小学館のWebコミックサイト『裏サンデー』に2015年1月8日に掲載された窪茶さんの『辱(にく)』が「残酷描写に対して様々なご意見を戴いた」として掲載中止になった問題。ユーザーからは「表現の自由は守られるべき」「過度な残酷描写に頼るのはどうか」「ゾーニングがされていれば問題はなかったのでは」といった様々な意見が出されています。
作者の窪茶さんは、掲載中止になった1月12日に次のようにツイート。
ストレス発散落書き、さて仕事に戻ろう… pic.twitter.com/XgDbxi2V4R
— 窪茶 (@kubo_cha) 2016, 1月 12
ユーザーからのリプライには「一話以降は普通に掲載されるようです」と返信しており、連載を続ける方向で対応が進んでいることを示唆しています。
一方、漫画家の佐藤秀峰氏はこの件に関して『Facebook』を更新。
https://www.facebook.com/satoshuho/posts/1025754227467772 [リンク]
美少女キャラたちが身体を拘束された男性を刃物で解体していくシーンについて「屠畜産業従事者への差別を助長するような描写があり悲しくなりました」として個人的に苦手な作品と明言しつつ、「表現の自由はどのような場合にも担保されるべき」と述べています。
また、佐藤氏が運営しているサイト『漫画 on Web』にも同様に残酷描写のある作品が投稿されたことがあるといい、「僕は運営者としてその作品をサイトから削除しませんでした。サイトの利用規約的には、公序良俗に著しく反する作品は削除対象でしたが、作品は最大限に尊重されるべきだと考えました」と記し、作者の意向により閲覧に年齢制限がかけられていたと例示。「ゾーニングがしっかりとなされていれば、僕はどのような作品も存在していいと考えています」と述べています。
さらに、差別表現については「漫画家になったばかりの頃は、編集者から差別表現について口うるさく言われたものでした。特に天皇や被差別部落問題などはタブーとされていて、その理由を実例と共に説明されたものです」といい、興味本意に誰かを断罪したり差別して面白がることは“絶対にしてはいけないことだ”と思っていました」と発言。『辱』について、「その作品が差別表現に抵触する可能性にすら思い至らず、誰の目にも触れる場所に無邪気に掲載してしまった編集者の軽率さを、非常に残念に感じました。“編集者という人たちもずいぶん劣化したんだな”と率直に思いました」と批判しています。
その上で、掲載を取りやめにした『裏サンデー』の編集部には「ダセーよ、お前ら」の一言。
誰でもアクセスできるWebサイトで起きた今回の『辱』の掲載中止騒動。今後は年齢制限など、紙媒体と同じゾーニングを実施するなどの対策が求められる一方、表現する側の萎縮も心配されます。
裏サンデー
http://urasunday.com/ [リンク]