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何があるのかわからないまま、山陰海岸ジオパークに行ってみた 鳥取編
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何があるのかわからないまま、山陰海岸ジオパークに行ってみた 鳥取編

2016-02-08 11:00
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    山陰地方、と聞いてカニと錦織圭と砂丘くらいしか思い浮かばず、一度も行ったことがない筆者。大変失礼ながら、一般的なイメージとしても、他の地方に比べてインパクトに欠けるのが山陰地方なのではないかと思います。

    そんな山陰地方ですが、日本海の成り立ちに伴う多様な地形や風土、自然や文化を認められ、2010年に『山陰海岸ジオパーク』として日本ジオパークに、2012年に世界ジオパークの認定を受けました。残念ながらこのこともあまり知られていない気がします。というか、すみません、知りませんでした。

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    そもそも「ジオパークとは?」状態の筆者ですが、「知らないからこそ新鮮な感動があるはず!」と、知られざる鳥取・兵庫・京都の日本海側、山陰海岸ジオパークに行ってきました。

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    1月18日、大雪が降ったその日、交通機関が麻痺する中、いつもの二倍ぐらいの時間をかけて羽田に到着。欠航便も相次ぐ中、米子空港行きの便は使用機到着遅れで30分遅れ。

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    フライト直前、晴れてきてスカイツリーが見えます。

    羽田から飛行機で約一時間半。鳥取県の西端にある弓ヶ浜半島に位置する米子空港に無事到着。天気は雨で、積雪なし。

    最近は『ゲゲゲの鬼太郎』の作者、水木しげる先生にの出身地にも近いことから『米子鬼太郎空港』という名前になってます。空港のある弓ヶ浜半島はその名の通り、弓なりになった半島の先に、カニの水揚げで有名な境港、半島の付け根の方には皆生温泉の街なみが広がっています。

    皆が生まれ変われる地、皆生温泉

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    皆生(かいけ)温泉は、1900年に漁師さんが海から湧き出す泡を見つけたところから始まった、比較的歴史の浅い温泉地。そこから温泉街として発展し、今では山陰最大級の温泉地に。

    “皆が生きる”と書く皆生の由来ですが、出雲国の稲佐の浜から渡ってきた魂達が、ここで新しい体を得て再生したために”皆生”というのだとか。かつては海池と書いたそうですが、今はよみがえり伝説を背景に「温泉で癒され、皆が生まれ変わる地」となっているんだそうです。

    宿泊したのは『東光園』。皆生温泉の温泉宿の中では歴史が古く、三千坪もの日本庭園と出雲大社をモチーフにした建物が特徴。米子空港にはソウルからの直行便があるせいか、韓国からの宿泊客がとても多かったのが印象的でした。

    『ジオパーク』と美味しいカニの関係

    ジオパークとは、地質に関する自然遺産を含む自然公園の一つで、場所だけでなく地域の文化や歴史なども含めてジオパークとして登録されます。貴重な自然遺産を保護するだけでなく、教育や地域の活性化に活かすことも重要な目的としており、4年に一度見直しが行われる点も特徴です。

    山陰海岸ジオパークは、鳥取県、兵庫県、京都府にまたがる山陰海岸国立公園を中心とした周辺地域となっています。

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    さて、山陰の冬の海の幸といえばやっぱりカニ。

    特に境港の水揚げは日本一!美味しいカニが取れるのは、日本海の300mよりも深い場所にある日本海固有冷水という水のおかげ。…日本海形成に伴う歴史や文化を知ることもジオパーク巡りの醍醐味ですが、美味しいカニがいただけるのは嬉しいですね。

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    栄養豊富で冷たい水の中で育ったカニだからこそ、旨味が凝縮されているのだそう。

    ここで水揚げされるベニズワイガニは松葉ガニと呼ばれています。身を食べたあとに二筋残る部分が松葉に見えるから、とも。

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    松の葉の、まさにこれですよね。

    抜群の鮮度のカニは身が締まっていて甘く、柔らかく、しっとりしていて絶品!カニが好きすぎる筆者にとっては夢のようです。無言で食べていたら「カニ食べるのうまいですね」と言われて恥ずかしかったです。

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    日本海といえばノドグロ。淡白ながら滋味あふれる味わいが素晴らしいですよね。高級魚としておなじみですが、松江出身の錦織圭選手が「好きだ」と発言したことで値上がりしたとか。東光園のアルカリ泉で蒸すことで、身が柔らかくなるそうです。

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    梨酒。鳥取は二十世紀梨が有名ですが、最近では『新甘泉(しんかんせん)』という新しい梨にも注目が集まっています。甘く、歯ざわりが良いのが特徴だそう。

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    鳥取屈指の酒蔵と言われる久米桜酒造のお酒、八郷(やごう)。大山の水と八郷米というお米からできるこだわりの地酒です。頂きましたが、すっきりと飲みやすい味で女性に人気だそうです。

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    翌朝、三千坪もある日本庭園にチラチラと雪が。結構しっかり降ってきました。

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    雪の多い山陰地方ですが、1月の中旬を過ぎても雪が積もっていないのは珍しいんだそう。雪の中、日本海沿いを東に移動します。

    ゲゲゲもコナンも鳥取県!青山剛昌ふるさと館

    ゲゲゲの鬼太郎の作者、水木しげる先生が鳥取県境港市出身というのは有名ですが、『名探偵コナン』の作者、青山剛昌先生が鳥取県の出身だというのはご存知でしょうか?

    皆生温泉から約一時間、鳥取県の中部に位置する東伯郡北栄町に、青山剛昌ふるさと館があります。

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    (C)青山剛昌/小学館

    皆生温泉から約一時間、鳥取県の中部に位置する東伯郡北栄町に、青山剛昌ふるさと館があります。

    ここは『名探偵コナン』『YAIBA』などの原画をはじめ、青山先生の出身地ならではの貴重な資料が数多く展示されています。

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    (C)青山剛昌/小学館

    建物の内外に、コナンや蘭や毛利のおっちゃんや怪盗キッドがいっぱい!
    ふるさと館の周囲にも、さまざまな青山キャラが隠れているので発見してみよう。

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    (C)青山剛昌/小学館

    雪に埋もれたコナン君。

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    (C)青山剛昌/小学館

    やっぱり、ちょっとかっこいい位置にいた怪盗キッド。

    館内には、青山先生の学生時代の作文や作画も展示されています。青山先生は小学生の作文に「探偵になりたいけど、運動神経が鈍いので、私立探偵専門の漫画家になりたい」と書いており、まさに夢がかなったわけですね!

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    (C)青山剛昌/小学館

    先生の仕事部屋も再現。貴重な原画も!

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    (C)青山剛昌/小学館

    蝶ネクタイ型変声機でボイスチェンジャーを楽しめますぞ~。

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    (C)青山剛昌/小学館

    こ、このコナン君のポーズは…あれだ!

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    (C)青山剛昌/小学館・読売テレビ・TMS 1996

    隣の椅子にうなだれて座ると、おっちゃんを眠らせて『眠りの小五郎』名推理が始まるシーンが再現できるぞ!

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    (C)青山剛昌/小学館

    毎週『名探偵コナン』を楽しみに大きくなった世代ですが、『YAIBA』も見ていたので、展示があったのもすごく嬉しかったです。懐かしい~!
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    (C)青山剛昌/小学館

    日本ではもちろん、コナン人気はワールドワイド。

    館長さんのお話によると、一番遠くから来たお客さんはアルゼンチンから2日かけてこられたそう。「鳥取空港も、『鳥取砂丘コナン空港』となったし、首都圏からの便も就航しているので、ぜひ遊びに来てください!」

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    最後に…「真実はいつもひとつ!!!!」ポーズを決めてくださいました!

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    (C)青山剛昌/小学館
    ちなみに、空港だけでなく、最寄りのJR駅である由良駅も、愛称がコナン駅になっているそうですよ。

    体感気温-17.4℃!冬の鳥取砂丘へ

    青山剛昌ふるさと館をあとに、東へ移動すること約一時間。鳥取砂丘へ到着。
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    鳥取市の日本海海岸に広がる南北2.4 km, 東西16kmの砂丘は、日本でも最大の砂丘です。

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    この日、晴れ間は出ているのですが、時々粉雪が舞う寒さ。そんな天候の中、ガイドさん曰く「朝は雪が積もっていたんですが、今は陽が出ていたので溶けてしまいました。冬の砂丘の景色は、国内外で今人気上昇中なんですよ」とのこと。

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    一見、砂漠のようですが、海岸砂丘なのですぐそこに波が。遠くに見える目立つ建物はサイロと灯台なんだそう。

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    青空と雲と砂丘。写真だけ見ると穏やかでいい感じですが…

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    この時、砂丘には最大瞬間風速17mもの風が吹き荒れ、寒いというか痛い!!

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    雪にできた砂紋っぽい砂。風に向かって歩くことはもうできません。耳がちぎれそう!耳あてを持ってなかったことを激しく後悔。

    おまけに足元は砂なので、どんどんめり込んでいくわ、砂粒は全身に浴びるわでもう大変。

    「冬の砂丘にくるなら、朝がおすすめです。人の足あとも少ないし、雪が積もっていれば綺麗に見えます。カメラを低い位置に構えると砂が入ってしまうので、気をつけて!」と係の方からアドバイス頂きました。

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    山陰ジオパークの旅全体を通じて、間違いなく一番寒かったのがこの鳥取砂丘。雪よりも、あられ混じりの雨よりも、寒かったのが晴れた強風の砂丘。

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    それもそのはず、「気温の低さと強風で、体感気温は-17.4℃くらいでした」と後で聞かされ、あの寒さはホンモノだったんだ!と思いました。

    ここでしか食べられない!幻のエビを食す

    砂丘から更に東へ移動すること約10分、浦富海岸に到着。荒々しい日本海の波!鳥取砂丘の。国の名勝・天然記念物に指定される美しい海岸線が有名で、千貫松島や菜種五島といった島々が浮かびます。

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    今日は眺めるだけで精一杯。浦富海岸のある岩美町でお昼を頂きました。ここで頂いたのが幻のエビ、モサエビ。

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    『クロザコエビ』という種類のエビですが、見た目がゴツゴツと無骨で、鎧をつけた猛者のようだから、という説があるそうです。鮮度が落ちやすいので市場には出回らず、まさここだけでしか食べられない幻のエビ。

    身は甘エビよりも大きいですが、これでも地元の人からすると小さいんだそう。柔らかいけどしっかりした身のつきで、甘みが強いですね。一説には「甘エビよりも美味しい」とも言われますが、ちょっと大きくて濃厚な甘エビ、みたいな感じでしょうか?

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    一緒にあるのはのどぐろのお刺身と、カレイの子まぶり。子まぶり、というのは湯がいたカレイの卵をほぐして、お刺身にまぶした鳥取東部の伝統料理なんだそう。普通のお刺身とは舌触りが変わって、贅沢な味わいでした。

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    日本海で採れたての、大きな子持ちカレイの煮付け。これも卵がすごく立派でびっくり!味がよくしみて、お箸でつまむとホロホロ。ご飯によく合います。

    海の幸以外では、砂地を活かしたラッキョウ、梨、スイカ、ナガイモなども特産品。特に鳥取砂丘周辺には青々としたラッキョウ畑が広がり、ラッキョウの畑をはじめて見た私には新鮮な印象を受けました。

    米子から東に、鳥取県の日本海沿いを移動してきましたが、ここ岩美町は鳥取県の東端に位置する町。県を超えて、次は兵庫県に入ります。

    (写真はすべて筆者撮影)

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    (執筆者: 相澤マイコ) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか

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