日本の人口が減少に転じる中、地方部では過疎化や高齢化が進んでいます。しかし、東京ではいまだに人口流入が続き、2025年ごろまでは都心部の人口が増加する見通しです。そのため、人口増の見込みにくい地方ではなく、都市部でマンション投資をしたいという地方在住者の方も多いのではないでしょうか。今回は、地方から始める都心のマンション投資についてみていきます。

都市部での不動産投資は安定性がある

東京都総務局の統計によると、東京都の単身世帯は2010年時点で292.2万世帯です。2025年には320万世帯超まで増加し、2035年ごろまで緩やかに拡大するとみられています。一方、地方都市でもマンション投資が不可能なわけではありません。地方の中心都市や、大学、企業の工場が多いエリアには、都心のようにコンパクトマンションが建ち並ぶエリアも多くみられます。

ただ、こうした地方都市の物件は、入居者の多様性が少ないのがネックです。供給源が特定の大学や企業などに偏りすぎていると、それらが閉鎖や移転した場合に、入居者が一気にいなくなってしまいます。その点、入居者のバックグラウンドが多様な都市部での投資は、安定性があるといえるのです。

融資を受ける金融機関を決めよう

地方から都心の不動産に投資する場合、注意したいのは「融資をどこから引っ張るか」という点でしょう。不動産投資をキャッシュで行うという人は少数派で、多くの人は銀行などの金融機関からローンを組んで借り入れます。全国展開しているメガバンクからの資金の借り入れは可能です。しかし、メガバンクは大型物件への融資がメインで、区分投資のような小型の案件には融資してもらえないことがあります。

そのため、地域に密着した地方銀行や信用金庫から借り入れる方も多い傾向です。ただ、地域密着型の金融機関は営業エリアが決められている場合があるため、エリア外の物件には融資をしないこともあります。そのため、利用する際は「地方から都心への融資が可能かどうか」について確認する必要があるでしょう。

エリアを問わず、比較的ハードルの低い融資を望むのであれば、日本政策金融公庫がおすすめです。政府系の金融機関なので、全国あらゆるエリアに支店があります。また、女性や若年層、高齢者といった特定の人々には優遇策もあるので、お得に融資を受けることが期待できるでしょう。

地方からの場合、物件の管理をどうするか

もう1点気になるのが、「物件の管理をどうするか」という点です。不動産経営は、物件を買ったら終わりではありません。入居者向けの人的サービス業ともいえるため、意外に手間がかかります。例えば、毎月の家賃の回収や滞納者への催促、水回りなどの設備が壊れたときの修繕の立ち会いや、入居者同士のトラブルの仲裁などです。

入居者管理から物件の修繕・リフォームまで自らでこなすオーナーもいますが、地方から都心に投資したいという場合はほぼ不可能でしょう。このような場合は、手数料を支払って管理会社に管理を委託することが一般的です。管理会社は、毎月の家賃を入居者から回収し、手数料を差し引いた額をオーナーに振り込むことになります。

利回りをできるだけ維持するには、手数料などのコストなどをできるだけ抑えるのがセオリーです。しかし、地方からいちいちトラブルや修繕に立ち会う費用や時間コストを考えると、管理会社に委託するのが賢明といえるでしょう。ただ、管理会社はオーナーと入居者のあいだをつなぐ窓口的な役割をするので、できるだけ迅速丁寧に対応して信頼できる管理会社を見つけることが大切です。

分散投資としてもメリットあり

このように、購入する際の融資や物件管理の問題さえクリアできれば、地方から都心への不動産投資も不可能ではないでしょう。日本は災害リスクが高いため、分散投資という観点からも、別エリアに不動産を持っておくメリットはあります。流動性が高く、安定的な都心への不動産投資を検討してみてはいかがでしょうか。