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もう勇者はいない! 業が深すぎるRPGマンガ『ファイナルリクエスト』がドット絵な理由。
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もう勇者はいない! 業が深すぎるRPGマンガ『ファイナルリクエスト』がドット絵な理由。

2015-07-12 23:30
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    "もう勇者しない"のキャッチコピーと斬新な世界観やシステムで人々を驚かしたRPGといえば知る人ぞ知る『moon』だが、今度は"もう勇者はいない"作品が登場した。

    ニコニコ静画“水曜日のシリウス"で連載中の、ドッと泣いて、ドッと笑えるRPGマンガ『ファイナルリクエスト』の魅力と深淵に迫る。

    ●業界初!“8bit”なドット絵マンガ。ニコニコなら動いて音も鳴る!

    『ファイナルリクエスト』の最大の特徴は“8bit”な“ドット絵”で
    レトロRPGの世界がマンガになっていることだ。

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    表紙だけでなく、全編を通してだ。

    本を開くと隅から隅までドット絵!これは懐かしくも異様で斬新な光景だ。

    3色パレット縛り、4色以上は上乗せしたスプライトで表示している想定……など、ファミコンの仕様にこだわった絵作りがされており、ありがちで生半可な"レトロ風"とは一線を画した"本格志向のレトロ表現"である。

    まず、これだけの説明で気になった方は以降の長文などさて置いて、まずは視聴をお勧めする。マンガなのに"視聴"で間違いはない。ニコニコ静画版では機能をフルに使ったアニメーションとピコピコと懐かしい8bitなBGMと効果音で、ほぼ動画な演出がなされているのだ。(三角波+2つの矩形波+ノイズとファミコン仕様に忠実!)

    ●ゲームから居なくなった“勇者”を探す物語

    勇者が魔王を倒してエンディングを迎えた後の
    レトロRPG“Final Re:Quest”の世界が物語の舞台である。

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    エンディング後、たった一人で目覚めた老戦士"アソンテ"は世界が"バグ"で崩壊していることと"勇者タケル"が居なくなっていることに気が付く。もう一度、世界に平和を取り戻すため、アソンテたちは勇者を探す冒険の旅を続ける。

    懐かしのRPGをモチーフにした作品というと、マンガ『魔法陣グルグル』やテレビドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズのように"ゲームあるある"を駆使したパロディが人気のジャンルではあるが『ファイナルリクエスト』は、その"あるある"をパロディや単純なメタだけでは終わらせず読者である我々自身に、大きな問いとして突き立ててくるのだ。なぜそんなことが可能なのだろうか?

    ●ドット絵で描かれるからこそ意識できる“虚構の世界”

    『ファイナルリクエスト』が“ドット絵”で描かれているのは理由がある。

    マンガというものは基本は"フィクション"であり虚構の世界の物語が大半だが物語を生き生きとさせるために、わざわざ作り物の偽物だと見せかけるような書き方はしない。

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    しかし、『ファイナルリクエスト』"ドット絵"という方法で敢えて表現することで読者は物語の舞台が"ゲーム"という作り物の世界だということを、視覚から無意識に刻まれる。この仕掛けに引っ掛かれば、あとは物語の深淵に引き込まれるだけである。

    勇者はなぜ居なくなったのか、バグとは何か、なぜ仲間を生き返せたのか……冒険の中でアソンテたちが世界の謎の核心に近づくたびに、読者は胸をえぐられるような気分になるはずだ。

    なぜなら、物語の舞台が"ゲーム"だと解ってしまっている読者がゲームから居なくなった勇者=プレイヤー=自分自身だとも気づいてしまうからだ。そして、"Final Re:Quest"のように忘れ去ってきた世界が自分にもあると思い出してしまうからだ。

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    我々プレイヤーはクリアしたゲームに戻ってくるだろうか?

    戻ったとして、いつまでもその世界に居るのだろうか?

    非情にも、その答えは「NO」だ。

    「クリアしてきたRPG」=「忘れ去ってきた小さな世界」それが多ければ多い者ほど、この物語は深く突き刺さる。

    筆者の背後にも四半世紀で見捨ててきた100を越える世界1000を越えるNPCたちが連なってるのだ。そう思うと、泣くしかない。そして物語の行方から、目を反らすわけにもいかない。

    ファミコンよりもスーファミ世代だった筆者がこれほどの"かいしんのいちげき"を食らってるので、ファミコン世代の元勇者なら一瞬で棺おけ行きだろう。本当に業の深いマンガである。
    (闇の部分ばかり紹介したが、マンガらしく面白おかしく笑える部分も満載だとお伝えしておきたい)

    ●第1巻の電子版が配信開始!第2巻も近い!?

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    ニコニコ静画では現在第11話(後編)までが配信されているが、第12話まで完結すれば単行本の第2巻今年の秋には発売される見通しだ。電子書籍版第1巻7月9日より配信がスタートした。

    編集者によれば、DVDなどの映像メディア化は単行本の売り上げ次第とのことなので、さらなる展開にも期待をしたい。

    1枚目、2枚目は筆者撮影。

    3枚目以降はニコニコ静画『ファイナルリクエスト』のマンガページのスクリーンショット。

    (c)日下一郎/株式会社ヒューガ (c)講談社

    ニコニコ静画 Final Re:Quest -ファイナルリクエスト-

    http://seiga.nicovideo.jp/comic/12658

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