暁的W杯グループステージ展望・前編
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暁的W杯グループステージ展望・前編

2014-06-12 23:00

    国民からの熱く、絶え間ない声援を受けて6度目の頂点へ――。6月12日(現地時間)に開幕するFIFAワールドカップ(以下、W杯)は、開催国のブラジルが優勝候補の筆頭と位置付けられています。昨年に行われた各大陸の王者による国際大会「FIFAコンフェデレーションズカップ」(以下、コンフェデ杯)では、決勝で前W杯王者であり欧州チャンピオンでもあるスペインを3-0で撃破しており、登録選手にはチアゴ・シウバやネイマールを筆頭に世界の一線級がズラリ。各国を悩ませる気候への順応にも問題はなく、まさに“本命”です。

    しかし、連覇を目指すスペインをはじめとする欧州の列強や宿敵・アルゼンチンなども虎視眈々と牙を研いでいます。94年のスウェーデンやブルガリア、98年のクロアチア、2002年のトルコや韓国、2010年のウルグアイといった“ダークホース”の快進撃があるかもしれません。ブラジルが往く道には、多くの難所が待っています。全てを踏破し、カナリア(ブラジル代表の愛称)が凱歌を揚げるのか。それとも――。

    まずは4カ国ずつ8組に分かれて戦うグループステージを、注目の選手を挙げながら展望します。

    ○グループA



    ブラジルが一頭地を抜いています。少し見劣りするGKとストライカー以外は他国が羨むほどの陣容。昨年のコンフェデ杯は全勝で戴冠し、その後のテストマッチも上々ですから、グループステージで躓(つまず)くとは思えません。堂々と首位で通過するはずです。ちなみに、ルイス・フェリペ・スコラーリ監督は1997年にジュビロ磐田を率いています。僅か4カ月ですけどね(笑)。

    2番手はクロアチアとメキシコの争いでしょうが、クロアチアを推します。レアル・マドリーのモドリッチ、インテルのコバチッチ、ヴォルフスブルクのペリシッチ、セビージャのラキティッチらを擁するMFはハイレベルで、FWには独ブンデスリーガでゴールを量産しているマンジュキッチがいます(初戦は出場停止)。GKやDFのクオリティも水準以上です。

    一方、ベスト16の常連であるメキシコは、FWにマンチェスター・ユナイテッドのハビエル・エルナンデスがおり、MFにもアキーノやエレーラら好タレントを抱えていますが、北米予選ではホンジュラスやコスタリカに敗れるなど大苦戦し、自慢の組織力に翳りが見えます。コンフェデ杯を経験している強みはあるものの、厳しい戦いを余儀なくされそうです。

    カメルーンは、6月7日のドイツとのテストマッチを2-2で引き分けたように決して弱くありません。バルセロナやインテル、チェルシーといったビッグクラブを渡り歩いたエトー、マインツで伸び盛りのチュポ・モティング、守備力や運動量に長けたバルセロナのソング、対人守備に定評があるシャルケのマティプらに象徴されるように、個々の技術や身体能力は高いです。しかし、もはや恒例行事となった協会とのボーナスを巡る喧噪に加え、選手間での対立も報じられています。ムードが悪い中、どこまで一丸となって戦えるか。疑問を拭えません。監督は、かつて浦和レッズを指揮したフォルカー・フィンケ氏。中津江村との縁も含めて応援したくなりますが、前途は暗いと言わざるを得ません。

    ○グループB



    パスを“繋ぎ倒す”スペイン、サイドを切り裂くオランダ、ダイナミックかつアグレッシヴなチリ、パワーを前面に押し出すオーストラリアと、それぞれ個性が異なり、ピッチ上に表現されるフットボールは彩り豊かになりそうです。

    スペインは、優勝時と主力の顔ぶれがほとんど変わっていません。とはいえ、大半は老化でなく成熟。かつてのヤングスターは経験を積んで脂が乗り切り、リーガ・エスパニョーラで得点王争いを演じたジエゴ・コスタという待望の“大砲”も得た今、連覇は現実的な目標です。シャビやイニエスタが下降気味でも、セスクやカソルラ、マタなど代役も一流ですからね。

    むしろ、オランダが危ない。大黒柱のロッベンやスナイデルのコンディションは良好ですが、ファン・ペルシーは怪我が慢性化。同じく怪我に苦しんだフンテラールは復調していますが、長く代表で結果を出せていません。また、彼らとデ・ヨンクを除くと全体的に“小粒”な印象を受けます。欧州のビッグクラブで活躍する選手はおらず、とりわけGKやDFの実力は疑問です。それは日本戦が雄弁に物語ります。勝ち上がれるかは、洞察力や用兵に優れたファン・ハール監督の手腕に委ねられそうです。

    チリは、オランダを蹴り落とすかもしれません。そう予感させたのは、今年3月6日に行われたドイツとのテストマッチです。ドイツが1-0で勝ちましたが、チリはボールポゼッションで上回り、スピードと厚みのある攻撃は圧巻でした。守備も、全体の帰陣が速く、1対1は粘り強い。バルセロナのサンチェスやユベントスのビダルなどワールドクラスもいますが、チームとしての強さが傑出しています。5月に膝を手術したビダルが間に合えば、ベスト16に手が届きそうです。

    オーストラリアは、衰退期に入ったと言っていいでしょう。長く牽引してきたエースのケイヒルは、もう34歳。多くを望めません。中堅は伸び悩み、若手もようやくオアーやレッキーが台頭してきた程度です。高さやパワーは出場国でトップクラスですが、それもどこまで通用するか。昨年、テストマッチでブラジルとフランスに0-6で敗れていますが、W杯で悪夢にうなされないといいのですが。

    ○グループC



    混戦模様です。コロンビアの強さが喧伝されていますが、そこまで図抜けているとは思いません。確かに、実力者は多いです。FWはファルカオこそ負傷で登録外になりましたが、葡プリメイラ・リーガで20得点のジャクソン・マルティネス、独ブンデスリーガで16得点のアドリアン・ラモス、リーガ・エスパニョーラで14得点のバッカと多士済々。MFもインテルのグアリン、フィオレンティーナのクアドラード、モナコのハメス・ロドリゲスと粒揃いで、DFはミランのサパタとアタランタのジェペスが名を連ねます。GKのオスピーニャも、リーグ・アンで実績を積み上げています。そして、監督はペケルマン。個性派をまとめる力に定評がある、元アルゼンチン代表監督です。日本代表の監督に就くという噂もありましたね。ペケルマンの下、コロンビアは洗練されたチームになってきました。

    とはいえ、コロンビアは前評判が高かった94年にグループステージで敗退。98年も決勝トーナメントに上がれず、02年、06年、10年に至っては南米予選を勝ち抜けませんでした。4大会ぶりに出場する国にしては、過剰に持ち上げられているきらいがあります。35歳のジェペスと38歳のジェペスがレギュラーを張るCBはアジリティの点で不安が否めず、俊敏な日本人にとって格好の“獲物”かもしれません。総合力は最も高いですが、絶対的な存在とは言えません。

    コートジボワールは、アフリカ勢では“異端児”です。アフリカ勢は、なおテクニックやフィジカルに依存しがちですが、主力が欧州のビッグクラブでプレーしているためか、組織的な調和も取れています。ガーナも同様ですが、アフリカ勢と欧州勢の良さを併せ持つ好チームです。ただ、守備は怪しい。前々回のブロマガ「コートジボワールの急所を突け」にも書きましたが、集中力の欠如や緩慢さ、過信が随所に表れています。ドログバを基点とする攻撃はパワーやスピードが抜群ですが、その進撃に耐えられれば“象”を仕留められます。

    ギリシャは、典型的な堅守速攻型。直前のテストマッチでポルトガルとナイジェリアを完封したように、屈強なDFで固める鉄壁の守備陣が最大の武器です。今年3月6日には韓国に0-2で敗れて危機感を募らせたか、本番を間近に仕上げてきました。重心が後ろにあるため、得点力はグループ内で最も低いですが、裏への抜け出しや“いやらしい”ポジショニングに定評があるミトログルは要警戒。サルピンギディスのスピードも厄介です。日本は勝ち点3を狙うべき相手ですが、カウンターには注意を払わなければなりません。

    日本は、初戦からフルパワーで挑むべきです。アフリカ勢は往々にしてスロースターターで、初戦は肉体的にも精神的にも“眠って”います。覚醒する前に出鼻を挫き、逃げ切るのがベストです。ギリシャ戦は必勝態勢。焦れる展開を我慢し、「90分間余りで1点を取ればいい」と割り切って自分達のスタイルを貫けば、結果は付いてきます。理想は、最も欠点が少ないコロンビア戦を残した2連勝。夢物語に聞こえるかもしれませんが、それだけの実力は培われているはずです。

    ○グループD



    誰もが指摘しているように「3強1弱」の構図です。コスタリカは日本の守備陣を翻弄したブライアン・ルイスとジョエル・キャンベルに一縷(いちる)の望みを託す戦術を採るでしょうが、3強の守備陣は日本以上。2つの意味で、突破は困難です。

    3強では、地の利があるウルグアイを筆頭に挙げます。5月に膝を手術したスアレスが間に合えば。彼とカバーニで組む2トップは、32カ国で最も怖い。共に万能型のFWで、どこからでも点が取れます。彼らを支えるMFも、両サイドには突破力があり、中央からは良いタイミングで正確なパスが出ます。DFは両SBの守備とCBのスピードに若干の問題がありますが、守備範囲の広い守護神・ムスレラも含めて組織で補完。ベテランと中堅が大半を占める選手構成で、メンタルも安定していそうです。

    イタリアはコンフェデ杯でスペインに肉薄し(0-0からのPK戦で敗北)、ウルグアイを下しましたが(2-2からのPK戦で勝利)、W杯のグループステージでもたつく傾向が顕著なため、2位に置きました。直近の10戦は3勝1敗6分けで、3勝の1つは6月9日のブラジル1部・フルミネンセとのテストマッチ(5-3)と振るわないですが、W杯や欧州選手権といった大舞台になると一変するのが「アズーリ」(イタリア代表の愛称)。“戦術の国”らしく多様な戦い方が可能で、勝敗を分けるポイントを見抜く力もトップクラスです。選手もモントリーボやジュゼッペ・ロッシを欠いているとはいえ、若手や中堅の突き上げがあり、ラインアップは悪くありません。2位以内を手中に収めるはずです。

    長く“顔役”だった34歳のジェラードと35歳のランパードの“ラストダンス”に花を添えたいイングランドですが、好材料は乏しいです。6月8日のホンジュラス戦は一方的に攻めながら0-0、同5日のエクアドル戦は五分の展開で2-2。攻守にちぐはぐで、どこか閉塞感が漂います。そもそも、ロイ・ホジソン監督は良くも悪くも“まとめ役”が似合い、戦術のアイディアやバリエーションは多くありません。将棋やチェスで言えば「あとは駒に聞け」。FWは全てをハイレベルにこなすルーニー、英プレミアリーグで29試合21得点とブレイクしたスタリッジ、同リーグで2季連続2桁得点のランバートなど多種多様で、MFも確実に一定のパフォーマンスを計算できる安定型が揃っていますが、DFは小粒。GKのハートも当たり・外れが極端です。チームとして、ウルグアイやイタリアよりも一段くらい落ちるのではないでしょうか。

    (以下、後編に続く)



    <編集後記>

    いよいよ、もう寝て起きると開幕です。あっという間でしたね。睡眠をどれだけ削れるか。我々も1日1日が勝負ですw

    さて、展望を前編と後編に分けたのは、いつも通り長いからだけではありません。E組の冒頭までしか書けていないからです(苦笑)。仕事が忙し過ぎて…。一応、順位予想やイチオシ選手とその特徴は完成していますが、文章はゼロに等しい。後編は、A組~D組と同じ画像を張って終わりかもしれません(泣)。

    それとは別に、全試合を予想するつもりです。ツイッターで呟いた上で、何らかの方法で管理しておきます。さて、どれだけ当たるでしょうか。

    また、もうここに書いてしまいますが、優勝はブラジル、得点王はルカク(ベルギー)と予想します。

    個人的に注目している国は、チリ、ボスニア、スイス。特にチリは、ドイツとのテストマッチのインパクトが大きく、期待しています。日本とドイツは全試合を生で観るとして、この3カ国もできるだけ押さえるつもりです。

    展望や予想は当たらなくて当然。今回はtotoもありますし、ツイッターやニコ生、もちろん現実世界も含めて、侃侃諤諤と持論をぶつけ合い、楽しみましょう。

    ただ、意見は十人十色。互いにリスペクトして、貶し合いは慎むべきです。選手の批判も、ほどほどに。いつも書いていますが、フットボールの見方に絶対的な正解などありません。

    そこは強調しておきます。

    最後に毒を吐きますが、普段はろくに観てもいないくせに、ここぞとばかりに偉そうに戦術や選手について語る輩を決して認めません。私もそうならないよう、謙虚に、真摯に向き合いたいと居住まいを正す次第です。
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