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【マンション経営コラム|第112回】2017年世界のトップの顔ぶれがガラッと変わる?
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【マンション経営コラム|第112回】2017年世界のトップの顔ぶれがガラッと変わる?

2018-02-14 09:48

    投資家にとってチェックを欠かせないのが、2017年にヨーロッパを中心として世界で相次いで行われるトップの選挙です。

    イギリスのEU(欧州連合)離脱表明や、難民受け入れ問題に猶予のないヨーロッパではオランダ、フランス、ドイツで大統領選や国会議員選挙を実施します。また、中東では核開発をめぐってもめたイランで大統領選、アジアでは弾劾を受けた朴槿恵(パク・クネ)大統領の後任の選挙が行われます。

    2016年はアメリカ大統領選でドナルド・トランプ氏当選や、イギリスのEU離脱決定など世界は大きなうねりに包まれました。この流れはどうなるのでしょうか。

    欧州ではオランダ、フランス、ドイツ

    欧州選挙の先鞭をつけるのは、2017年3月15日に行われるオランダ総選挙(国会議員選挙)です。オランダは1970年代から移民や難民を非常に緩い条件で受け入れ続け、「寛大な多民族国家」を世界に対しアピールしてきました。しかし、そんな方針に対して国民の不満もくすぶっています。そうした層の受け皿が、移民受け入れ反対や反EUを掲げる自由党(PVV)です。世論調査では政権与党(VVD)を上回る勢いもうかがえるそうで、政権交代リスクがあるといえます。

    2017年4月23日、5月7日の2回にわたって行われるのはフランス大統領選です。「台風の目」となっているのが反EU、移民排斥を掲げる極右政党「国民戦線」の党首であるマリーヌ・ル・ペン氏で、2015年のパリ同時多発テロや、高まる失業率など不安に揺れる国民に支持を広げています。

    世論調査では、ルペン氏は決選投票での敗退が予想されていますが、EU離脱表明、トランプ氏当選に続く「番狂わせ」の可能性もないとは限りません。6月にはフランス国民議会選挙もあります。国民戦線が過半数を占めるのは難しいでしょうが、キャスティングボートを握る勢力にはなるかもしれません。

    ドイツでは2017年9月24日に連邦議会選挙があります。日本と同じ議院内閣制で、強い権力を持つのは国会議員の中から選出された首相です。ポイントは4期目を目指すアンゲラ・メルケル首相が率いるCDU(キリスト教民主同盟)が第一党を維持できるかどうかという点です。メルケル首相の移民受け入れに寛容な政策に対する評価は、賛否両論です。最近では中道左派の社会民主党(SPD)の支持率がCDUと連立を組むCSU(キリスト教社会同盟)をわずかに上回ったとの世論調査が報じられました。反移民の政党が台頭する可能性は少ないものの、ひょっとしたら首相が交代する可能性はあるかもしれません。

    中韓の行方も気になる

    アジアでは、韓国の朴大統領の後任を決める選挙があり、その時期は早ければ4月末頃ではないかとされています。報道機関による最新世論調査では、革新系の最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)前代表が支持率30%超で他を大きくリードしています。

    共に民主党所属の安熙正(アン・ヒジョン)忠清南道知事、黄教安(ファン・ギョアン)大統領権限代行首相が15~16%で2位を競り合っています。韓国は経済の牽引役、サムスンの事実上のトップが朴大統領のスキャンダルに絡んで逮捕されたことで韓国経済は大打撃が避けられない状態です。

    貿易依存度が高いにもかかわらず、過去の戦争のことを蒸し返して日本と友好関係が結べないなど、対外政策の稚拙さが際立っているうえ、外圧に弱いとの弱点もあります。次期大統領が就任後もこうした状況を克服できるかどうかが鍵となりそうです。

    中国の全国人民代表大会は2017年に5年の任期が終わります。事実上の共産党一党独裁政権のため、選挙の公正性などを議論すること自体が間違っているのですが、世代交代がどう行われるかに注目したいものです。

    2000年代に躍進した中国経済は、2010年以降は右肩下がりで、実質経済成長率は今後も6%台から伸びることはなさそうです。外交的には東シナ海に人工島の軍事基地を建設したり、日本の尖閣諸島への侵入を重ねたりしています。日本とアメリカは友好を強調することで緩やかに対決姿勢をみせていますが、こうした圧力が強まる中で中国はどう生きていくのか、新しい世代の判断に注目です。

    トランプ、EU離脱 ポピュリズムがどう影響するか

    以上、世界の主な選挙をみてきましたが、いずれも背景にあるのは「アメリカ・ファースト」を掲げるトランプ氏の当選や、難民受け入れを拒否するためEU離脱を表明したイギリスの政策であることは間違いないでしょう。これを「大衆迎合主義(ポピュリズム)」と呼ぶこともあります。その是非にかかわらず、世界の有権者がリーダー選びの基準の一つとして大きな位置を占めているのは事実です。

    国ごとの経済事情や国民性などを見極めて、チェックしていくことが重要となりそうです。

    吉田早希と学ぶ「世界一受けたい不動産投資の授業」#6


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