「……合同調査?」

 思わず口をついて出た言葉だった。私の発したそれは、おそらく多分に苛立ちを伴ったものであったことだろう。話を遮られたユーリィ団長は、溜息交じりに目を伏せる。

 こんな夜中に団長執務室へ呼び出されるのは久しぶりだった。聖騎士団・不落として任務を帯びる際は、団長もしくはその使いの者から唐突に、証拠の残らぬ形で任務を通達されるのが常だ。だが今回は違った。であるならば、いつにも増してどうせ碌でもない話をされるだろうとタカを括ってはいたのだが、たまにはそんな予想を良い意味で裏切って欲しいとも思う。

 照明魔法が煌々と部屋を照らす中、ユーリィ団長は無言のまま、机上に広げた書簡を私に突き出してきた。それを手に目を通す視界の端には、大きく椅子にもたれ、肘掛けを指先で小さく叩く団長の姿があった。


 ──北方古遺跡群における魔物の目撃報告。
 ──対象の正体特定および排除、ならびに出現要因の調査。
 ──帝国諸司は調査員を選抜、編成し、合同調査隊として現地へ派遣。
 ──当該区域は北方ハーピィ自治領との緩衝地帯につき、同族も参加予定。
 ──国交回復の端緒たり得るため、両勢力の利害を損なう行動なきよう厳守。
 ──本件は極秘扱いとし、各調査員の相互連絡は現地に限り許可。


「……どう思う?」

 天井を仰ぎ見たまま漏れ出る団長の声は、苛立ちを通り越し皮肉めいた呆れが滲んでいた。