岩田聡社長と「任天堂らしさ」
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岩田聡社長と「任天堂らしさ」

2014-01-21 12:29
  • 88
参考リンク:任天堂の3期連続赤字についての考察(BLOGOS)


 まあなんというか、赤字なのは社長が無能だからだ、岩田さんにカリスマ性も時代を読む目もないからだ、という分析がされているわけですが、僕は岩田さんがダメな人だとは思えないんですよ。
 リーダーシップにおいても、経営において「軸がブレない」という点においても。
 ただ、2002年からずっと社長の地位にあるというのは、ちょっと長すぎではあるのかもしれませんね。

 岩田さんはHAL研で実際にゲームというのものをつくってきて、プログラミングやゲーム制作の現場にも造詣が深い人です(ファミコンの『バルーンファイト』も岩田さんがつくられたそうです。その他にも初期のファミコンの『ゴルフ』や『ピンボール』なども)。
 マイコン時代、ファミコンの初期から、プログラミング、あるいはゲームというものにかかわってきているし、ゲーム、あるいはゲームを通じて何かを実現することが、大好きな人なのだと思います。

 任天堂の「スマートフォン戦略」の遅れを指摘する声は大きいのですが、「昔からのゲーム」を知りつくしている岩田社長は、だからこそ、「一部の高額課金ユーザーに支えられるソーシャルゲーム」や「99円で昔の名作が(しかも、操作性激悪で)売られること」への疑問が拭い切れていないような気がします。
 岩田社長よりも10年ちょっと若い僕も、昔からのゲーマーとして「これだと、ゲーム業界はカネか時間がないヤツは楽しめない、同じようなゲームばかりになってしまう」か、過去の資産を食いつぶしていくだけで、先細りしていくのではないか、と思うので。

 ただ、「とりあえず、いまの経営状態を改善する」という意味では、任天堂はスマートフォンにもっと深入りしていったほうが良いのは間違いありません。
 こういうときに「時代の流れに逆らわない」のが正しいのか、「時代のほうがまたこちらに向くのを待って、自分のポリシーを貫く」のが正しいのかというのは、なんともいえないところがあるのです。
 任天堂は、基本的に後者の会社であって、WiiやニンテンドーDSの大ヒットは「ゲーム機のスペックを高めるだけの競争から外れること」によって得られたものではあります。
 「ソーシャルゲーム」も、一時的なものなのか、それとも、このまましばらくゲームのジャンルとして定着していくのかはわかりません。
 そもそも、スマートフォンのタッチパネルは、任天堂が得意としているアクションゲームの操作には、悲しいほど向いていないんですよね。
 もちろん、任天堂も「まったくスマートフォンの研究をしていない」ということはないでしょう。
 それでも製品化しないのは、「ゲームの質」へのこだわりなのか、ゲーム産業の将来を案じてのことなのか。


 難しいのは、待てば風が吹いてくるかどうかはわからないし、いつかは吹いてくるのだとしても、いつなのかはわからない、ということなんですよね。
 NTT docomoがiPhoneをなかなか導入しなかったのは、日本のメーカーとしての意地だけではなく、iPhoneでは、これまで持っていたコンテンツに対する「課金代行システム」をAppleに奪われてしまう、という事情もあったのです。
 もし、iPhoneを導入しなくても業績を回復できれば、docomoは、その大きな利権を維持することができた。
 その場合「iPhoneは入れない」という判断をした経営者の判断は、絶賛されたはずです。
 しかしながら、「なんとなからないか」とあれこれやっても結果が出ず、結局、docomoは遅ればせながらiPhoneを導入することになりました。
 docomoにとっては、iPhoneが遅れた分、ユーザーを減らしてしまっただけ、になったのです。
 iPhoneの天下だって永続するものではない(というか、むしろ現在は「日本でのiPhoneの強さは世界のなかで特異的」なのだとか)。
 だから、潮目が変わるまで独自路線で待つというのも、ひとつの戦略ではあります
 もちろん、潮目が変わったからといって、こちらに有利になるとは限らないとしても。

 「ガマンしきれれば、最良の選択となりうることでも、途中で限界がきてしまえば、最悪の選択となってしまう」
 
 経営ってやつは、本当に難しいですね。
 それこそ「スマホが流行ればスマホだ!」と割り切れるのならば、そんなにラクなことはないのだと思うけれども、岩田さんは、そんな短絡的な経営者じゃない。
 でも、もしかしたら、これまでのテレビゲームというものに愛着がありすぎて、変化を受け容れられない「頭が固い人」になってしまっているのかもしれない。

 僕個人としては「任天堂らしくない選択」はしてほしくないのです。
 でも、岩田社長(まだ54歳だけど)や宮本さんだって、ずっと生き続けて、面白いゲームをつくれるわけじゃない。
 そして、これだけ「やること」が増えてしまった世界では、「ゲームだけで徹夜」できる幸福な人は、そんなに多くはない。

 もしかしたら、「ハードウェア」に「任天堂らしさ」を投影してしまうことそのものが、もう、間違いなのかもしれません。
 
 考えてみれば、『どうぶつの森』とか、ものすごくスマートフォン向きですよね。
 逆に「任天堂らしいスマホゲーム」ってアプローチも、あるのだろうし……

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他78件のコメントを表示
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任天堂は「コンピューターゲーム屋」ではなく「ゲーム屋」だった。今はちょっと前者に囚われているかもね。
スマホゲーが流行っているのは基本無料とか一回の課金額は少ない(総額はともかく)も一因だから
それなりの値段だが本格派と安い作りだがお手軽に遊べる作品が一堂に集まる場を作る努力が必要かなと。
様は多様性が失われて来てない? って事。
77ヶ月前
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任天堂のゲームはあったかい.
一人暮らしでとくに感じる.
77ヶ月前
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とても面白い記事だったと思う
77ヶ月前
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任天堂が頑張ってるのは認めるよ、ただ他のゲーム会社がパネル二つのゲーム作るのについていけてない感が、WiiUについてはもう3DS高画質プレイ可能にしないと売れないだろうな。もしくはvitaTV のような室内でできるように販売するか?
77ヶ月前
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任天堂のゲームは遊んでいて楽しい。
そしてその為のハード開発に於いても手抜きをしない(と思っている)。
だけれども、新技術の導入にもう少しだけ積極的であって欲しい。
Wiiの時のHD及びフルHD導入の遅れしかり。
ゲームのスマホ対応だっていきなり全部対応でなくてもクラブニンテンドーIDですれ違い通信のみ対応とか出来なかったものか。
そして今は殊更難しいんだろうけども、挑戦的なハードはもう出せないんだろうか。
バーチャルボーイとか、ゲームボーイマイクロとか、松下のドライブ積んだGCとか・・・
77ヶ月前
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>>67
エアライドは確かにいいかもね
しかも本編も面白いけどおまけゲーム?(なんじゃそりゃ)みたいなのがすっげーー面白いからそうゆうのもまたつくぅってほしいかな~
77ヶ月前
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任天堂の持ち味があるとするなら、クソゲーオブザイヤーからおそらく最も遠いであろう水準高め安定のクオリティと、安心の顧客満足度、
要するに「ユーザーの虚をついて悪い意味で裏切ることは絶対やらないようにしている」といったところでしょうか。
それが逆に保守的になりすぎている可能性がなきにしもあらずですけど、そういった部分もある意味長年培った財産ですから、
その財産を放棄してまで得るべきものって逆に何があるのかな、と思うとあまり浮かびませんね。
そのスタンスを変えて真っ先に損するのはユーザー以外まずありえませんし。

スマホに参入すべきという意見が目立つのも、現状パッと思いつく限りでそれ以上の妥協策が単に出てこないというだけで、
それだけである程度丸く収まると本気で考えている人は、実は決して多くないような気がします。そんな楽観した結果が確実なら誰も苦労しないでしょう。

少なくとも、払ったお金と実際の楽しさが釣り合いにくい(=費用対満足度が安定せずユーザーが不満を抱く可能性の高い)ガチャ課金などを主体にした、スマホゲーにありがちな収入モデルにはほぼ手は出さないと思います。

それ抜きでスマホに参入しない主な理由があるとするなら、他のメーカーにも言えますが「機種ごとにスペックがバラバラで、快適かつ安定したプレイ環境が提供できない」こと辺りでしょうか。
スマホアプリ自体、どんな有名どころでも安定して動くものって(ゲームなどの複雑な処理をするものほど)体感的にも決して多いとは言えませんし、任天堂のスタンス的にもこの点はかなりネックかもしれません。
逆に言えばこの点がコンシューマの強みでもあるんでしょうけど。

スマホ自体は結構便利ですから、どうせ利用するなら、ポケモングローバルリンクみたいな付属的なサービスに使うとか、そういう方向性になりそうな気がします。
そういう方面でなら、もっと積極的にやってもいいと思います。

「時代に合わせて既存のものに迎合する」というより「時代に合わせて今確実にできる満足した娯楽を研究・構築し提供する」というのが、今の任天堂の在り方に近いのではないでしょうか。
今までの枠組みが時代の流れで通用しないのなら、その枠組みを見直して可能な範囲で一から組み直し、通用する形にする…
それが真っ先にできるとしたらやっぱり任天堂でしょうし、逆に言えば任天堂がユーザーの期待に応えるにはそれしかないともいえる気がします。
スマホやソーシャルゲーだってご存じのとおり必ずしも完璧ではありませんし、それらでは掬いきれない不満や需要も少なからず確かに存在するはずで、これらが普及すればするほどその不満や需要も今後ますます増え続け、やがて爆発するでしょう。
その起爆剤として、スマホ等では満たされない欲求を見事解消できるようなコンテンツをどれだけ魅力的な形で提供できるかが、任天堂に限らず多くのゲームメーカーの課題でもあり大きなビジネスチャンスでもあると、素人ながらに思いました。
77ヶ月前
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子供の数自体が諸々の事情で減ってるから、(収入のある)大人が買って子供に遊ばせようにも、そもそも子供がいなかったりする訳で
そこで大人を直接ターゲットにするわけですが、ほとんどの大人は働いているだろうから時間が無い(据え置き機で遊ぶ暇が無い)
さらに、例えば外で5分10分の暇をつぶしたいとして、携帯電話は大体みんな持ってるのでそれで暇をつぶせたら携帯ゲーム機を持ち歩く必要が無くなる
加えて子供と違って安定した収入があるので、月額いくらの課金形態にも抵抗が少ない

ゲーム会社的にも長期間収入を得られるし、本体がネット上にあるのでバグ修正、バランス調整、追加要素などが容易
(金策はとても大事、コンパイルはぷよぷよブームの真っ只中につぶれた)

この流れは必ず変わるので、待つのはありでしょうね
変わらなかったら滅びますんで

個人的には、ハードの制約を受けにくいPCゲームが台頭するとにらんでいますが、この会社はそれよりは新しいハード出すんだろうな・・・
70ヶ月前
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織田がつき羽柴がこねし天下餅すわりしままに食うは徳川
ゲーム業界もこれ。
任天堂が織田。ソニーが羽柴。DeNAが徳川。
70ヶ月前
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ポジティブ記事は信じる
ネガティブ記事は信じない
それ以外は無用
ニューヨークタイムズや朝日新聞、韓国の新聞社の日本攻撃記事が純粋な意図で書かれていると思う人いるかい?
69ヶ月前
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