怒鳴る事は「虐待」になるのか~給食中のエピソードより~
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怒鳴る事は「虐待」になるのか~給食中のエピソードより~

2020-01-20 07:03
    虐待とかってシビアな話題なんで、ちとフェイクも混ぜます
    私:保育士、フリー(事務主体)
    2歳児の手伝い→給食まで入ることに。

    給食は パン、コンソメっぽいスープ、温野菜サラダ、鶏肉の照り焼き、デザートにオレンジ だったかな。
    テーブルに 子ども5~6人+職員1人 が4セット。
    机と机はそれほど離れてません、椅子に座っても隣の机の子どもに手が届くくらい。
    私の机にはMくん(仮名)が座ってました。
    Mくんは、多動系のボーダーの子。でも給食中はずっと座ってられたし、食べる事は好きなのかどんどん食が進みます(食べるの早すぎるくらい)
    全て食べ終えて、おかわりのパンももらい、ご機嫌で食べてる時に事件は起こりました。

    Mくん「これ、おいしくないねぇ♪ これ、おいしくないねぇ♪」

    もうニッコニコで(´・ω・`)
    まぁ楽しく食ってるし、すぐ食べ終わるから変に水差して気分害することもないかぁ…
    と、私は苦笑してノータッチ
    すると、隣の机についていたB先生が動きました。
    Mくんの持っていたパンをパッと奪い取り

    B「そんなこと言っちゃいけません!

    Mくん、突然のことにパニックでギャン泣き

    B「そんなこと言う子は、食べなくていい!!

    Mくんの手が届かない位置の机の上に、取り上げたパンを置きました。
    Mくん、ワーワー泣きながらパンに手を伸ばす。椅子から立って近くに行けば取れる位置ではあるけど、給食中に立つことも、取り上げられたものを取りに行くことも怒られることが分かっているからか、座ったまま届かない手を伸ばして泣き続ける。
    時折ちらっと、私の方に助けを求めるような視線を投げかけます。

    うん、助けてあげたいけど、ごめんよ担任じゃないから無理なんだ…(´・ω・`)
    もっと丁寧な関わりできるけど、それやっちゃうとB先生の対応を否定するようなもんだからね。
    結局、その後どうするのかな~…と気にしていましたが、
    Mくんが落ち着いた後、B先生がどう言ったかというと

    B「『おいしくない』なんて言ったら、作ってくれた人に失礼です。そんなこと言う子は食べなくていいです」

    で、結局パンは『廃棄』へと…


    少し、補足説明します


    B先生は平成26年に新規採用された5年目の職員。
    その日は大ベテランのA先生(前に書いたエピソードで怒鳴った人)が、研修のためいなくて、B先生が2歳児クラスの主活(その日、クラスを主に回す人)だった。

    Mくんは時折、天邪鬼な発言(今回のように、思っていることと逆なことを言う)があるらしい(主任に後から聞いた話)


    さて、この対応が、ずばり今回の主題の「虐待」に当たるかどうかなのですが…
    私は「虐待にあたる」と言ってしまいます。
    まず、子どもを叱るときの最も大事なポイントは「理不尽さ」にあると思っています。
    つまり

    悪いことしたから、きつく怒られるのは仕方ないよなぁ… → 理不尽さ=
    悪いこともしてないのに、怒られた… → 理不尽さ=

    あまりに理不尽に叱る(怒る)ことで、子どもの心に傷しか残らない、ということですね。

    今回のMくんの気持ち的にどうでしょう
    ハタから見てニッコニコで、とても「悪いことをしている」つもりは全く無かったと言い切れます。
    「何も悪いことをしていないのに、いきなりパンを取りあげられて、返してもらえなかった」
    この傷だけが心に残りました。
    これじゃ何も、得るものはありませんね。傷だけを残す「虐待」です。

    ただし、だからといって短絡的に

    「怒鳴る」ことは虐待なんだ!
      ↓
    虐待は絶対ダメ!!禁止!!怒鳴るの禁止!!!


    としてしまうと、正直言って保育園の先生はまともに仕事ができなくなると思います。
    「怒鳴らないと保育もできないの?自分の能力の無さを棚に上げて?それでプロって言えるの?」
    分かります、言いたいことはとても分かります。
    とりあえずその言葉はグッと飲み込んでもらって、ちょっとイメージしてみましょうか。


    保育園の生活は、言うまでも無く「集団生活」です。
    決まった時間に決まったことをして、1日が過ぎます。
    子どもたちは、自分の好きな時間に好きなことをできるわけではありません。
    自由に遊ぶ時間があっても、給食の時間が近づいたら、遊んでいたおもちゃを片づけます

    なぜ片づけられるか?

    お腹が空いたから、給食の支度をしなければいけない?それで動ける子もいます。
    でも、「俺は腹は減ってないんだ!もっと遊びたいんだ!!」という子がいた場合、何が片づけるモチベーションになると思いますか?
    もう分かりますね「先生に怒られるから」

    集団生活は、個人のワガママは許されません
    多少の柔軟性はありますが、あくまで『多少の』です。絶対的な時間の縛りがあります。
    1日の生活リズムを叩き込むために、親も保育士も苦心するわけです。

    そして保育士は、多くの子どもを一度に動かさないといけません。
    これは、子どもをたくさん世話をする仕事をしたことがないと、苦労は絶対に分かりません。
    たくさん子どもがいれば、たくさんの個性があります。
    それこそ、↑で挙げたように集団生活をする上では困った個性もあるわけです。

    「お腹そんなに減らないから(食に興味ないから)、それより遊んでいたい」
    「お昼寝したくないから、遊びたい」
    「トイレ今は出ないから、遊びたい」
    「制作嫌いだから、外で遊びたい」
    「外遊び嫌いだから、室内で遊びたい」
    「帽子かぶるの嫌いだから、かぶりたくない」
    「○○嫌いだから、食べない」
    「あのおもちゃ欲しいから、誰か使ってても奪い取りたい」etc…

    ワガママ通したい気持ちは、どの子にもあると言っても過言ではありません。
    多少は理不尽でも、これを通すと怒られる(から、やらない)としないと、集団生活が立ちいかなくなります
    説明して分かれば良いですが、全ての子が一様に理解できるわけではありません。
    まずは理屈は置いといて、「怒られるから」という「罰を受ける(かもしれない)恐怖」を行動原理として、理解は追い追いしてゆけばいい、と私は思っています。

    暴力による恐怖を与え、支配する

    …とても、幼児教育をする人間が発する言葉には思えませんねw
    でも、いくら綺麗事を言っても、本質はここにあるんだと思っています。
    例えば、赤ちゃんがベランダの柵をよじ登ろうとしてたら、「ダメ!!」と叫びながら飛びついて引きはがしますよね。
    赤ちゃんからしたら、楽しそうな外の世界に出ようと頑張ってるところを、大人の圧倒的な力(暴力)で引き戻される。これはもう恐怖ですよ。おまけに、「ここは登っちゃダメ!!」と怒鳴られる可能性もあります。
    ただし、そのおかげで赤ちゃんは「あそこ(ベランダ)は行っちゃいけない…」と、命が守られる可能性が高まるわけですね。

    つまり、「教育」と「暴力」は切り離すことはできないと思っています。(特に幼少期は)
    少なからず心に傷はつきますが、得られるものの大きさのバランスで「虐待か、そうでないか」が決まるんでないかなと思います
    要するに、「怒鳴る」ことで得られるものもある。それがとても大きな場合は(特に、命を救うような場合は)怒鳴ることもアリかなと個人的に思っています。

    また、「怒鳴る=虐待=絶対禁止」としてしまうと、どんどん拡大解釈されて、少し大きな声を出すことすら禁止されるのが想像に難くありません。
    そうなると、教育に携わる人はつねにボソボソ声&怒気を込めることもできないという事態になるでしょう。
    そんなんじゃ、仕事になりませんよ。
    だから、怒鳴る=虐待だと保育士も仕事にならないよと言ったわけですね。



    …さて、B先生の対応が「虐待」と言ったからには、私だったらどういう対応をするかを書いておきます。

    Mくん「これ、おいしくないねぇ♪ これ、おいしくないねぇ♪」

    パッと、手にしたパンを取りあげる。(ここまではB先生といっしょ)

    私「Mくん…これ、本当においしくなかった…?」(真剣な面持ちで)

    Mくん「(本当は)おいしい… or おいしくない…」

    私「お給食の先生は、おいしく作ってくれたと思うんだけど。 本当においしくなかったら、もしかしたら『』が入ってたり、腐ってたりしても、『おいしくない』ときがあるのね。そのまま食べちゃうと、お腹いたくなるかも…死んじゃうかもしれない。 ちょっとだけ先生も食べてみて、いい?」

    (ちょっとだけ千切り、食べる)

    私「あれ?おいしいよ? Mくん、おいしくなかった?」

    Mくん「おいしい!」

    私「良かったぁ! じゃあ おいしいときは、『おいしい!』って言ってね? 先生、心配になっちゃった

    …これも、模範解答じゃないっすけどね。
    パンを取りあげられたショックは、Mくんの心に傷が残ります。
    だけど、「おいしくない=毒?」と意識したら下手に天邪鬼なことも言わなくなるんじゃないかな~と思います。(得られるものが大きい)

    あ、これじゃあ怒鳴ってないや(´・ω・`)
    まぁ、怒鳴るのに必要な場面じゃないからね


    H30.10.5追記
    コメントで着目された方が多かった点の補足をします。
    Q:〇〇〇がその場で指導しなかったのはなぜ?
    A:大きな要因は2つあります
    .2歳児クラスの「給食中」であったこと
    保育所保育指針(保育士のバイブル的なもの)には

    「様々な食品や調理形態に慣れ、ゆったりとした雰囲気の中で食事や間食を楽しむ」
    (1歳児以上3歳児未満児の保育に関わるねらい及び内容 「健康」の「内容」より)

    「身の回りに様々な人がいることに気付き、徐々に他の子どもと関わりをもって遊ぶ」
    「保育士等の仲立ちにより、他の子どもとの関わり方を少しずつ身につける」
    (同上 「人間関係」の「内容」より)

    「言葉遊びや言葉で表現する楽しさを感じる」
    「絵本や紙芝居を楽しみ、簡単な言葉を繰り返したり、模倣したりして遊ぶ」
    (同上 「言葉」の「内容」より)

    ともあります。
    これらは「この歳の子どもたちは大体これくらいの発達だから、大体こんな感じで保育してくれよな~、頼むよ~」といったもの。
    絶対にこれじゃないとダメ!というわけではないです。特に3歳未満児は発達にかなり個人差もありますから。

    これらからMくんの当時の状況を解説します。
    Mくんの「おいしくないねぇ♪」の声の音量は、独り言レベルの大きさ。
    他にも20人の子どもと4人の職員が居て、思い思いに喋ってますからけっこうな賑やかさです。
    なのでMくんの声は隣の子にかろうじて聞こえるかどうかといったものでした。
    声の調子は記事中にも書いた通り、喜怒哀楽で言うなら「」。
    周りの子がこの感情が込められた声を聞いて、不快に思う可能性は非常に低いでしょう。

    保育指針の記述にもある通り、2歳児の「他児」という認識は、まだ曖昧なままです。
    Mくんの声が聞こえる周りの子が、自分に向けられたわけでもないMくん(他児)の言葉を意識し、意味を理解し、不快に思うまで至るかは非常に微妙なところです。

    つまり、周りの子の認識としては「なんか楽しそうな言葉が聞こえる(誰か喋ってる?)」といったレベル。

    Mくんは食べることが好きなようで、自分に配られた量はかなり早めに全量食べ終えてます。
    その上でのおかわりのパンです。
    子どもの握りこぶしほどの大きさのパンを半分にしたおかわり、それを半分ほど食べてる段階での「おいしくないねぇ♪」でした。
    だからまず「嫌いだから言っている」わけではないことは分かります。
    となると、この「おいしくないねぇ♪」は言葉遊びに過ぎないと推測できます。
    ただ、言葉の意味が意味ですから、注意すべきではあります。

    そこで「給食中」という点が引っかかってきます。
    保育指針にもある通り、この年齢はまだ「食事に慣れる」といったレベルです。
    私はなるべく、子どもたちが「おいしい」「楽しい」といった感情だけを、給食中に感じてほしいと思っています。
    Mくんは間違いなく、食べることを楽しんでいます。
    Mくんの言葉を聞いて、周りの子が楽しくなくなるかな…?それも考えはしました。
    ただ、残りのパンはあとわずか。Mくんの楽しい気持ちを害してまで指導をすべきか…と、葛藤がありました。


    .自分が担任でないクラスに手伝いで入った
    ここで、私の立場が問題になってきます。
    私は2歳児クラスの担任ではありません。
    おまけに、事務が仕事の中心なので、周りの職員から正直に言って「見くびられて」います。
    (経験は少ないですがクラスも持ったことがあり、もちろん学校で専門的な勉強はしているのですが…)

    ほぼ女性のみの職場ですから、目だったことをしてしまった時の恐ろしさは、恐らく男性には想像もつかないようなことが起こります。
    その感情が、私の指導にブレーキをかけました(´・ω・`)

    結果的に、Mくんが悲しい思いをすることになりました。
    ものすごい後悔しました、だから記事を書いたんです。

    働き始める時は子どもの最善の利益を考えるんだと高い志を持っていましたが、実際に働き始めてからは保護者との関わり(親のご機嫌取り他の職員との協力関係(先輩のご機嫌取りに占めなければいけないウェイトがかなり多くて、ゲンナリすることも多いです。
    前の記事でも書きましたが、子どもが楽しいということだけを追求できればどれほど、こちらも楽しいか…

    …これじゃ補足じゃなくて愚痴っすね、申し訳ない(´・ω・`)

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