実はこのタイトル、集英社がゲームクリエイターを支援するプロジェクト「集英社ゲームクリエイターズCAMP」のサポートを受け誕生したもので、先日開催の「BitSummit THE 8th BIT」では、同プロジェクトのブースにて出展。「Google Play Indie Game Festival 2021」でトップ10入賞に加えて「TOHO Games賞」も獲得し、いま非常に注目度の高いタイトルである。
デベロッパーの『Nukenin』は、元任天堂のOB・OGによるゲーム制作集団。「Google Play Indie Games Festival 2018」トップ3と「少年ジャンプ+賞」に選ばれた『ネコの絵描きさん』をはじめ、スマホ向けからアナログゲームまで、幅広くゲームを作っている。本作は、わけん(渡部健)氏がディレクター兼プログラミングを、椎葉大翼氏が音楽を、イラストレーターことり氏がデザインを担当している。
ネコ兵士たちが、健気に塔を攻略!
攻略する塔は、「バークローの塔」「ロコノエグサの塔」「ワリマヒの塔」などの「通常の塔」と、1日1回挑戦できる「みんなの塔」の2種類がある。通常の塔はクリアすると次の塔に進むことができ、10月中旬現在、「マクロシの塔」までが公開されている。
ルールはトランプの「ソリティア」と「スピード」を合わせたようなゲームで、カードを出してネコ兵士をフィールドに召喚し、ネコのカードに割り当てられている数字を順番に、3つのラインのどこかに連続で出して行き、コンボをつなげて敵陣に攻め込む。
コンボを切らすことなくカードを順番通りに出し切れば「全だし」が発動して、敵の砦をダイレクトに攻撃できる。
勝利条件は敵をすべて撃破するか、敵陣の砦を破壊すること。自陣の砦を破壊されると敗北となる。砦の手前には大砲とバリスタの発射装置がある。大砲は砦同様HPが設けられており、破壊可能だが、自陣の大砲も同様に破壊されてしまうことも。大砲のHPは次戦以降もそのままで、「休憩」を選ぶかコンティニューするまで回復しない。
戦闘に勝利すると、報酬として、新しいカードをデッキに加えることができたり、数字の変更やカードの合成ができたり、持っていると様々な効果のある「レリック」などをゲットできたりする。
最初は「素ネコ」と、自分の所有している「持ち込みカード」(詳しくは後述)数枚だけで挑むが、戦いに勝ち進んで強力なデッキを作り、塔を制覇するのが目的となる。なお、塔の挑戦後にデッキはリセットとなり、その塔で手に入れたカードはコインに換算される。
と、大まかなルールはこんな感じである。
ゆるいグラフィック&音楽とは裏腹に、かなり骨のある難易度!
かわいらしいドット絵のネコのグラフィックと、クラシックを基調とした、ゆったりと心地良いBGMで、目や耳からは“ゆるい”という情報を受けるが、かなり骨のある難易度で、筆者も約1カ月プレイして、まだ「ワリマヒの塔」である。
本作に必要なのは、戦闘中や報酬選択で望み通りのものを引く「運」と、カードを出す順番と場所を瞬時に判断する「判断力」だろう。
カードをフィールドに出すには、時間とともに増える「マナ」が必要となるが、コンボがつながっている間はマナを消費しない(最大10マナまでストックできる)。カードを出したり捨てたりで山札が空になると、再びカードを出すために手札をシャッフルする必要があるが、シャッフルは4マナを消費する。
なので、途中でコンボが途切れてやけくそになり、適当に出し続けていると、すぐにマナ切れを起こしてしまい、カードを出すこともシャッフルすることもできなくなる。惜しいところで全だしを逃してしまうと気持ちが切れがちだが、コンボが切れても気を持ち直し、冷静に手札を捌き切りたいところだ。
しかしながら、いつも、この大一番というところで数字がつながらなくなり、マナ不足に陥ってあっけなく砦を破壊されてしまう……なぜなのか。悔しい。特にコンティニューした直後に起こりやすい。ちなみに本作は1度しかコンティニューできない。持ち込むキャラが悪いのか……と試行錯誤しているが、なかなか答えが出ない。
本作は「にぼし」を集めて新たなネコ兵士の「ソウル」をゲットできるが、何種類もソウルを所有していても、持ち込みカードとして塔に持ち込める数には限りがある。入手済のソウルは塔の攻略中、報酬として出現する。ソウルのレベルが上がっていくと、プレイヤーレベルも上がる。
ネコ兵士には、魔法など飛び道具が使える「ハート」、タンク系の「クラブ」など、4つのタイプがある。
それぞれ特性を活かしてデッキに入れていきたいが、途中で「合成」をした場合、それぞれの数字が引き継がれるのはメリットだが、突然全く違うタイプになって、パーティのバランスが崩れてしまうこともあるので(例えば、遠距離攻撃のハートから、素早く突撃するダイヤになったり……等々)、注意が必要だ。
ルール自体は案外簡単なので、ゆるかわいいネコのキャラクターと、良い意味であまり闘争心を掻き立てられない音楽で「ゆるゲー?」という誤解を生みそうだが、歯ごたえがあって一筋縄ではいかない、奥が深い一作である。
文/浦和武蔵
(執筆者: ガジェット通信ゲーム班)