ゲーム妖怪ジーコの、創作小説とかブロマガとか。
押し開けたドアの隙間から外気が勢いよく流れ込み、纏わり付く魔具店内の淀んだ空気を洗い流す。肺の中まで澄んだ空気が満ちる頃には、私は後ろ手にドアを閉めていた。まだ日差しは高く、薄暗い店内に慣れた目が少し眩む。
店を出て左右と正面には、馬車一台が通れる程度の直線路が伸びている。しかしいずれの道先にも、ひと目に帝国所属とわかる重装備な者たちが数名ずつ、遠巻きに配置されているのが見えた。魔具店内で【グリフォンの眼】が見せた光点の配置とも一致している。便利なものだなと思った。
店主が施錠する一連の音を確かめ、手順を終えたことを確認してから、正面に向けてゆっくりと歩みを進める。私の視線は無意識のうちに、その先に立つ一人の男へと向けられた。
鈍色の軽鎧。両肩から膝下までを覆う深緑に縁どられたサーコート。その胸元には天秤を模した意匠があり、均整の取れた体躯がそれらを纏う。鋭い目つきと険しい眉、短く刈った髪はいずれも灰褐色が印象的で、顎に無精ひげが影を落とすその風貌からも、幾度となく修羅場を潜り抜けてきたであろう歴戦の様相が漂っている。その両脇には重装鎧の兵士二人が従うが、全頭を覆う兜の下は窺い知れず、表情を読み取ることはできない。
私が一歩前に出れば、男も歩みを進めた。視界の端で、遠巻きに構える数名も距離を詰めてくるのが見える。お互いが戦闘状態であるならばどちらが仕掛けてもおかしくない間合いで、最初に口を開いたのは男の方だった。
「帝国監査執行部だ。久しいな不落、息災か」
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