私的名作ゲーム話 第二回『ミッシングパーツ』
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私的名作ゲーム話 第二回『ミッシングパーツ』

2014-03-19 19:04
    個人的に名作であると思ったゲームを紹介するコーナー、第二回はマイナーながらピリッと効いたゲームを出しているfog制作の探偵アドベンチャーゲーム『ミッシングパーツ』を取り上げます。

    初出はドリームキャストで1パート二話構成の計三枚(全六話)、PS2版はサイドA、Bで各3話収録、そして全話収録+新作ストーリーのPSP版と三つの機種で発売されています。(なおPSP版は発売が日本一ソフトウェアとなっています)

    副題にtheTANTEIstoriesとしている通り、基本はオーソドックスな探偵もので足を使って得た情報を推理し数々の謎を解いていくといったものですが、このゲームの優れている点は出てくる登場人物ほとんどに味があり通常会話ですら楽しめるという点、そしてなにより推理がはまったときの紐がスルッと解けていくようなクリア感が強烈に味わえる、といった点でしょうか。
    ストーリー自体もよく作られていて超展開や超推理によって無理に話が進むことはなく、しっかりと道筋を辿って真相に至るので納得感があり、展開にプレイヤーが置いて行かれることもまずないでしょう。
    一話二話はほぼチュートリアル的なもので難易度は低くすんなりと物語や設定に慣れることができ、三話以降は自由度が上がり難易度は上がりますが探索が面白く、より謎を解いている感が上がります。(サブストーリー的なものも多くなるのでそれを探す楽しみも)
    時間の概念も導入されていて何時くらいに誰々はどこそこで何してるか、とかそういった部分もしっかり作られていて探索に深みを与え、作業になりがちな移動パートのアクセントになっていたりもするので飽きが来ない良い作りになっていると思います。
    各話数は独立しているものの前話で構築した人間関係は継続されていて徐々に行動範囲が広がっていったり、前話のキャラクターが町を歩いていたり近況がネットで拾えたり、増えた知り合いのツテで情報が拾えたり、と関連性もより全六話の物語に没頭できる要因になっています。



    一話 「鳴らないオルゴール」
    鳴海探偵事務所での探偵業の傍ら、恭介が手伝うアンティークショップ「セクンドゥム」に、名門木原家の養女・嘉納潤がオルゴールを持って訪れる。帰りに何者かに襲われた潤と兄・浩司を助けたことから、木原邸に招待された恭介は邸内で殺人事件に遭遇する。恭介は複雑な人間関係の木原家に隠された事件の真相に挑むことに。

    一話ということもあり人物紹介、舞台説明等盛り込まれた回。
    主要メンバーの顔合わせとなるので繰り返しプレイ時にはけっこうニヤニヤできたり(笑)
    難易度も低くほぼ総当り的な攻略でも解決の糸口は見える。
    名門の大邸宅が舞台となるので所謂館ものの雰囲気も味わえ、複雑な家族関係、それによるギスギス感、そして一服の清涼剤であるゲストヒロインの潤ちゃんの魅力。
    特に随所に盛り込まれる潤のピアノは心を洗われるようで良いアクセントになっています。


    二話 「赤いカメオ」
    人気テレビ番組TRY×FLY(トライ・バイ・フライ)のオーディション企画に出演するアイドル候補生3人のうち1人、高崎美幸が自殺した。それから局内で頻繁に高崎美幸の霊が目撃され、恭介は噂の真相を調査することとなる。しかし、調査が進むにつれ、彼女の死に幾つかの疑問が浮かび上がる。

    二話はホラーテイスト。冒頭のバーでの騒動から幽霊の探索がメイン。華やかな世界の裏側も垣間見ることが出来て業界人の造形もらしく作られていて(笑)○。謎解きも複数の謎が絡まっているので解きほぐしがいがあり良い難易度。ただ最後のキーが終盤まで揃わないのが難点でしょうか。(主人公の手の届かないところに情報がある)
    ネイルサロンに誰と入るか、とかちょっとしたギャルゲー的な要素もありゲーム感というか選択の幅もありお話としてもよりゲーム感が出てきた感じが。
    ゲストヒロインはアイドル候補生の春日野唯ちゃん、桧山明日香ちゃん。アイドルらしい明日香とらしくない唯、高崎美幸との関係もそれぞれ印象深いですし、業界を表すキャラクターとしてもよく描かれてます。
    この話から移動に時間の概念が出てくるので、自由行動の多い二話は良いチュートリアルとなっていて、一話と比べ遠出もするので遠羽市の全体感のようなものも感じられるのではないかと。
    事件自体は(恭介の扱う事件としては)ライトなもので評価もあまり高くないですがラストシーンの演出は印象深く、深い余韻を味わえるものとなっています。


    三話 「託されたペーパーナイフ」
    哲平の元に元舎弟・赤松亮太から「何も聞かずに預かってほしい」という手紙と共にペーパーナイフが届く。行方がわからなくなった亮太を恭介と哲平は捜すが、なぜか亮太の友人達が次々と殺されていく。背後に暴力団の争いや闇取引の影が見え隠れする、これまでで最も危険な事件に挑む。

    真のミッシングパーツここに解禁! と詩いたくなるほどの傑作シナリオ。
    ミッシングパーツが傑作である所以がギュッとつまっています。
    三話からがこのゲームの真のスタートなのでここまでは是非プレイして頂きたい。
    難易度も上がっており、フリー移動の際の行動回数に制限がある(というか時間の概念がより厳格になっている)ので何も考えずに移動しているとただ移動しているだけで何も情報が手に入らず一日が終わってしまうことに。
    そして情報が足りなくてもそのままストーリーが進んでしまう、しかもそれ用のストーリーも用意されていて(犯人が特定できないことによる)追加の事件まで起こり、エンディングも分岐するというちょっと頭のおかしな仕様なっています(褒め言葉)。
    ストーリーも本領を発揮。このお話は一話二話で陰で支えてくれたワトスン役の白石哲平にスポットが当たり、より関係が濃密になっていきます。その筋の人にもこの作品の人気が高い所以でもあります(笑)
    ゲストヒロインの李涼雪(リ・リャンスェ)も印象深く演出されており、ストーリー上でも重要な役割を果たしているのでこの娘をベストヒロインに挙げる方も多いはず。舌足らずの日本語は萌える要素ですしエピソードも恭介に合っているのでラストシーンは心揺さぶられるものになるでしょう。
    事件もかなりショッキングな内容になっているので惹きこまれ具合が半端なく、真夏のじっとりとした嫌な雰囲気や背筋がゾクッとするような悪寒を感じることが出来ます。


    四話 「傷ついたテディベア」
    負傷した哲平のお見舞いに病院を訪れた恭介は、通院中だった奈々子の担任教師の変死事件に居合わせる。奈々子からの依頼で調査を始めた恭介は、長期入院中の幼い少女・まどかと親しくなる。彼女の大事にしているテディベアには、本人も知らないある秘密が……。

    四話はゲームとして難しいお話。独立した依頼を並行して処理する必要があるため、フラグの管理や場所移動の順番が重要になってきます。
    お話もどちらかというと次への伏線を張っているのが目立つ回で、単体としての完成度は三話の方が高いかもしれません。
    しかしそれを補って余りあるキャラクターが出てきます。そう、今回のゲストヒロイン朱原まどかちゃん!あどけないその姿振る舞いとお気に入りのテディベア「ルーク」に癒されます。
    三話のショックから恭介とプレイヤーを救ってくれる良キャラクターです。
    今回レギュラーキャラクターでのピックアップは行きつけのネットカフェ店員の女子高生、鴨居奈々子。個人的にミッシングパーツのヒロインといったらこの娘なので一緒に行動するシーンは楽しくプレイできました(笑)
    事件は病院探索がメイン、次々と事件が連鎖するかなりややこしい印象があるものでした。病院ものらしくホラーやサスペンス的な要素もあり終盤のあるシーンでは耐性がないかたはかなりショックを受けるかもしれません。
    またメインキャラクターそれぞれとのエピソードも深くなるのでそのあたりも必見でしょう。ただ詰め込む量が多すぎたのか少しせわしない印象を受けるのが残念かも。
    ストーリー的にもゲーム的にも大忙しな四話ですがどちらもまどかちゃんの爛漫さ、奈々子の真っ直ぐさに救われる印象があります。


    五話 「迷いの懐中時計」
    バーからの帰り道、恭介たちはタクシー運転手の死体を目撃する。犠牲者は、恭介の顔見知りの不良少女・睦美の父親だった。調査を進めるうちに、事件の背後関係が想像以上に複雑だったことが判明する。最後に恭介の前に立ちはだかるのは誰か?

    衝撃の第五話。多くの方が一番印象に残った回として語っているこのお話。
    今までの伏線やキャラクター同士の積み重ねでストーリーが回るので、いよいよお話が深まって来ているなと感じられます。
    ゲーム的には事務所での所長が残したファイル整理ができるようになり、今までの事件とその背後にあるものが徐々に片鱗を見せ始める回でもあります。ゲーム的な難易度は四話に比べると低く、三話くらいの難しさではないかと思います。ただ終盤の選択肢は色んな意味で難しかったりしますが。
    ゲストヒロインは不良少女波多野睦美ちゃん、弟の波多野皐月くん。弟だけどヒロイン枠、アリだと思います。正直ストーリーが濃いのでヒロインの存在は今までよりも薄いかもしれませんが終盤のサイバリアでのイベントは秀逸。恭介の凄さも引き立っています(笑)
    今回の事件は氷室、森川ペアを初めとして警察関係者も多数関わっています。掛井警視との関係性などキャラの掘り下げや恭介との関係も良く描かれていると感じます。
    ただ一番キャラ的にピックアップされているのは鳴海探偵事務所所長代理、鳴海京香さんでしょう。タイトルも一番縁の深い人物ですし、実質のヒロインは彼女であるかもしれません。

    五話は犯人の輪郭が徐々に見えてくる様子が秀逸、そして対決シーンはこのゲーム屈指の名シーンでしょう。今までの伏線も生かされ、思い出補正もあってその衝撃度はもの凄いものがあります。ラストの締め方もまた渋い仕上がり、クライマックスに向けて盛り上がって行きます。
    このシナリオで印象的に使われる「Painful rain」という曲はミッシングパーツファンにとって特別な曲、着メロにしたことのある方も多いのではないかと思います。


    六話 「追憶のペンダント」
    鳴海探偵事務所での新しいイベント会場で開かれるチャリティーコンサートに、巨大な組織の陰謀が絡んでいることを察知した恭介。これまでのストーリーで得た仲間たちと協力して、彼は一世一代の大事件に飛び込んでいく。

    今までのゲストキャラクターがほぼ総登場の豪華な最終話。
    ラストだけあって伏線の紐が解かれる感覚がより強い回であったと思います。
    シリアスだけでなく今までのテイストもふんだんに感じることが出来、そしてそれによってあるはずのものが無い喪失感も感じることが出来ます。
    ゲーム的には「真神恭介の事件を纏めている」感覚が強く、いままでの事件を振り返って推理したり行動したりする必要があります。推理物の最終話に相応しいラストエピソードになっていますね。難易度は比較的低め。ただ、登場人物が半端なく多いので今までの事件をちゃんと覚えていないと辛いかもしれません。(その登場人物のほぼ全員に見せ場がある、というのも本シナリオの素晴らしい所です)

    そして物語終盤にある物を今までのゲストヒロインやメインキャラに託すシーンがあるのですが(選択制)そこがまた熱い展開の良シーン。
    個人的には奈々子に預けるパターンがお気に入り。あの台詞は卑怯やでぇ・・・。
    そして潤ちゃんはめっちゃヒロインっぽかったです(笑)

    シナリオ的には決着のつけ方にやや強引な所があるものの伏線などはきっちり回収していますし、今までの事件で恭介が負った心の傷や過去からの想いなども回収されており、物語を終えたという感覚が心地よく味わえます。
    二話や三話のエピソード回収、五話からのメッセージには唸るものがありました、本当に良く出来たストーリーだと思います。

    キャスト総出演のEDムービーの感動は格別なものが、これは長編ならではの感覚でしょう。
    ラストカットが格好いんだ、コレが。是非その目でお確かめください。


    埋もれた名作、というのがピッタリと当てはまる本作。埋もれたままにするのは本当に惜しいので是非プレイしてみて下さい。今はPSP版で全てのエピソード+おまけが味わえる「MISSINGPARTS the TANTEI stories Complete」が発売されております。推理好き、アドベンチャー好きの方はマストとも言えるアイテムかと思います。(ただ二話まではチュートリアルですのでそれまでは我慢、三話から加速度的に面白くなりますので)

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