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21世紀最初の10年を代表する作品として知られるTVアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』。その最初の放送日は10年前の2006年4月2日でした。今月でなんと10周年です。

「ハルヒダンス踊った! 懐かしいなあ」「もう10年か……」という人もいれば、「聞いたことはある」「いつか見ようと思いながらなんとなくまだ見てない」という人もいるのではないでしょうか。

今回は『涼宮ハルヒの憂鬱』のアニメ化10周年を記念して、その見どころを「キャラクター」と「ストーリー」の2点に絞ってご紹介したいと思います。
この記事を読んで「面白そう!」と思った方は、ぜひアニメを見たり原作の小説を手に取ったりしてみてください。
また、既に見たことのある人のために各コーナーで”ちょっとコアなハルヒの小ネタ“も紹介しますので、ハルヒを見たことある人もぜひお楽しみください。

魅力満載のキャラたちと豪華声優陣

本作の魅力は何といってもキャラクター! ということで、まずは登場人物から紹介していきたいと思います。

本名不詳の高校生主人公 ”キョン”

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主人公は“キョン”というあだ名で呼ばれる高校1年生です。本名は結局1回も出てきませんでした。
やけに博識で斜に構えた性格なことを除けば、いたって普通の男子高校生です。
お話は基本的にキョンの視点で進むので、作中ずっと彼のセリフとモノローグを聞くことになるのですが、絶妙な言葉選びや軽快なセリフがとても楽しく病みつきになります。

声優はアニメ『銀魂』の主人公・坂田銀時役などで有名な人気声優の杉田智和さん。
映画『パシフィック・リム』の主人公の吹き替えなど正統派な役もされますが、どちらかというとちょっとヒネたキャラにぴったりくる声の方です。
また、ゲームやアニメ大好きな方としても有名で、そのためかキョンのセリフにもアドリブオタクネタが多いです。

【小ネタ】
原則的にキョンは必ず杉田さんが演じますが、例外的にドラマCD『サウンドアラウンド』ではハルヒ役の平野綾さんが演じるシーンがあります。結構雰囲気出てます。

好奇心の塊! 無意識ハッピー大暴走 ”涼宮ハルヒ”

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キョンと共に物語の軸となるヒロインが涼宮ハルヒ(すずみや・ハルヒ)です。容姿端麗にして文武両道の万能美少女ですが、普通のものやクラスメートに全く興味がなく本気で宇宙人や超能力者を探したりしているためクラスで浮いた存在。一方、興味をもったことには一直線で止まらないという困った女の子です。
見た目のかわいさに惑わされたキョンが高校入学初日にハルヒに声をかけ、それを遠因としてハルヒが学校非認可組織“SOS団”(世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団)を設立するところから話が動き出します。

声優の平野綾さんは当時若干18歳の若手声優でしたが、幼少期から役者をしていたため芸歴も長くベテランさながらの演技でした。
アニメ版『DEATH NOTE』の弥海砂や『寄生獣 セイの格率』のミギーなどを演じられている、実力派の声優さんです。
ミュージカル『レ・ミゼラブル』『エドウィン・ドルードの謎』(現在上演中)に出演するなど、現在は声優以外の仕事にも幅を広げています。

【小ネタ】
“涼宮”という苗字の人は本当にどこかにいそうですが、実際には一人として存在しない架空の苗字です。

長門は俺の嫁! 無口な読書大好き〇〇人 “長門有希”

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キョンとハルヒが通う県立北校文芸部のたった一人の部員であり、ハルヒによって部室を占拠され、なし崩し的にSOS団の一員にされたのが長門有希(ながと・ゆき)です。
無口で無表情、いつも部室の隅のパイプ椅子に座って黙々と本を読んでいる影の薄い女の子ですが、実は意外すぎる素性を秘めています。
強くてかっこよくて頼りがいがある一方、不器用で守ってあげたくもなるという、攻守共に秀でた、本作でも一、二を争う人気キャラです。

声優は茅原実里さん。長門やアニメ『みなみけ』シリーズの南家三女・南千秋役など声優としての活動の他、歌手としても精力的に活動されている方です。
日本武道館やさいたまスーパーアリーナを埋められるレベルの人気と歌唱力を持つ、これまた実力派の声優・アーティストさんです。

【小ネタ】
小柄な印象がある長門ですが、設定上朝比奈みくるより背が高い。(長門は154センチ、みくるは152センチ)

〇〇から来たロリ顔巨乳の癒し系マスコット “朝比奈みくる”

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“ロリ顔巨乳でかわいかったから”という理由でハルヒによってSOS団に強制加入させられたのが朝比奈みくる(あさひな・みくる)です。
キョンやハルヒにとっては1年先輩にあたるのですが、ふんわりした雰囲気で威厳も特にないため、先輩扱いを受けることはほぼありません。
見た目のかわいさからいつもハルヒにいろんな意味で可愛がられている、キョンと同じ苦労人ですが、彼女にもまた大きな秘密があります。

声優は後藤邑子さん。『ひだまりスケッチ』シリーズのヒロ役などハイトーンな声の役が多いですが、“趣味はバイク””かなりの酒豪””高2の時にふらっと一人旅で中国へ出向き現地人とケンカ”など強めの伝説が多い武闘派のお姉さんです。
持病で一時期休業していましたが、現在は復帰し2014年以降レギュラー役もこなされています。

【小ネタ】
音程を外しまくった歌唱が語り草の『恋のミクル伝説』ですが、ちゃんと歌ったバージョンもあります。ゲーム『涼宮ハルヒの戸惑』内の進行次第で聞くことができます。

怪しいイケメン転校生、実は〇〇 “古泉一樹”

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1年生の5月という時期外れのタイミングで転校してきたのが普通ではないという理由でハルヒがスカウトしたSOS団5人目のメンバーが古泉一樹(こいずみ・いつき)です。
いつも笑顔のさわやかイケメンであり、一見非の打ちどころのない青年ですが、あまり本心を語らない謎めいた人物でもあり、キョンは最初から警戒しています。
SOS団内では同性であるキョンとつるむことが多く、男子高校生同士の他愛無いやりとりが面白かったり、時に怪しかったりします。

声優は小野大輔さん。『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース』の空条承太郎や『宇宙戦艦ヤマト2199』の古代進などの主人公役、『おそ松さん』の松野家五男・松野十四松役など、今を時めく人気声優さんです。小野さんご本人も古泉くんに負けず劣らずのイケメンでもあります。

【小ネタ】
小野さんはハルヒの収録テストの際、アドリブで『機動戦記ガンダムW』の「バカは来る!」というセリフを差し込んでNGを食らったことがある。
(なお、杉田さんは『機動戦士Zガンダム』の「落ちろ、蚊トンボ!」というセリフを本番で差し込んでそのまま採用されている)

以上、5人の主要キャラクターでした。

主役級の2名、

「ずっとしゃべってる主人公」
「変人ヒロイン(黄色いリボン)」

と、準主役級の3名、

「無口少女(紫色のショートヘア)」
「ロリ顔巨乳(茶色のロングヘア)」
「怪しいイケメン(イケメン)」

の3名を加えた計5名だけ見分けがつけば、基本どの話を見てもついていけます。
主要人物がいきなり何十人も出てきたりしないので、初心者の方にも割と見やすいかと思います。
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他にもキョンのクラスの委員長格の美少女・朝倉涼子や、いつも笑い声が絶えない先輩・鶴屋さんなど魅力的なキャラが多数登場するので、ぜひ気に入るキャラクターを探してみてください。

ストーリー:学園もの? 部活もの?? その実態は”SF”!

上記の5人が主に学校で活躍する話なので、未見の人には「学園もの?」「部活動もの?」「恋愛もの?」と思われがちな本作。
確かに上記のどの要素もあるので間違いとは言い切れないのですが、どのジャンルに属するかと言えば“SF”になります。

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では、どういうSFか? というと説明が難しいのが『涼宮ハルヒの憂鬱』です。

例えば『バック・トゥ・ザ・フューチャー』はものすごく簡単に言えばタイムトラベルできる車があって、いろいろする話です。
同じように『E.T.』は少年が宇宙人と触れ合う話と言えるでしょう。
日本SFアニメの金字塔『AKIRA』も、未来を舞台に超能力を持ってしまった少年のあれそれ、と言えます。

以上のように、普通のSF作品は話を構成する要素がだいたい1つか2つにまとまっているものです。
ところが、これらのSF要素のうちのどれか一つではなく、全部を盛り込んでごった煮にしたのが『涼宮ハルヒの憂鬱』なのです。

宇宙人も未来人も超能力者も、それどころか神にも等しい存在までもがキョンのクラスにしれっと現れます。

「いろいろありすぎて何が起きるか分からない! こんな高校生活があったら面白そう!」これがハルヒのSFストーリーの魅力です。

【小ネタ】
数多くの楽曲CDが出ていることも本作の特徴の一つですが、実はレコードも出ています。本記事トップのシングル盤がそれ。ライブイベント『涼宮ハルヒの激奏』会場で限定発売されました。

ごった煮なのはSF要素だけじゃない! 何でもありのストーリー

SF要素だけでも盛りだくさんなのに、それだけで終わらないのがハルヒのすごいところです。
以下がTVシリーズ全28話の大まかなストーリー内容ですのでご覧ください。
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全体的にSFな上で、各回によってジャンルがバラバラなのがお分かりいただけるでしょうか?
野球やったり孤島で殺人事件の犯人を捜したり宇宙で戦艦同士でドンパチやったり、SFだけでなくいろんなジャンルの話が盛り込まれています。
このように、おなじみの5人を軸にいろんな種類の物語を楽しめるのも『涼宮ハルヒの憂鬱』の見どころの一つです。

なお、本編とは別にギャグアニメの『涼宮ハルヒちゃんの憂鬱』『にょろーん☆ちゅるやさん』、ラブコメ作品『長門有希ちゃんの消失』などのスピンオフ作品や、TVアニメ本編の後日談にあたる劇場版『涼宮ハルヒの消失』という関連作品もあります。

特に『消失』は物語的に直接続いているだけでなく、一つの映画として見てもかなりの傑作なので、ハルヒシリーズを楽しんだ方にはぜひ見ていただきたいです。
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【小ネタ】
初めて世に出た涼宮ハルヒシリーズの原作小説は、2003年6月発売の第1巻『涼宮ハルヒの憂鬱』ではありません。同年4月末に発売の雑誌『ザ・スニーカー2003年6月号』に収録の『涼宮ハルヒの退屈』(野球回)が初出です。

過去の名作アニメのパロディも随所に……

SF要素やいろんなジャンルのストーリーが盛りだくさんのハルヒですが、さらに名作アニメのパロディもふんだんに盛り込まれています。
原作小説には過去の名作SF作品のオマージュや関連ネタが随所にちりばめられているため、TVアニメ版では同じようにアニメのパロディが盛り込まれたものと思われます。

『宇宙戦艦ヤマト』『機動戦士ガンダム』『巨人の星』『タッチ』『名探偵コナン』など、往年のアニメネタが、ちらっと、場合によってはモロに出てきます。
また、同じ京都アニメーション制作のアニメ『フルメタル・パニック? ふもっふ』関連のネタもあります。
さらに『逆転裁判』『甲虫王者ムシキング』など、ゲームのパロディと思しきシーンもいくつかあります。

こういったパロディネタを探すのも、ハルヒの楽しみ方の一つかもしれません。

【小ネタ】
『退屈』でキョンがピッチャーをするシーンの、某青春野球アニメの主題歌のようなBGMのタイトルは『野球は青春との接触』。余談ですが、”接触”は英語にすると“タッチ”

以上、ストーリーの解説でした。
いろんな要素が盛りだくさんの作品ですが、語り手のキョンがスムーズに話を説明してくれるので特に難しいことはありません。どれか気に入るエピソードが見つかると思います。

長くて全部見れねえよ! という場合のオススメは?

記者のイチオシは、原作第1巻の内容であり、6話できれいにまとまっている『涼宮ハルヒの憂鬱』編です。作品のメインテーマはこの6話できちんと語られているので、どこか一部だけ見るのであればこの6話がオススメです。

1話だけ! ということでしたら、変化球になりますが、ハルヒと長門がバンド演奏することになる『ライブアライブ』の回がオススメです。この回のライブシーンは10年前のTVアニメとは思えないクオリティのアニメーションとハルヒを演じる平野綾さんの歌が本当にすごいので、見応えには事欠かないかと思います。
よくアニソンカラオケでチョイスされる『God knows…』が流れるシーンでもあります。
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以上、初心者のための『涼宮ハルヒの憂鬱』の見どころ紹介でした。いかがだったでしょうか?

今回はキャラクターとストーリーという2点だけのご紹介でしたが、谷川流先生による原作小説も最高に面白いですし、畑亜貴さん神前暁さんタッグによる素晴らしい楽曲・キャラソンの数々、後進のアニメに多大な影響を与えたエンディングのダンスなど、他にもまだまだ見どころがある作品です。10年前の作品になりますが、現在のアニメに比べても遜色ない作品なので、未見の方はぜひ一度見てみてください。
現在テレ朝チャンネル1で放送中の他、dアニメスタイルでも全話視聴可能です。

そして「懐かしいなあ」と思いながらここまで読んでくださった方も、この10周年を機にぜひもう一度見てみてください。懐かしいだけでなく、新たな発見や感動がある作品だと思いますよ(私は『消失』で朝比奈さん(大)が公園のベンチでキョンを諭すシーンでぐっときました)。

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□dアニメストア
涼宮ハルヒの憂鬱(2009年放送版)
https://anime.dmkt-sp.jp/animestore/ci_pc?workId=10853

※記事内の図表は記者によるものです。
※写真は記者によるグッズ・書籍の表紙を撮影したものです。権利は権利者に帰属します。
(c)谷川流・いとうのいぢ/角川書店
(c)2006谷川 流・いとうのいぢ/SOS団
(c)2007,2008,2009谷川 流・いとうのいぢ/SOS団
(c)2009 Nagaru Tanigawa・Noizi Ito/SOS団

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