• 幕間に拍手を - オラクルナイツ feat. ふる Original Soundtrack

    2018-06-17 22:03




    WAR→P! in Fantasy 芽ぐみの雨と水鏡の試練』の公演も無事に終わりました。
    物販で取り扱っていた私の劇伴を集めたサントラ「幕間に拍手を」も多くの方に
    手に取って頂けたようで誠にありがとうございます。

    通販及び、とらのあな各店舗では取り扱いがありますので
    引き続きよろしくお願い致します。

     ■とらのあな 通販ページ
      https://ec.toranoana.shop/joshi/ec/item/040030636614

    で、ライナーノーツをやろうと思っていたらもう6月になっていて
    この調子だと次のワープゲートが開いちゃうのわ、と思い現在に至ります。

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    はじめに、このサントラに収録されているのは
    以下の公演内で使用された私が制作した楽曲です。

    ・人狼TLPT / #10:WITCH , #15:WITCH II
    ・WAR→P! / 鈍色のカーテンコール , 呪われた跳躍者
    ・ルナパレス / 確率論[Probability Theory]



    ◆01:星降る庭
    『WITCHⅠ』のOP用に制作した曲です。
    当初、発注が「○リー○ッターような魔法っぽさみたいな…」という感じだったので
    イントロはあれのリスペクトでございます。ただ冒頭からチェレスタの音色だと
    あまりにもそれっぽ過ぎるかなぁ…と思ったので、あえてアタックを削った
    グロッケンの音を使ったりして微妙に回避してみたりするアレです。
    それと魔女なのでハロウィンっぽい雰囲気や転調をしていたりします。
    今聴くとこっちの毛色が強いですね。ハロウィンハロウィン。

    他にもアルティメット人狼の入場やプリンセスステージでも使われるので
    魔女公演を観ていない方も聴いた事があるかもしれません。


    ◆02:お喋りな密談
    『WITCHⅡ』のOP及び幽霊タイムで使われました。
    アコーディオンとヴァイオリン、ピアノが絡むちょっと怪しく軽快な曲です。
    ちょっとだけ「星降る庭」のメインメロディーを使ったりしてます。

    今聴いてもmama!milkの影響をめっちゃ受けてるなぁと思います。
    本家の艶かしさに敵いませんが…。生駒さんかっこいいですね。
    あとは当時はまっていた「Rule of Rose」というゲーム音楽にも
    だいぶ感化されてるように思います。


    ◆03:弁証
    『WITCHⅡ』の投票間近にこっそり裏で流れてた曲です。気付いた人はすごい。
    チェロがメインとなって休符で曲が止まる緊張感を感じてもらえればと思います。
    ピンと来る人もいそうですが、チャイコフスキーの「金平糖の踊り」が参考元です。
    チェロをチェレスタに変えたらもっとそれっぽく聴こえたかもしれません。


    ◆04:時の呼び声
    『WITCHⅡ』のOP及び投票タイムの曲です。
    マリンバやヴィブラフォン、ピアノなどの構成で分かる人は一発で分かると思いますが
    ミニマルミュージックの巨匠スティーヴ・ライヒの手法を拝借しました。
    投票時の迷いや葛藤、焦りの感覚を何度も繰り返すミニマルの世界に引っ張り込んでます。
    22秒付近から出てくる「ラン」というコーラスは私の裏声です。もやし。
    途中からブルガリアンボイスも足してみましたが上手くまとまったかなと思います。


    ◆05:届かぬ声
    『WITCHⅡ』の最初の宣誓時に流れるチェンバロとヴァイオリンによる3声の小品。
    元々は声を奪うシーン(処刑)用に制作したものだったので短いです。
    音を奪う呪文シレンティウムってやっぱりSILENTからなんでしょうね。
    久々に対位法を思い出しながら作りまして短いなりに頭をひねった記憶があります。


    ◆06:宵の饗宴
    『WITCHⅠ,Ⅱ』人狼勝利曲です。
    曲のしょっぱなからBAD感がすごいとスタッフの方に言われました。ドコドコドコデーーー
    これも「お喋りな密談」同様に「星降る庭」のメロディーを使ってアレンジしています。
    途中、拍子が変わって3声になる所はお気に入りだったりします。


    ◆07:光あれ
    『WITCHⅠ,Ⅱ』人間勝利曲です。
    クワイヤと2本のヴァイオリンの掛け合いで「光さしてます!!」を目指してみました。
    WITCHⅠ公演を初めて観に行った回が人間勝利でこの曲が流れたのですが、
    EDでの芝居が曲の尺ピッタリに終わって感動した記憶があります。
    ED芝居はアドリブだから奇跡的な尺でした。

    この曲も他公演に結構出張していてプリンセスステージや
    ルナパレス確率論でも使われていました。


    Track 01~07 【人狼TLPT / #10:WITCH , #15:WITCH II】
    WITCHは初めて作った劇伴だったので勝手が分からず色々悩んだりもしてました。
    曲もループ仕様というよりは完結型で作っちゃったので今考えると音響さんは
    結構面倒だったのでは…という思いです。
    Track02~04はWITCHⅡ用に制作した曲なのですが、
    公演内容に合わせて4曲とも声にまつわるタイトルを付けています。


    ◆08:劇団モノクローム
    OP、及びED『茜色のカーテンコール』で使われた曲です。
    制作時に「金管よりは木管みたいな…アンプラグドな…」という大魔王様のご注文により、
    メインをチェロとアコーディオンにしてそれ以外も「木……木っぽさ…」と思いながら
    作った思い出です。イントロの木管絡みが自分でも気に入ってます。

    この曲、元々の長さが1分半ぐらいあったのですが公演中は演出都合上、1分弱で終わる
    ショートVer.を使ってました。今回はCD収録なのでフルサイズで収録してます。
    それに伴ってちょっといじったので是非最後の方まで聴いてみて下さい。
    何かが聴こえるかもしれません。

    ◆09:闇色のカーテンコール
    ED『鈍色のカーテンコール』と『闇色のカーテンコール』で使われた曲です。
    Track04「時の呼び声」と同じ手法ですがこちらは全体的により暗くなって登場、
    更にボーイソプラノで絶望感を演出、デキるあたしをアピールです。
    なお、公演は中止だ。ミニマルの手法って色々出来て面白いなぁと思います。

    ワーストEDが『闇色の~』なのですが公演中このEDは1度きりでした。
    公演中止な上にアレがアレになってどん底でございます。
    でもこのED時、舞台監督だった細い方の寛田さんが個人的にハマって見えました。
    Wキャストの人たちが入れ替わってもう1回このEDは見たかったという思い出です。

    ちなみにこの後の『呪われた跳躍者』と先日まで公演していた『水鏡の試練』でも
    この曲は使われていました。どちらも割と怖い時にかかってましたね。


    ◆10:誰が為に幕は上がる
    ED『純白のカーテンコール』と『虹色のカーテンコール』で使われた曲です。
    フィドルやアコーディオン、ティンホイッスルなどが絡むアイリッシュ風な1曲。
    やっぱり幸せなエンディングっていいですね。あたしゃハッピーだよ。

    個人的に民族音楽モノを作る時はあまり「THE民族系です!」となるのを避けてまして、
    本物に近づけるというより適当な所で止めて残りをやりたいようにやるようにしてます。
    結構な「なんちゃって感」ですが楽しいので良しとする。ここをキャンプ地とする。


    Track 08~10 【WAR→P! in Troupe 鈍色のカーテンコール】
    この公演が私にとって初めての「WAR→P!」でした。
    音響とも並行しながら無い脳みそをこねくり回して色々作っていた思い出です。
    怒涛のスケジュールで確か1日1曲ぐらいで作ったような気がする…。

    CDには諸事情で未収録ですが、クエスト中に白倉ちゃんがアレする際に流れる
    「お手伝いに行こう」という曲もありました。多分みんな彼女を止めるのに必死で
    曲には気付いてなかったかもしれませんが…。


    ◆11:開門 ~ 呪われた跳躍者
    『呪われた跳躍者』OPで使われた曲です。結構ゲームっぽさを意識した曲かと思います。
    割とベタなオーケストラものですがこれぐらいクサくても良いかなという気持ち。
    折角サントラ収録なのでちょっと音足したりなんだりしてます。

    台本を見たら場面が結構はっきり分かれていたので曲を物凄い寄せていきました。
    自分でも台本を読みながらほぼジャストで良い感じにはまるよう作り、結果として
    思い描いた以上のはまり具合で演じ切ってくれたキャストの皆様に感動しました。
    最後をピッタリ決めてくれたザック局長がとてもかっこいいです。
    あそこ5拍子なのに…。

    ただ、セリフと曲が綺麗にはまったもんだから台本読んでて楽しくなってしまい、
    夜中にマスタリングしながら1人芝居を延々と繰り返していました。誰か男の人呼んで。
    お気に入りは水の神殿パートの水っぽさです。



    ◆12:双眸の水面
    公演中、入口に威圧感のある人が立っていた水の神殿で流れていた曲です。
    OPテーマを使ったアレンジですね。果たして精霊さんの歌声に出会えた方は
    どれくらいいたでしょうか。私は割とあの付近にいたのに結局聴けませんでした。

    私は木管楽器が吹けないので妙な憧れがあったりします。
    この曲にもこっそり入ってますが最近はファゴットがお気に入りです。


    Track 11~12 【WAR→P! to TRPGフェス 呪われた跳躍者】
    熱海の老舗ホテル大野屋を貸し切ってのイベント『TRPGフェス』
    その中の1つのイベントとしてWAR→P!も参加していました。
    様々なイベントやゲームが混在し、老若男女がひしめき合う老舗ホテルという
    何ともカオスなフェスでしたがとても面白い空間でした。
    ホテル中に散らばったNPCを探し回る新人エージェントたちの足も鍛えられたようです。

    この他にもクエスト中に発生するバトルのSEなんかも作ってました。
    ちなみにバトル時のBGMはOP曲のループだったんですが、後半になると転調したり
    静かな部分があるのでバトルに合うように切り貼りしてループ仕様に…、というのを
    フェス当日の朝5時くらいに作りました。5時て。だって魔王から3時にメールが。
    早起きが功を奏しまして、これには四次元殺法コンビもにっこり。

    フェスの最中はWAR→P!だけでなく最初から最後までゲーム尽くしな空間だったので
    曲もそれに合わせられたかな思ってます。素養あり。


    ◆13:アイリーン ~ 僕のわがままプリンセス
    裕福でちょっとわがままだけど根はしっかり者なアイリーンのテーマです。
    このアイリーン、ブリジット、シンディのテーマ曲は全てメロディーは同じだけど
    アレンジが違うという注文でした。曲の構成自体はほぼ同じですが
    キーやコード進行がちょっと変わっていたりします。

    裕福な家に育った女の子という事で室内管弦楽団を率いて
    チェンバロも鳴らしつつ少し高貴な感じ+少女っぽさを目指してみました。
    オーボエとチェンバロパートはまた対位法を思い出して作ってました。
    毎回作っては忘れるこの体たらく。バッハを呼べ。


    ◆14:ブリジット ~ 同じ空の下で
    元気なクラスメイトであるブリジットのテーマです。
    街中を一緒に話しながら和気藹々と歩いているようなイメージでした。
    アコーディオンと思いきやバンドネオンの音です。最近バンドネオンがきてます。
    実は3人のテーマの中では1番気に入っていたり…。

    どうでもいいけどブリジットと聞くとヨーヨー振り回してる子が思い浮かぶので
    あたしゃもうダメです。持ちキャラはイノでした。


    ◆15:シンディ ~ 君がくれた強さ
    少し儚げで健気な少女シンディのテーマです。
    決して恵れているとは言えない環境の中でも笑顔を忘れない素敵な子で
    公演中は私の推しでした。中々報われなかったけど…。
    ダイスがね、反抗期過ぎてね……。

    ピアノと木管で儚く静かに進行していく曲です。
    久々にフリーテンポで弾いているのでかなり揺れてます。
    後からの肉付けが若干大変だったけどまぁこれはこれで面白いなと思いました。

    ちなみに3人の名前の後に付いてるのは公演中、実際に出たED名です。
    属さんに資料もらえて助かりました。ありがとうございました。サッカ


    ◆16:運命のダイスロール
    確率が大きくても必ずそうなるとは限らないダイスロールのテーマです。
    文字通り、少年と3人の少女たちの運命を決める緊張の瞬間なので
    それっぽくクワイヤやらピアノソロなんかも派手にしてみました。
    あんまり自分が作るタイプの曲じゃなかったので楽しかったです。

    公演中、このダイスロールは結構盛り上がりました。
    これだけの人数がいてダイスを振るのだから「結果はこうなるだろう」と思いきや
    望む目というのは中々出ないものだと痛感した人も多いのでは…。
    何となくブレーズ教授・ロゾー・ジャクリーヌの3人でサイコロの旅をしたら
    教授が6の目を出して深夜バスはかた号に乗りそう。


    ◆17:月蝕校舎 ルナパレス
    ルナパレスのテーマ曲です。
    これも普段はやらないタイプの曲調というかそんな雰囲気がします。
    月面の研究機関と学校、中々ミステリアスな世界観ですが初めてOP映像と
    合わせたものを劇場で見た時は我ながら結構うまくハマったのではと思いました。
    あまり普段使わないシンセ音源なんかも引っ張り出して楽しかったですね。
    ヴァイオリンで引っ張ったメロも良い具合かなと。

    そういやここまで聴いてもらった方は気付くかと思いますがこのアルバム、
    曲の最初から最後まで4拍子なのが4曲だけであとの残りは全部3拍子が
    主体になっているものばかりです。この曲も途中で3拍子になったりします。
    私のクセなのかもしれませんが3拍子好きなんです。
    昔から日本人は3拍子のリズムに弱い・馴染みがない等言われてますが、
    是非このアルバムを聴いて強くなって下さい。


    Track13~17 【ルナパレス / 確率論[Probability Theory]】
    ルナパレスは朗読劇ですが普通の朗読劇に留まらず、客席も参加型の
    面白い試みの公演だったと思います。特にやはりダイスロールの一喜一憂ぶりが
    醍醐味というか何というか。賽は投げられたら神にすら分かりません。

    もう1つ、同時に上演されていた歴史クラスの方では「上村将軍」という
    軍歌のカバーを制作してました。これもこれで何かもうコード進行が
    私の手クセと真逆をいくので耳コピが意外と苦労しました。

    ーーーーーーーーーーー

    ライナーノーツというかなんか取り留めの無い文章になった気がする…。
    想い入れのある公演は人それぞれですが、そこに少しでも音楽で華を
    添えられたのであれば幸いです。

    劇伴を書く機会をくれた桜庭Pとは気付けば10年以上の付き合いですが
    また面白いコンテンツを作ってくれるのでは~、と思っています。
    サントラ制作にあたりお世話になったオラクルスタッフの方々、
    CDのデザインや総勢71名ものキャラクターを描いてくれたくれよんさん、
    そしてCDを手にとって下さった方々、本当にありがとうございました。

    ふる



     ■とらのあな 通販ページ
      https://ec.toranoana.shop/joshi/ec/item/040030636614



              (ちなみにこの2人はネルセルとベルハッハです)
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  • 【投稿動画】夢路香りて宴と為す

    2017-06-08 21:26



    2.5次元コスプレダンスグループ「アルスマグナ」(http://ars-magna.jp/)のメンバー
    榊原タツキと彼がいつも抱えているうさぎのぬいぐるみ・コンスタンティンを主役に
    楽しくもちょっと不穏なティーパーティーをイメージした曲です。
    読み方は「ゆめじ かおりて えん となす」です。

    昨年12月に東京・大阪で行われた「SPECIAL LIVE 私立九瓏ノ主学園クリスマスプロム」にて
    初披露となり、その際も告知をしましたが今回ニコニコとYoutubeでも公開と相成りました。
    また、踊ってみた動画も同時公開されていますので是非チェックしてみて下さい。

    【夢路香りて宴と為す】
    ・ニコニコ / http://www.nicovideo.jp/watch/sm31353872
    ・Youtube / https://youtu.be/RHUI9sJ8awc

    【踊ってみた】
    ・ニコニコ / http://www.nicovideo.jp/watch/sm31271672
    ・Youtube / https://youtu.be/_sL9SMhwnPA

    メンバーの方々は以前のライブで拙作「ひよこと天秤」で見事なダンスを披露しており、
    今回はそんなひよこのような曲調でタツキとコンスタンティンの為のティーパーティーな
    曲を…、というお話を頂いて制作しました。

    踊ることが前提にあった為、いつもより曲のギミック的な部分は色々抑えた感もありますが
    その分素直になったのかなと思っています。だいぶテンポが速い(ひよこより速いです)ので
    踊りきったメンバーの方々には拍手を送りたい所です。

    しかし初期段階のデモはこれより更に速かった為、多少落として今に落ち着きました。
    曲は全然落ち着いてないですけど…。

    曲調は「ひよこと天秤」と「衆生は踊る」の流れを汲みつつ、有名な某不思議の国の
    ティーパーティーな世界をちょっと拝借しつつぶち込んだ感じです。

    いつも中間部にやたら暗い部分を挿入してましたが、今回はなんか違うかなぁと思って
    明るくアイリッシュ風にしてみました。不思議の国とティーパーティーって言ったら
    イギリスだしアイリッシュにしてもええじゃろというアレです。

    イラストと動画を担当して下さったのは「たま」さんです。
    ボーカロイド関連だけにとどまらず様々なイラスト・動画を担当なさっています。

    今回の動画に関しては私自身は頂いたものを確認するだけで
    ほぼノータッチでたまさんと制作会社の方にお任せしておりました。
    私も自分の曲を渡して動画は完全に誰かにお任せするという事がなかったので
    どういう解釈を持って仕上げて下さるのかとても楽しみでした。

    制作したのはもう去年の話ですが個人的にドッタンバッタンな時期で
    色々と思い出深い曲になったような気がします。
    この場を借りてアルスマグナの所属する株式会社プランチャイムの
    スタッフの方々にも厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。


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    【夢路香りて宴と為す】

    走る長針 短針 秒針 投げられた賽の音
    素知らぬ時計は二時を指す
    それは君と誰かが忘れたまんまでほったらかした
    ありふれた日を祝うティーパーティー

    逃げる長針 短針 秒針 投げられた皿の音
    気付けば時計は三時を過ぎて大慌て
    それは君と誰かが忘れたふりしてこっそり喜んだ
    ありふれた日を呪うティーパーティー

    「さぁ、手を!」

    真紅に染まる薔薇からあふれた蜜が一滴
    カップの水面に映り込む私は誰であなたは私

    芋虫もムカデも眠る十二月の花園 涙の洪水に雪は解けた
    ティーポットの湯気に極上バターが混ざり合い 春の風が吹き荒ぶ
    そら急げ 遅れたら ほら皆の首がさようなら 愉快なお茶会の幕開け

    一度きりの夢に笑え
    二日ずれた時間も追いかけないままで
    三月のウサギが憧れた空にクジラが飛沫上げ 虹を呼ぶ

    合わせ鏡が問う
    「永遠が一瞬を好む訳が分かるか?」
    答えはビン詰め 水の底


    紅茶は出涸らし すかすかスコーン
    主役のタルトは行方知れずだけど

    気にしない気にしない 口に合わずとも イチゴジャムと一緒に流し込めばいい
    気にしない気にしない 嘘も目を閉じれば 夜空に輝くダイヤとなる
    気にしない気にしない 席は空かずとも 招待客など最初からいない
    気にしない気にしない 不揃いキノコも 伸びたり縮んだり怖いものなし

    ころころハリネズミを追いかけ フラミンゴは頭をふりふり
    香る焼き菓子に誘われて 花も歌う昼下がり 忍び寄る裁判の影


    白紙のままの招待状
    約束された有罪に抗う最後の自己弁護は
    石ころクッキー取り出して 一齧り

    一度きりの夢は終わり
    二日ずれた時間も息を吹き返した
    三月のウサギが憧れた空は目玉に映り込み 月を呼ぶ

    合わせ鏡の中
    思い出した誕生日 空に落ちて行く涙
    馬鹿裁きに舌を出して 霞む扉を開け


  • 【投稿動画】治者の斜塔

    2016-03-19 20:13



    遠くイタリアはトスカーナ州「塔の街」と呼ばれるサン・ジミニャーノをモチーフに
    色々とアレコレ詰め込んで作っていたらまた民族系だかなんだかごちゃごちゃです。

    「塔の街」の所以となる街中にそびえ立つ塔の数は中世には70を超え、
    それらは街の防衛の為だけでなく、貴族達の派閥争いによる互いの監視や
    権力誇示の為により高く建設されていったそうです。

    後に疫病などに起因して徐々に人口が減り、街は衰退していきましたが
    そのおかげで戦火を逃れ、今も14世紀当時の面影を色濃く残す街並みで
    歴史的観光名所となっています。現在、残っている塔の数は14です。

    斜塔と言えば同じトスカーナ州には説明不要の観光地「ピサ」があります。
    「ピサの斜塔」と「治者の斜塔」、何となく音が似ています。

    また余談ですが、ゲーム「アサシングリード2」ではサン・ジミニャーノが
    ステージとして登場していますので興味のある方はこちらもどうぞ。




    イラストはATRさん、動画編集はくれよんさんといういつものお二方です。
    かなりのドタバタジャンゴっぷりでしたが、鼻にセロハンテープを貼って
    無事に解決しました。

    ギターもお馴染み「あらいぐまファクトリー」のそえ君です。
    やたらコードも拍も変わるイヤな曲でしたがさすがは社長、
    素敵なテイクを送ってきてくれました。
    そえ君に渡すコード譜を見ているとセブンス使い過ぎ問題に直面します。

    最初と最後にちょっとだけ出てくるコーラスはCSK & のののPのお二方です。
    ほんの少しのコーラスなんですがやはり人間の声って重要で、
    ソフトシンセとはまた違う色を持っているのです。

    今回も色々な方に助けて頂きました。ありがとうございます。

    塔は空に近いので歌詞に星座なんかも出してみました。
    「昴(すばる)」はおうし座にある「プレアデス星団」の和名です。
    ここに差し掛かると谷村新司のモノマネをしている清水アキラと
    それを冷ややかに見つめる淡谷のり子の図が思い浮かびます。

    もう1つ、りゅうこつ座の「カノープス」が出てきますがこの星座、
    残念ながら南寄りの星座なのでヨーロッパからではまず見えません。
    何を見ていたというのか。

    花の咲いたフィレンツェやシエナ、水に浮かぶヴェネツィアが
    塔の上から果たして見えたのか定かではありませんが
    望めば気休め程度の蜃気楼は見せてくれたのかもしれません。

    その霞んだ幸せを求めて垂れ下がった蜘蛛の糸や伸びた髪の毛に
    すがらずにはいられない人もいるのかもしれないと思う、そんな斜塔です。
    でも傾いてる塔の側面を登るのってもうそれはロッククライミングですね。