえば、40歳の四国に住むオッサンが、マインクラフトの生中継していて、途中オイルマッチで火をつけようとしたらなかなか点かず、点いたと思ったらゴミ袋の中のオイルまみれティッシュが燃えて火事になる様子を生中継しちゃった例なんかもありましたもんね!

    藤田:ありましたね(笑)。ニッチ市場を育てたいですね。これからファンを増やしていく人などは充実していきます


    中川:藤田さんは麻雀が今回のサービスを考えるにあたっての発端だと先程おっしゃいました。

    藤田:麻雀をとっても、マニアの世界だったのに、ニコ生で中継されるなど、世界が進化したんだ! と感動したわけですよ。トッププロが何やってるか分かるとか本当にスゴい。で、僕もニコ生の中継を観て、レベルアップしたので、そういった可能性を開いてくれたニコ生のことは本当にリスペクトしています。川上量生さんにもこのことは伝えていますからね、ホント。

    元々、メディアのなりたちって変わっていくものです。かつての主流が新聞だった時代からテレビに変換しましたよね。すでに地上波テレビにより、「動画」というカルチャーができあがったし、そういう世界をネット上で広げるにはもっとメジャー感を出す時期に来ているのではないか? と考えたのです。ニコ生は「動画」と「コメント」という奇跡のバランスを生み出したとは思いますが、状況は変わったと思います。例えば元々ニコ生の人気コンテンツであるボーカロイドとかにしても、ヒップホップにはあまりそぐわないと考えています。だからこそ、AmebaFRESH!では、ニコ生ではやりづらいジャンルを育てていきたいと考えています。

    中川:ニコ生へのリスペクトって話がありましたが、ニコ生が2000年代中盤に出てきた時、どう思いましたか?

    藤田:当時、ひろゆきさん、川上さん、堀江(貴文)さんと会食してた時、最初ニコ生の話を聞いて絶対無理だと思いました。でも、それを作り上げてスゴイと思います。動画とコメントありきで作り上げた世界で様々なことが変わったんですよ。実際に麻雀界も変わりましたし。

    中川:じゃあ、インターネットのコメント文化ってどうなっていくんですかね? NewsPicksって、けっこうピッカーによるコメントありきの文化ですが、そこと両極化していきそうですね。コメント文化は今後どうなると思いますか?

    藤田コメントはもちろん面白いけどそれだけじゃないと思うんですよね。能動的なことだけではなくなってきています。PCで見ると何かコメントを書きたくなるけど、スマホで見てるとコメント書くのって面倒くさいじゃないですか。

    中川:あぁ、そうなんですか? オレ、スマホ持ってないんで分からないっす。

    藤田:テキスト全盛期を過ぎて、時間を奪い合っていますよね。活字中毒の僕でも動画を観てしまいます。だから、これからのネットユーザーの意識ってもっと映像に流れるんじゃないでしょうか。デバイスが変わったことによってユーザーの層も変わった。違う形になって来たんじゃないか? と考えています。Nottvが終わったり、ハフィントンポストがLIVEを辞めるとか色々あるけど、レギュラーサービスにならないといけないですね。

    これまで長くネットビジネスをやってきましたが、ネットビジネスって「惰性」で開いてもらったり、使ってもらわなくちゃ終わりなんですよ。「なんとなく開く」という人々の行動様式に合うサービスでないと、死を意味します。ひたすら受け身で開けて...、AmebaFRESH!はテレビと同じような視聴の仕方ですね、本当に。「なんか面白そうなものが流れてきたから途中から見た」という方を増やしたいです。見たくないものは、ザッピングして別のチャンネルを見ていただければいい。

    中川:Nottvの撤退などもあり、ますますニコ生の存在が光ってくるわけですが、彼らのことはどう見ているのですか?

    藤田:ニコ生は競合というより、我々はニコ生を観ない層をターゲットにしています。この市場はUstreamがなくなるし、今はニコ生しか残ってないですしね。テレビ見なくなった10代~30代の層がコアユーザーです。若者を狙うのに、「お茶の間でテレビ」というのは今やありえない。彼らに対してはテレビというデバイスではなくスマホに合わせた番組を流すのが大事なのではないでしょうか。観たいものを観るようにするし、探すの面倒くさい。ザッピングした結果、「たまたま」興味のあるものを観ればいいんです。



    中川:体制や人員について教えて下さい。

    藤田:基本的には以前から運営していたアメーバスタジオ(アメスタ=生中継サービス)で作った資産を入れていきます。芸能人ブログ部隊もそのまま来ているので、「ネット+エンタメ」ということをやり続けてきたウチならではの陣容だと思いますね。ここに、多様なジャンルの配信者をリクルーティングしてくる営業部隊が加わっています。僕の経験上、勝手にユーザーが作って増えていくそういうものしか拡大しない。でプラットフォームを同時に作らなきゃ、と考え今回はAmebaFRESH!を作ったのです。


    中川:さて、やはりハードワーカーの帝王である藤田さんに聞きたいのですが、AmebaFRESH!を作るにあたり、これは苦労したってエピソードはありますか? 10日寝れなかったとか、会議に間に合わないから、と時間調整で停車した電車から線路に飛び降りるヤツがいたとかそういった話はないですか?

    藤田:急ですね! まあ、1日中こればっかりやってますからね。

    中川:「全然寝てない!」とかエピソードください!

    藤田:(笑)

    中川:なんかないですか?

    藤田:AmebaFRESH!をやるにあたってニコ生配信主に声をかけたんですが、ドワンゴさんが気にされそうじゃないですか。だから、ドワンゴさんと会食を早めに行って挨拶はしました。川上さんにそれを伝えたら「やる気出た」って言ってました。競合がいないのは寂しいかもしれないですね。アメブロも競合がしばらくいなくて寂しかったですし。川上さんはそんなんで怒る人じゃないですしね。

    中川:良い話ですね!

    藤田:あと、ドワンゴさんもウチもサービス立ち上げ時は巨額な赤字を流し続けていたので、みんなドン引きして同じことやる人がいないんですよね。競合がいてこそ、レベルが互いに上がっていく。実際にフレッシュとニコ生、両方に配信するっていう会社さんも多いですから。まあ、市場が広がるといいなと考えております。

    取材・文/中川淳一郎(ビューティフル・社畜・ライフ・コンサルタント)

    【参照リンク】
    AmebaFRESH!(アメーバフレッシュ) - 無料で生放送が見放題
    https://amebafresh.tv/
    RSSブログ情報:http://news.aol.jp/2016/01/22/hwz_amebafresh/
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