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今月23日に30歳となる亀梨和也が、主演ドラマ『怪盗 山猫』(日本テレビ系)で役者として新境地を見せて話題になっている。
2005年の『ごくせん』(日本テレビ系)第2シリーズで、同じKAT-TUNのメンバーだった赤西仁と共にメイン生徒役で出演したのが、人気を呼ぶきっかけになった亀梨。KAT−TUNはそれまでのジャニーズになかったクール系イケメングループとして、翌2006年にメジャーデビューしているが、彼はそのクールさの象徴的な存在だった。
俳優としては『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系)のクラスの人気者をキャラとして演じる高校生役、『たったひとつの恋』(日本テレビ系)の父親の残した小さな工場で働く青年役、『ヤマトナデシコ七変化』(TBS系)の美しすぎる容姿ゆえの悩みを抱える大学生役などで主演してきた。本人のイメージ通り、どこか陰のある役が多かった。
その極め付けが、平均視聴率15.6%のヒットとなり映画化もされた『妖怪人間ベム』(日本テレビ系)。もともと子ども向けアニメの実写化だったが、人間を助けながら忌み嫌われる妖怪人間の悲しみが胸を打った。超人的な力と裏腹のナイーブさを亀梨が醸し出していた。
まったくの想像だが、きっとジャニーズに入る前からあの美形で他人の視線を浴び続け、近づくより遠巻きに見られがちだった彼には、誰にも本当の自分をわかってもらえないような孤独を抱えていたのでは。そんなことを思わせる哀感が彼の演技には出ていて、それが持ち味になっていた。
だが今回の『怪盗 山猫』の天才怪盗・山猫は、これまでの繊細な役とはまるで印象が違う。「なぜ盗むのか」にこだわり、悪事を暴きながら大金を大胆不敵に盗み出す。王様気質でハイテンション。大声で怒鳴り散らすようにしゃべり、そのうえ、とんでもない音痴。本人は気持ち良さげに歌うが、周りは耳をふさぐ。盗みに入るときは猫のお面をかぶり、カップラーメンが大好きで水虫持ちという、クールな亀梨らしからぬキャラも付いている。
その演技には「うるさすぎる」との声もあって賛否両論だが、続けて観て慣れると面白くなってくる。放送前には神永学の原作小説の生意気でつかみどころのない山猫と、最近では好青年イメージが強い亀梨とのギャップを危惧する声が多かったが、むしろやり過ぎなぐらいの暴れっぷりで驚かせた。
ネットでの感想には、主婦層から「主人のほうがハマって観ている」との声も見受けられる。視聴率は初回14.3%から下降しているが、動画配信サービスHuluの週間視聴数ランキングでは、9週連続1位だった『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!! 絶対に笑ってはいけない/罰ゲーム シリーズ』を抜いて1位になった。
ジャニーズタレントの主演ドラマといえば、木村拓哉に代表されるように、役以上に本人のイメージが全面に出ることが多い。だが、このクールでは『怪盗 山猫』の亀梨の他にも、『フラジャイル』(フジテレビ系)でアウトロー的な役の多い長瀬智也がヒロイックな病理医を演じていたり、『MARS』(日本テレビ系)で心優しいイケメンイメージの藤ヶ谷太輔が凶暴な裏の顔を秘める役だったり。
近年、ジャニーズ勢に限らず、主役の個人的な人気だけで視聴率を引っ張るのは難しくなっている。逆に、堺雅人のように『半沢直樹』(TBS系)や『リーガル・ハイ』(フジテレビ系)から役柄主導で人気を高めるケースが増えた。ジャニーズタレントもドラマでは、個人的イメージを覆すチャレンジが必要とされているのかもしれない。
文・斉藤貴志
■参照リンク
『怪盗 山猫』公式サイト(土曜よる9時から日本テレビ系列にて放送)
ntv.co.jp/yamaneko/
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