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昨年8月にSKE48を卒業した松井玲奈の連ドラ初主演作『神奈川県厚木市 ランドリー茅ヶ崎』(MBS・TBS)がスタートした。風変わりなコインランドリーのバイト役。ボサボサ髪に3本線のジャージを着て、1話から店長役の滝藤賢一と軽妙な掛け合いを見せ、ブルマ泥棒と疑った客に「ハッキリしろよブタ野郎!」とドスを効かせて迫ったり、笑いを誘うコメディエンヌぶりを見せた。
SKE48では松井珠理奈との"W松井"として2枚看板だった松井玲奈は、グループ在籍時から将来の目標を女優と明言していて、その道に進むための卒業だったが、今年に入り出演作が続いている。前クールでは深夜ドラマ『ニーチェ先生』(読売テレビ・日本テレビ)でもコメディに挑んでいた。
ニヒルなコンビニのアルバイト店員・仁井智慧にひと目惚れした常連客の役で、ゴミ集積場でゴミ袋の山に埋もれて「仁井君にゴミを投げつけれたい」と不気味な笑顔で待ち伏せしたり、若い女性バイトに嫉妬して暗いトイレで般若のような顔を懐中電灯で照らして怖がらせたり、アイドルとは完全に決別したようなブッ飛んだ演技を見せた。
一方、プライムタイムの『フラジャイル』(フジテレビ系)では、長瀬智也が演じた病理医に近づく製薬会社の社員役。抗がん剤の治験協力を得ようと怪しげな動きをしていたが、実は兄をがんで亡くした過去を持ち、終盤のキーパーソンに。シリアスなシーンや末期がん患者に寄り添うシーンで印象を残した。
ここまでオーソドックスな役でもコミカルな役でも味を出している松井は、SKE48時代にも、女優の才能の片鱗を見せていた。48グループが総出演したヤンキードラマ『マジすか学園』(テレビ東京系)でのこと。冒頭に"このドラマは学芸会の延長で、登場人物の一部にお見苦しい演技がございます"とのテロップを流すファン向けドラマだったが、彼女の演じた少年院帰りのゲキカラというキャラクターはその枠を越え、度肝を抜いた。ケタケタ笑いながら狂気じみた暴力を振るい、指原莉乃の鼻の穴に鉛筆を刺すシーンでは、迫ってくる松井を指原が本気で怖がったという。清楚でおしとやかなイメージの松井の豹変は強烈なインパクトを残し、役になり切る素質が垣間見えた。
グループを卒業して「女優を目指す」というアイドルは少なくないが、基本的に"頑張っている姿"をファンに見せるアイドルから、ドラマや映画という作品のなかで不特定多数の視聴者を引き付ける女優へ転身するのは簡単でない。48グループ出身者でも、エースだった前田敦子や大島優子が何とか軌道に乗り、秋元才加や川栄李奈も脇役から健闘しているが、姿を見なくなる元メンバーがほとんど。女優の世界は甘くない。
だが、演技センスは前田や大島以上かもしれない松井玲奈への期待感は『ランドリー茅ヶ崎』でも高まっている。さらに、6月からは舞台『新・幕末純情伝』に沖田総司役で主演。つかこうへい氏の名作で、今回は七回忌特別公演として行われる。"実は女だった"という設定の沖田はかつて広末涼子、石原さとみ、桐谷美玲らが演じてきた。激しい殺陣に加えてラブシーンも見せ場で、松井玲奈が女優として完全に独り立ちする試金石になりそうだ。
文・斉藤貴志
■参照リンク
松井玲奈 公式プロフィール
grick.jp/artist/rena.php
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RSSブログ情報:http://news.aol.jp/2016/03/26/matsuirena/