家庭用3Dプリンターの性能向上をみてみる
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家庭用3Dプリンターの性能向上をみてみる

2013-05-06 14:58
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今現在我が家にある 3Dプリンターは Makerbot社の Replecator1 であり、これは 2代目となります。
その 2台の間でどれくらい出力品に差があるかというのはあまり見かけないので比較をしてみましょう。


初代は Makerbot の CupcakeCNC。3Dプリンターのキットが一般売りされたほぼ初代の製品。2009年10月発売、2010年4月購入。
フルキットだった上にまだみんながFDM式出力機の作り方に色々試行錯誤している状態だったので、Makerbot とそこに集まるエンドユーザー達があーでもないこーでもないとみんなで使い易くなるように改良を続けていた時代。
ぶっちゃけ未完成品でしたが、でもそれが楽しかった時代。


CupcakeCNC から Thing'O Matic を経て 3代目の Makerbot 3Dプリンター Replicator Dual extruder。2012年4月購入。
これまでキットだった物から完成品の販売と方針転換をしたものでした。
しかし、これまでの積み重ねを完成品という形で提供するため初代の CupcakeCNC に比べて精度や品質が格段に向上しています。

CupcakeCNC については既に次の伝道師にお譲りして手元に無いのですが、最後にそれで出力した品が転がっている事に気がつきました。


ニコニコテレビちゃんの出力です。


この動画で作っていたものですね。
最終出力品は、CupcakeCNC を手放す直前なので 2012年4月に出力した物です。なので CupcakeCNC でも調整に調整を重ねて安定した状態になっていたときの物となります。
これと同じデータを Replicator で出力してみました。



よく言われる積層厚。
左が CupcakeCNC の 0.4mm 積層で、右が Replicator での 0.24mm 積層になります。
CupcakeCNC でも積層厚を薄くすることは可能なのですが、薄くすると樹脂の射出量を減らさないとならないのでその辺のコントロールがバランス取りにくく難しい作業となります。
Replicator で使われているアプリだと既に積層厚別のプリセットが用意されていたり射出量のコントロールが容易だったりと、積層厚変更がやりやすくなっています。



側面の平面感。
左の CupcakeCNC では所々にぼこぼこの出っ張りが現れていますが右の Replicator にはありません。
これ説明するのが難しいのですが、1層の整形を終えて縦方向に一段ノズルが上がるときにできるものです。積層厚(ここでは0.4mm)だけ上にノズルが上がるのですが、このときにもある程度の時間が経過するためノズルから樹脂が射出し続けています。その上昇時に射出されていた余分な樹脂が溢れて脇からはみ出すのがこのダマとなります。
FDM式出力機では、樹脂の射出と停止をモータでの樹脂送りにて実現しているのですが実はこれが大変難しいもので理想的な形で射出開始と停止をしてくれません。なんせ相手は液体ですのでモーターでの送りを止めてもトロトロと流れ出てきます。またモーターで送っている時はバレル内に上から押さえつけるという圧力がかかっています、これが急に停止しても内圧が残っているためそれでいくらか押し出されてくるわけです。
そんな難しい樹脂の扱いをどうするかというと、モータを逆転して樹脂を引き抜く方向に持ち上げることでできるだけぴたっと射出が停止するように制御しているのですね。

CupcakeCNC というか Extruder Mk5 世代までは、樹脂送りのモーターはギヤード DC モーターでそれを PWM 制御で速度を変化させていました。これがまともにコントロールできない原因だったのですよね。
Extruder Mk6 からは樹脂送りモーターがステッピングモーターになったためこの送りコントロールが細かく制御できるようになり射出精度が格段に向上しました。
もう一つの制御が難しい問題であるバレル内の内圧ですが、これもどんどんバレル長が短くなる方向に進化することで解消されていきます。
このへんは RepRap の人たちが先に気がついて改善していったんじゃなかったけな。

そういった Extruder の問題があることを良くわかっていたので、それらが大幅に改善された Extruder Mk7 が乗っているというのが Replicator を購入した最大の理由でした。
Replicator2 では Extruder Mk8 に進化しているらしいですが、これは PLA 出力が安定するようにノズルの内部設計を変更しているとのことで、差違はノズルだけの様です。

追記: ダマや途切れが見えないように外周部分で層送りをしない方向でスライサーアルゴリズムが進化したというのも理由でした(層の開始と終了はできるだけ内側で行う様になった)


位置精度。
右の CupcakeCNC での出力では 1層毎にガタガタとズレが生じていることに気がつくでしょうか。これ実際に1層毎にテーブル位置がずれているのでこんな出力となります。
これでも沢山の改造を施してここまで小さな揺らぎにしたんですよ。
初代の CupcakeCNC ではノズルが Zテーブルに載っていてそれが上に上がっていくのですが、Zテーブルを上げ下げするねじ切り棒が芯を外しているためねじ切り棒 1回転の周期でノズルがふらふらと揺れるという構造的問題がありました。これが形成物に対し周期的なズレを作り出し細かく波打ったようなエッジになるという現象がありました。
フローターとスタビライザーを自作することでねじ切りの芯ズレを Zテーブルに伝えないという改造が流行っていたのでそれを導入して大分ましになりました。
それでも残っているずれがありますが、後は XYテーブルのバックラッシュだと思います。ベルト駆動なので適切なテンショナーを噛まさないといくらかのバックラッシュが生じてしまうのですよね。
Replicator も XY軸はベルト駆動なのですが、ベルトの質が上がったりと大分精度が良くなっています。

それでも見てみると Replicator 側にいくらか波打ったようなズレが見えますね。
これは Zテーブルが揺れているんだろうなあ。全体の剛性とかがこういうところに現れてきます。



ニコニコテレビちゃんの顔部分がちゃんと作れるかどうかは XYテーブルの精度と射出速度にもよるのですが、スライサーの性能向上も大きく関与します。

CupcakeCNC は Extruder で細かい射出量のコントロールが難しいと書きました、そのため細かい物が作れないという難しさを持っています。
射出開始を制御してもすぐに樹脂が出てこないので、樹脂が安定して出てくる前に細部を描ききってしまいほとんど形成されないで次へいく、とか。射出量が多いのでその分樹脂が持っている熱量も多く、細かい物を形成しようとすると下がまだ冷めておらず上に載せた新しい樹脂の熱で全体がどろどろになって細かいところがとけ崩れてしまう、とか。
どれくらいの細かさが作れるかというと、CupcakeCNC では底面 15x15mm の柱を上に伸ばしていくのがせいぜいといったところだったと思います。底面 10x10mm の柱では樹脂の熱問題でまっすぐ伸ばせませんでした。Replicator では適切な量の樹脂射出ができるので 5x5mm くらいの柱でも形成できてビックリしたものです。

後はスライサーと呼ばれるモデル形状からノズルの移動パスを生成するソフトウェアも進化しました。このスライサーが樹脂を出すときに目的地よりも手前で出し始めて停止状態から実際に射出されるまでの時間差を見越してくれたり、射出停止の直前にモーターを逆転させて樹脂を引き上げ止めたりといった制御を加味して行ってくれます。
Extruder の改善とともにそれにそった射出コントロールのノウハウがスライサー側に搭載されてより目的に即した制御を行ってくれるようになりました。
どのようなラフト(最初の層になるイカダのような土台)をつくるとテーブルに張り付きやすいかとか、どういう手順で描くと綺麗な見た目になるかとかソフトウェアで進化した部分もとても多いです。
3Dプリンター側の制御ファームウェアもどんどん更新されて都度まともになっていきます。
そういうのを見ていると成長するのを楽しむ世界なのだなあと思います。


Replicator は完成品だから精度が高いとかそういう事では無くて、こういった過去のノウハウが全て積み重なった上の製品であるから良くなっているのだ、ということだと思います。
キットであっても、精度を担保することができますし組み立てる人が工夫することで精度向上する部分があると思います。
そうした知識やノウハウ無しにいきなり自作というと幾分難しい世界かもしれません。

この記事が皆様の3Dプリンターを見る目の助力となれば幸いです。
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技術の世界は本当に日進月歩だなぁ
プラモのランナー複製できる日も近いのかしら
90ヶ月前
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