決して表情に出すまいと平静を装うに努めたこの数秒が、私には途方もない時間に感じられた。

 今回の任務は、何者かに拉致されたゴードン・ゴルトマンの救出と実行犯の殲滅だったはずだ。しかし今、その頭目らしき男がゴルトマンを名乗り、確かにその顔は過去の記憶と一致している。面倒なことになりそうだと思った。とりあえずここにいる全員を死なない程度に痛めつけてから考えるのも手だろうか? ……そんなことを考えていると、ゴルトマンを自称する男が口を開いた。

「安心してくれたまえ、我々は敵ではない。まだ味方でもないがね。少なくとも君に危害を加えるつもりはない、まずはそれを認識してもらえれば結構だ」