『九龍ジェネリックロマンス』

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眉月じゅん先生は元々『恋は雨上がりのように』で知ってハマってしまっていたんですよね。
絵柄から内容から何をとってもノスタルジーでアダルトで、とにかく澄んでいます。凄いです。どう生きたらあんな世界を描けるんだろう。

両作品とも読んだ瞬間から「あっ、この人本当におっさんが好きなんだ」って決めつけてしまうくらいこの人の描くおっさんはダンディでシリアスなんです。

歳を取るのも悪くないのかもなとすら思わせてくれる自然な表現力が凄く心地良いです。
そんな眉月先生の最新作がこの九龍ジェネリックロマンスなんですね。

まぁ良作なんだろうなと確信しながら読んでみたら「ほれみろ最高やんけ」という感想に塗れてしまいました。

1巻のあらすじはというと、香港に実際に存在したスラム街「九龍城砦」そこであくせく働く大人達の物語なはずが、お話が進むに連れあれ?あれれ?となって一巻ラストではファッ!?となります。どうですか?あらすじでしょ?

それはもう純粋な恋物語に違いないのですが、眉月先生のテイストがふんだんに詰め込まれててアダルティさは恋は雨上がりのようにとは比べ物になりません。

何より登場人物の平均年齢が高い。ヒロインがまず32歳だ。
巨乳でショートでメガネでちょっとガサツでナイーブだ。最の高である。

そしてワシが昔から個人的好奇で色々と漁っていた九龍城砦が舞台だ。読まない理由が見当たらない。

あらすじな話に戻ると、九龍城砦内の不動産で働く二人、ヒロインはガサツな上司に振り回され続けながらも日々を逞しく時に自堕落に生きている。

そんな中で徐々におっさんの魅力に引っ張られ始め、二人の間にも親密な空気が漂うようになり…
これ以上言えないのよね。読んだ方がいい。

雑感だけど恋雨の時のおっさんは朴訥とくたびれていて真面目で儚げであったが、今回のおっさんは超ガサツでエネルギッシュでどこか見えてこないものを内包しているようにも見える。

というか恋雨の時もそうだったが、時々おっさんのがヒロインなんじゃないのって見えてくる。
なんというか、ヒロインも可愛いんだけどそれ以上に必死こいて生きてるおっさんが凄く魅力的なんですよね。

物語が進むにつれて様々な伏線や謎が一気に表層に現れ、最後には「え!?」というインパクトを残して1巻が終わります。

ちょっとしたスパイス要素なのか革新に触れる要素なのか、今作ではSFチックな要素も散りばめられておりその辺りの進行も今後気になるところですね。



早く2巻を出してくれ。もう待ちきれないよ。