今回はBoulangerie deRienさんのブログ『旅するパン屋 & deRien blog』からご寄稿いただきました。
捨てないパン屋(旅するパン屋 & deRien blog)
僕が唯一、ドリアンで誇りに思っていることは、パンを捨てないところ。
例えば、昨年秋から年が明けた今日まで、毎日たくさんパン焼きましたけど、1つも捨ててません・・
「捨てないパン屋」になろうと思ったのは、まだ菓子パンもやっていた10年前。
その頃、モンゴル人の友人がうちにホームステイしていて、その子が、
「パン捨てるのはおかしい」
「安売りすれば? 誰かにあげれば?」と言いました。
「できないよ。そりゃ俺だって一生懸命作ったもの捨てたくないよ。」と僕。
「でも、やっぱり食べ物捨てるのおかしいよ。」
「できないよ。配って歩く時間もないし。」
と言い合いになって。
最後は・・
「日本じゃ、しょうがないんだよ!」と声を荒げてしまった。
すごく、自己嫌悪だった。
泣きたかった。
正しいのはその子の方なんだ。
日本がおかしいんだ。
食中毒にうるさい現代、残った菓子パンを、次の日売るとか、だれかにあげることはできない。
だったら、菓子パンはやめるしかない。
あんパン食べたかったら、自分で餡子をはさんでもらえばいい。
そう、自分に言い聞かせてやめた。
僕は何億円パンを売ろうとも、ドカドカパンを捨てるのであれば、何の価値もないと思う。
今まではしょうがなかったかもしれないけど、今からはほんとうに許されない。
時代がかわったのだから。
中川さんの粉カムホを使った時。「売れ残ったら、全部送ってください。買いますから。」と言われた。農家さんがどれだけ思いを込めて、我が子のように麦を育てているのか、わかってたつもりだったけど、わかってなかったかもしれない。
海外の粉をドカドカ使っていたら、こんなこと一生わからなかった。
雨の日メイツや、堀越→八丁堀→トルヴェールのリレー販売、グリーンブリッジさん、のおかげでなんとか売り切っています・・
それでも残ったらラスクです。
ネット店もありがたいです。
予約だから当然捨てません。
が、ネットはけっこう上がり下がりがあります。
そこで、定期購入がはじまりました。
定期のお客様、今は100人です。
もしこれが1000人であれば、例えば、店売りやめても、豊かに暮らしていけます。パンを1つも捨てることなくです。
ということは、一億人に嫌われても、1000人のお客様の為に全力でいいもの焼けば、暮らしていける時代が、もう来ています。
買う方も売る方もそれでいいと思います。
マスコミの時代も終わり、みんなが一緒の時代ではなくなったのですから。
捨てないパン屋を目指すには、ありがたい時代です。
執筆: この記事はBoulangerie deRienさんのブログ『旅するパン屋 & deRien blog』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2016年02月07日時点のものです。