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いさぎよく恋する動画を見てもエエじゃないか! vol.14
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いさぎよく恋する動画を見てもエエじゃないか! vol.14

2017-07-27 21:15

    腹痛は治まり身体はスッキリしたが、心と頭にはモヤモヤが溜まっていく。

     

    「おっ 来た来た」武志が気づいて手を上げた。

     

    ベンチに女子2人を座らせて、自分は立っている。

    詰めれば座れそうだけど、女子を気遣ってるんだな。

    ま、俺もそうするけど(密着したら緊張で変な汗出そうだから…)

     

    「お待たせ〜」

    「ねぇ、ちょっと休憩しよ」のぼりが提案する。

     

    「そこでアイス売ってるよ」

    藤島が指差した先には、おばちゃんとおばあちゃんの間くらいの歳の女性が、小さなフードワゴンで販売員をしていた。

     

    ワールド内には同じようにポップコーンやクレープなどのワゴンがちらほら出ている。

     

    「じゃ、じゃあ、俺たちが買ってくるよ」

    「おー、ありがとー」のぼりが答える。

     

    これまでの失態を巻き返すためにも、小さな気遣いを重ねていくしかない。

     

    「2人は何味にすんの?」

    武志が訊くとすかさずのぼりが、

    「プリティキュートヴィヴィッドピンクストロベリー!」

     

    ーー呪文を唱えた。

     

    「え?なんだって??」俺は即座に聞き返した。

     

    「これ!」

    のぼりがスマホの"ディスティニーワールド完全攻略アプリ"の画面を見せてきた。

     

    「今日はこれ食べるって決めてたんだ〜。あかりは?」

    藤島は少し悩んで、

    「エメラルドシャイニースウィートメロンジェラート」

     

    ーーやはり呪文を唱えた。

     

    「なんだよその必殺技みたいなネーミングは!」

    「知ってる単語詰め込みましたって感じだな」武志も苦笑した。

     

    「このキラキラした感じが、購買意欲をそそるんだよ!とにかく買ってきて!」

    「…イチゴとメロンの方がいいじゃん、分かりやすくて」

    俺には理解できない。モテるためにはこの感覚も理解しなきゃいけないのか?!

     

    「他のもスゴイ名前だな。面倒だし俺たちもこれにしちゃおう」

    「そうする」

    アイスワゴンには5、6組の人が並んでいるので、早く買うことを優先した武志に賛同する。

     

    ちょっと並んで、俺たちの番が来た。

     

    「あの、プリティキュート、、えーと、ヴィヴィッドピンクストロベリーと、エメラルド〜シャ、シャイニー、スウィート、メロンジェラートを2つずつ下さい!」

     

    言うのも恥ずかしい…と思っているとおばちゃんが

     

    「はい、イチゴとメロンね」

     

     

    それでいいんじゃん!!!

     

     

    俺たちは声こそ出さなかったが、確実に同じ感想を抱いていた。

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